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【2018シーズン新体制発表記者会見】記者会見レポート②

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[クラブ方針および2018クラブスローガン発表]

■代表取締役社長 左伴繁雄


本日はクラブの方針およびスローガンを発表させていただきますが、その前に過去の実績を振り返らなければならないと思っております。J1復帰初年度となった昨年は一桁順位という結果にこだわりました。メディアの皆様には、これがトップチームの順位の目標として報じていただいておりましたけれども、我々としてましては清水エスパルスという“会社全体”で一桁順位にこだわると、常々インナーで話をしておりました。トップチームは、最終戦でやっとこさ残留を決め、今年もJ1で戦う機会を得ることができました。一方で社内では、トップチームや将来的にそれを担うであろう育成面を支える原資を稼ぎ出す上で、ベンチマークを自社に求めるのではなく、他クラブとの比較で一桁順位を取る、特に営業や事業の社員が自らの腕で勝ち取れる入場料、スポンサー、物販といったものについては、絶対にJ1のクラブのなかで10位以内に入れと言っておりました。私がここに来たときには、この三つについては15位~18位と残留争いをしている状況でした。私は2015年に就任したのですが、2014年の数字はとてもJ1で上位を争うようなクラブには程遠い数字でした。そのうえでトップチームだけは上位を争いなさい、いい補強をしなさい、ちゃんとしたサッカーをしなさいというのは酷な状況でした。それを踏まえて、昨年は収益の面でも一桁順位を狙えと叫び続けておりました。

2017年のトップチームを支える財力につきましては、2016年の他クラブとの比較となってしまいますけれども、第9位に入っております。グラフでは37億円となっておりますが、39億までには跳ね上がるとみております。私は40億を突破すればビッグクラブと言え、優勝争いをする上でのミニマム値に達すると思っているのですが、そこに3年かけてやっと近づけたかと思います。入場料につきましてはJ1で第9位、スポンサーの収入は筆頭株主である鈴与グループさんの額を除くと第3位、物販については第6位と、この三軸については現時点で一桁順位を達成しております。この勢いをもって、来季はこの数字をさらに伸ばした予算を立てて、強化費も15億円を超えたものにしたいと考えております。トップ9に入るクラブの強化費の予算の平均は、18億円と言われております。まだまだ水を開けられておりますが、非常に投資効率のよいクラブは、14億円ほどで一桁順位を達成しております。それを踏まえてトップチームの後押しをしていきたいと思っております。一方、会社として掲げた目標では、トップチームを除いたほぼすべての項目で、一桁順位を達成しております。営業や事業を担っている職員も地力をつけてきておりますので、縁の下で三年間培ってきた、フロントの地力というものを今年はお見せしたいと思います。

これに基づいて、今季は何をもって方針とするか、何を進むべき清水のサッカーとするかについてお話させていただきたいと思います。昨年は最終戦で残留を決め、一桁順位とはほど遠い順位に終わってしまいました。ただ何よりショックだったのは、残留を決めた瞬間にたくさんの方々におめでとうと言ってもらったことでした。これには黄金時代を知る元選手たちもショックを受けておりました。とうとう残留を決めただけでおめでとうと言われるチームになってしまったのかと。今でも悔しい気持ちでいっぱいで、それをバネにしてがんばってやろうという反骨心は持っております。今年はサッカーのスタイルうんぬんというよりは、とにかく勝つことに貪欲にこだわっていきたいと思っております。フロントの営業マンに対しても、勝つか負けるかにこだわれと言っています。もちろん、最終的な試合のスコアでの勝敗にこだわるということではありますが、さきほど会長からも長期的な視座に欠けるという指摘があり、それはまったくもってその通りであると思います。試合に勝つためには様々な要因系がありますが、その一つひとつに対してあまりに淡泊だったと思います。その要因について、一体何にこだわっていけばゲームに勝てるのかということを私の方で決めさせていただきました。それを私の方でブレークダウンして、チームの選手や監督に、日々の練習や試合のなかで表現してほしいと思っております。

一つは『インフラに勝つ』ということです。昨年はけが人がたくさん出ました。けが人が出た、縦の軸が定まらなかったから負けたということであれば、メディカルはどうだったのか、体制がどうだったのか、機器はどうだったのか、システムはちゃんと入っていたのか、フィジカルとメディカルと現場の間のコミュニケーションはどうだったのか、それを振り返ってみてほしいと。すると膨大な資料が出てくるわけです。それを改善するためのサイクルをきちんと回していたのかということが、この『インフラで勝つ』という言葉になりました。要因系を深堀りして勝ちにつなげるため、徹底した探求をしてくれ、そこで勝っていこうじゃないかと。

次は『データで勝つ』。シュート数か何本とか、枠内シュート数が何本とかというのもありますけど、日々の試合や練習のなかでの選手の疲労度であるとか、勝敗につながる数字というのはなんなのか、という点をあぶりだしていかなければいけません。もう少し定量的な要因系の分析をして、勝利につなげていかなければなりません。

次は『投資効率で勝つ』。お金をかけたチームが上位に行っているとは限りません。お金をかけすぎるとハズレを引く可能性が高いということは、補強やチーム編成の世界ではよくあることです。大金をかけた選手が活躍しないということもありえます。フロントにいるとわかるのですが、お金の効果的な使い方は、ハズレの少ない選手を取ってくるということでもあります。この投資効率という言葉は強化スタッフにはいやがられる傾向にありますけど、40億かけておいてこの結果なのか?という点はちゃんと数字を見ていかないといけません。

次は『取り組みの新進性、細かさ、徹底度で勝つ』。新しいことに対して保守的になっていなかったか、練習に対して保守的になっていなかったか、これをやると怪我につながるんじゃないか、これをやると選手間の差がはっきり出てしまうのではないかとか、そういった点について保守的にならず、もっとはっきりさせていこうと思っています。

最後は『人間力で勝つ』、『一体感で勝つ』。これはサッカーに限らず社会人として一番大事な点であって、ここで勝つためには教育を含めて何をしたらいいのかということを、もう一回原点に立ち返って考えていこうと思っています。この一つひとつを他クラブと比較して勝っていくことで、勝利の確率が高まると思っております。こういう要因をあぶり出していくことを強化には求めています。

次のサッカービジョンなんですけれども、ホームのお客様に一番観ていただきたいのは『ハードワーク』の部分です。これは言うが易しですが、試合でこの所作がちゃんと表現できているかについては、選手の評価を含めて徹底的にこだわりたいと思っています。昨年は攻守の切り替えが速いアグレッシブなサッカーを求めていましたが、今季は久米ゼネラルマネージャーが戻ってきて、ヨンソン新監督がきて、選手も変ってきました。昨年の最終戦のような戦いをずっと続けていけば、ある程度の勝点は見込めるだろうという話もありました。そして攻守の切り替えが速いアグレッシブなサッカーが果たして正しいのかどうかについては、いま一度、強化に判断を投げています。また、『清水のサッカー』ということについては、これは『清水、静岡』のサッカーを指す言葉ではなく、エスパルスというクラブとしての価値観を体現できるサッカーとはなにか、ということを問いかけています。これは監督も変わりましたし、キャンプなどを通してつまびらかにしていく点だと思いますので、あえてこの場で私からこのようなサッカーをしろ、とは言いません。

三番目は、プロとして当たり前のことなんですけど、選手たちにプロのクオリティとはなんぞやということを問いかけております。特にプロの私生活や振る舞い、言動、準備、チームワーク、リーダーシップなど、本当のプロはどういったものなのかと問いかけております。一つだけ例を挙げると、チームワークとリーダーシップというものは、普段から行動を共にし、同じ釜の飯を食ったからといった形成されるかというと、そういうものではありません。例えばラグビーのトッププロは、練習場や試合会場以外では行動を共にしない方がよりよいチームワークが形成できる、そういう話も伺っております。今は選手たちが勝利を目指すうえで、すべての責任の矢印を自分に向けて、今までの自分のままでよいのかどうかを、もう一度考え直すように伝えています。


また、今年の中期計画は新会長と新ゼネラルマネージャーの三人で話し合った上で、数字を定めさせていただきました。当然、今年は一桁順位を目指します。フロントはすでに一桁順位を達成していますので、トップチームにはそこに追いついて来いという思いでおります。そして中期的にはオリジナル10として年間チャンピオンを勝ち取ることを目標としています。このクラブは年間チャンピオンを目指すのであって、残留を決めて喜んでいるようでは駄目なのだということを、徹底したいと思います。AFCチャンピオンズリーグも当然目標となります。最終戦でやっとこさ残留を決めたチームの社長が何を言っているんだと思うかもしれませんが、それではいつまでたっても目標は達成はできません。ここは目線を高くもって、階段の数を増やしていくという意味合いで、中期目標を定めました。

そして、営業面では優勝を争うクラブとしてもミニマムである収益45億円を目指します。売上高労務比率でいうとエスパルスでは38%がトップチームに充てられる人件費で、他のクラブの42~3%と比べると低い数値です。ただ、低いといったのは悪い話ではなくて、エスパルスは地域事業で6億円を叩きだしています。そのために必要な土地代や賃借料、スクールやJステップの運営などで、ほかのクラブよりお金がたくさん出ています。それはJリーグのクラブとして大変重要なことで、そこを譲ってはいけません。自ずとトップチームに充てる人件費は下がりますが、収益45億円を出せば、トップチームに充てられる人件費は17億円になり、優勝を目指すクラブと数字的には肩を並べることができます。その上で投資効率を見直せば、お金の面でトップ争いをできないという言い訳はできなくなります。ここを我々はフロントとして目指します。もちろん、地域事業も重要な柱でして、これはJ1のなかでもトップクラスの数字をはじき出しています。こちらの面では総利用者数40万人、スタジアムに来るお客様と合わせて静岡市の人口を上回ることを目標としています。

また、スローガンの『BACK TO THE BASIC』は、今年度と今年度以降に私たちの背骨となっていく言葉です。もう一度、勝利とはなにか、勝利を支える財力とはなにか、そのために選手は、社員は、経営者は何をしたらいいのか、ということを考えます。そういうことを今までやってきて、そこそこ数字は出している、そこそこの成績も出している。しかしもう一度トップを取るために、立ち戻るべき原点というものを、一つの試合、一つの仕事が終わるたびに見つめなおし、それを口に出してコミットして、徹底的に続けていくという宣言でもあります。『徹底』という言葉にはこだわりがありまして、これまでに去年やったのになんで今年はやらないんだ、ということが多々ありました。徹底して続けることができないクラブは決して富を生みませんし、強くもなれません。そこはスローガンのなかで力強い書体で表現しました。また、『BACK TO THE BASIC』という部分については、これから色々な軸を作ります。その強い思いを言葉に込めました。そしてスピード感をもって仕事に取り組むという意味で、オレンジとブルーの直線を横に引いています。

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【2018シーズン新体制発表記者会見】記者会見レポート④
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