2011年07月13日

【メディカルブログ】vol.2 スパイクシューズの選び方


メディカルブログ第2回の題材は、スパイクシューズについてです。


スパイクシューズは、靴底全体の面積に対して、地面に接する面積が小さいほど、強い突き上げ感があります。

たとえば、子ども用の一般的な丸型スタッドのスパイクシューズ片足で、足の面積全体の1/9くらい、トレーニングシューズでは1/4くらいとなっているようです。さらに、スタッドの位置(付き方)によって実際に足底に加わる圧力(突き上げ感につながります)は変わってきます。

もう少し詳しく説明しますと、子どもの体重を30s、足底の面積を約120cm2すると、足に掛かる圧力は、

裸足の場合:0.25kg/cm2

トレーニングシューズの場合:0.50kg/cm2

スパイクシューズの場合:2.3kg/cm2

となります。2.3kg/cm2圧力とは、厚さ6mm、面積1m2の鉄板を約15p変形させてしまうほどの力です。


 このような強い圧力で足への負担が強くならないよう、私たちエスパルスの普及部(スクール)では、小学校2年生のお子さんまでは、学校で使う上履き(ゴム底のもの)を使うように指導しています。

 

 スタッドについては、次のことを覚えておくといいでしょう。

@    靴底の接地面積が大きいほど、足への負担(突き上げ感・圧力)は小さくなる。

具体的には、スタッドの数が多い、トレーニングシューズやフットサルシューズの方が負担は小さくなる。

A    スタッドの形状では、ブレード型は横方向などのグリップや急発進・急停止に優れるが、足への負担が大きい。

それに対して、丸型スタッドは回転する動きに向いており、足への負担がブレード型よりは小さい。

 

子どもの皆さんは、見た目のかっこよさ、CM、あるいは、憧れのサッカー選手が使用しているモデルなどを参考に、スパイクシューズを選ぶことも多いと思われます。しかし、子どもの皆さんは、身体の成長・発育の途中段階。骨格の出来上がった大人の選手と同じ基準でスパイクシューズを選択すると、思わぬケガや障害につながることに注意する必要があると思います。


まず、大人と子どもの足の形状は違います。そして子どもの骨は、まだ軟らかく変形もしやすいため、足底の骨への負担が大きくなると、一番外側の指の骨(第5中足骨)やかかとの骨(踵骨)などの骨折や変形などが起こることがあります。


 もちろん、ケガや障害の原因は単純にスパイクシューズだけの問題ではありませんが、スパイクシューズの選び方を今一度考えてみてはいかがでしょうか?


 指導者の皆さんの考え方などにもよりますが、私たちがお薦めするのは、小学校低学年などの初心者ほど、トレーニングシューズの使用です。ほとんどのグラウンド・ピッチに対応できるだけでなく、足への負担も小さい上に、ボールタッチの感触などは一般的なスパイクシューズと違いがありません。大切なお子さんの成長のため、親御さんたちも、ご一緒に考えていただけたら幸いです。


 その上で、年齢を重ねるごとに、成長に合わせて、自分に合ったスパイクシューズを選べばいいのではないでしょうか?


 この時、子どもは成長が早いからといって少し大きめのシューズを選ぶことは走る際などにバランスが悪くなったり、逆に少しきつめのシューズを選ぶことも足の指が曲がったままになるので怪我につながりますので注意しましょう。シューズは大き過ぎても小さ過ぎても問題が生じてしまうのです。


 スパイクシューズの選び方については、プレースタイルやポジション、ピッチの状態など、他にもたくさんの要素がありますし、皮革の種類、サイズなど様々なことを考える必要もあります。雑談ですが、選手の中には既製品ではなく、足部とスタッド部とを別々に組み合わせたり、スタッドの長さを変えたりと、それぞれこだわりを持っているようです。


 今回は子どもの成長、傷害予防の観点から、主に靴底・スタッドに着目してみました。子どもたちの成長に合わせてシューズをお選び頂くことで、健康的な成長を促すとともに、傷害の予防につながることを願っています。

 


余談: あくまでもプロ選手の話ですが、エスパルスの選手たちは、横方向のグリップや急激な方向転換に優れるブレード型を使用している場合がほとんどです。取替式のものや丸型スタッド、マルチスタッドのものなどを使用する選手や、複数の種類を準備して、その時々の状況によって履き分けている選手も多いです。

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スパイクのスタッド(ポイント)の種類

・トレーニングシューズ:

靴底がゴム系の素材。足への負担が軽く、土などの硬い地面などで最適。

ただし、ゴム製なので靴底の減りは早い。

英語では「Astro-turf shoes」。これは欧米における人工芝の通称で、「人工芝に向いたシューズ」と直訳できます。アメリカ・ヒューストンにある有名なアストロドームで、世界で初めて、人工芝が採用されたため、このように呼ばれているそうです。

サッカーの母国イギリスでは、「様々なピッチ条件に一足のみで対応する場合はこのシューズを選択すべき」と紹介されているそうです。

    


・スパイクシューズ(丸型スタッド・固定式):

一般的な固定式シューズ。スタッドが12個前後あり、すべて固定式。そのため、スタッドが減るとシューズそのものを替える必要がある。

軟らかいグラウンド、硬い土、短い芝生など、幅広いピッチに対応できる。

場所を選ばず使えるので、主流となっている。

 


・スパイクシューズ(金属スタッド・取替式):

スタッドが金属で脱着可能。スタッドの数が6〜8個と少ないため、突き上げ感が大きく足への負担が大きい。

脱着可能なので、芝の長さやドライ・ウェットの違いでスタッドを使い分けることができる。スタッドが減ってしまった場合にも、交換できる。

 

・スパイクシューズ(マルチスタッド):

 スタッドが20個以上付いており、足への負担が軽い。

 スタッドは固定式。そのため、スタッドが減るとシューズそのものを替える必要がある。

 


・スパイクシューズ(ブレードスタッド):

 スタッドが円柱ではなく、ブレード型(刃型)になっている。そのため、横方向のグリップ力が大きくなり、急発進や急停止に威力を発揮する。

 その代わり、丸型スタッドに比べると足への負担は大きくなる。また、人工芝では逆に引っ掛かりやすく、ケガにもつながりやすいため、適しているとはいえない。

 スタッドの数はメーカーやモデルによって様々。スタッドは固定されているため、スタッドが減るとシューズそのものを替える必要がある。

 



・フットサルシューズ:

 体育館での使用を考慮していて、床に傷がつかないよう工夫されており、靴底はほぼ平面になっている。

 人工芝での使用には適するが、土のグラウンドでは靴底がすぐに摩耗してしまい使用できなくなる。ただし、足への負担は小さい。


 

・その他:ブレードスタッドと丸型スタッドを組み合わせたモデルも近年開発されているようです。