名将アルディレス監督、ペリマンコーチが就任。同時にシジマール退団、三浦泰年の移籍など大きく生まれ変わり、1996年はスタートした。Jリーグ初の1シーズン制で争われたこの年、チームは10位と振るわなかったが、シーズン半ばについに悲願の初タイトル獲得を達成する。
9月25日ナビスコカップ決勝、ヴェルディ川崎戦。終盤に2点のリードを追い付かれる苦しい展開の中、激闘が続いた延長戦、そして大会初となるPK戦へ。澤登正朗が決め、GK真田雅則が相手ふたり目のシュートを阻止する。サントス、大榎克己、森岡隆三、優勝への想いを込めるように次々とゴールネットを揺らすエスパルスの選手たち。そして迎えた5人目、オリバのシュートがネットに吸い込まれた瞬間、リーグ唯一の市民クラブとして産声を上げたチームに初の栄冠がもたらされた。表彰台で優勝カップを掲げる澤登の目には、5年分の想いが涙となって溢れていた。
なお、この年に大きな成長を遂げた斉藤俊秀は、ナビスコカップのニューヒーロー賞とJリーグ新人王をダブル受賞。また、アトランタ五輪では伊東輝悦、白井博幸、松原良香がメンバー入りし、ジュニアユースチームが日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会を連覇するなどの明るい話題が続いた。