昇降格争いという新たな興味が増えた1999年。エスパルスが見据えるのは、あと一歩のところまで迫りながら手にできていないリーグ制覇である。田坂和昭、久保山由清、安永聡太郎ら新戦力を加えたエスパルスは、開幕からエンジン全開で走り出した。ところが、終わってみれば1stステージ3位。勝ち点4差で、またしてもリーグタイトルに届かなかった。しかし迎えた2ndステージ、チームは中盤戦で8連勝を飾るなど抜群の安定感を見せ、第8節で首位に立つとその後は一度もトップの座を譲らず、ついに念願のステージ優勝を決めた。
チャンピオンシップで日本一の座を争うのはライバル、ジュビロ磐田。第1戦は澤登正朗の豪快なゴールも実らずに1対2と敗戦を喫する。ホームでの第2戦は相手に先制を許すも、前戦に続いて澤登が魂のFK弾で反撃。延長戦にはファビーニョが決勝点を挙げ、2戦合計結果をタイに。結局その後のPK戦で敗れはしたものの、選手たちは諦めることなく戦う姿勢を貫いた。
なお、シーズン終了後には、獅子奮迅の活躍を見せたアレックスがJリーグMVPを獲得し、べストイレブンに真田雅則、斉藤俊秀、森岡隆三、伊東輝悦、澤登正朗ら最多6人が選出。年間最多勝ち点をチームにもたらしたペリマン監督も、最優秀監督賞を受賞するなど、まぎれもなくエスパルスが最も輝いていたチームだった。
また、年末には「エスパルス栄誉賞」が制定され、長谷川健太、堀池巧、ペリマン監督が選ばれている。