リーグ戦2年連続4位を経て、自信を持って迎えた2008年。若手の順調な成長に加え、4年目となる長谷川監督体制で成熟期を迎えようとするチームの目標は“タイトル獲得”だったが、エスパルスを待ち受けていたのは苦難の道だった。
7年ぶりに開幕戦での黒星を喫すると、第4節から第6節までの3連敗も含めスタートで躓く。若いチームは自信を失い、前半戦は安定しない戦いが続いて一時はJ2降格圏の順位に甘んじた。
そんな状況下でもヤマザキナビスコカップは勝ち進む。予選リーグを首位で突破すると、準々決勝で鹿島、準決勝でG大阪と、強豪を下し決勝進出。決勝で大分に敗れ、わずかに優勝には手が届かなかったが、タイトルへ向けての経験はチームを飛躍的に成長させた。そして、それがリーグ戦終盤の奮闘にもつながっていく。
シーズン終盤、優勝を争うチームにも引けを取らない戦いを支えたのは、多くの若手の成長だった。山本海人、山本真希が定位置を確保すれば、岡崎慎司や原一樹が得点感覚を開花。その活躍が中堅やベテランへの刺激となって、チームにさらなる進化をもたらし、選手層は厚みを増した。
序盤の不振、タイトルを掴めなかった悔しさなど様々な困難を乗り越え、最終的には5位まで順位を押し上げた。これで3年連続のリーグトップ5入り。数々の経験を経て、チームがさらなる高みへと昇るための強さを手にした、中身の濃い一年だったと言えるだろう。