クラブ創設20周年の節目を迎える記念すべき2012シーズン。ゴトビ体制の2年目には厳しい試練が待ち受けていた。 チームの若返りを図るべく、永井雄一郎、ボスナーらが移籍、シーズン中にも、辻尾真二、岩下敬輔、枝村匠馬、小野伸二、アレックスらがチームを離れるなど、前年とは大きくメンバーが入れ替わり、村松大輔、河井陽介、吉田豊、八反田康平、石毛秀樹ら若手選手が積極的に起用されるシーズンとなった。
Jリーグでのクラブ通算1,000ゴールまであと17ゴールに迫っていたエスパルスは、開幕戦こそ敗れたものの、序盤は好調を維持し、第10節終了時点で首位仙台と勝点2差の2位につける。しかし、第11節を境にチームは失速。1,000ゴールのプレッシャーもあってか、なかなか得点を奪えない日々が続いた。
苦しい中で迎えた第18節柏戦、大前元紀のゴールで、クラブ通算1,000ゴールを達成すると、試合には敗れたものの、3得点を奪ったチームは息を吹き返し始める。第20節広島戦では上位チームを相手に逆転で勝利を収め、一時は13位まで沈んでいた順位も、第30節終了時点で4位にまで浮上。ACL出場圏内が見え隠れし始めたが、終盤の4試合を1分3敗と再び失速し、2012シーズンは9位で幕を閉じた。
一方、Jリーグヤマザキナビスコカップは、グループリーグ5連勝で、1試合を残して決勝トーナメント進出を決めると、準々決勝第2戦の名古屋戦では、壮絶な撃ち合いを制し4-3で勝利。準決勝第2戦FC東京戦では、大前元紀がハットトリックを達成するなど、2008年以来となる決勝進出を果たす。鹿島との決勝は、延長戦までもつれながらも惜敗し、優勝こそ成らなかったものの、石毛秀樹が同大会のニューヒーロー賞を獲得するなど、若いオレンジ戦士たちは大きな“経験”という財産を手にしたに違いない。
多くの出会いと別れがあり、アップダウンの激しいシーズンではあったが、若手中心のエスパルスにとっては、この苦い経験こそが今後の大きな糧になるはずだ。円熟味を増したゴトビ戦術の下、苦難と悔しさを味わった選手たちが、2013シーズンにその才能をより大きく開花することを期待させられるシーズンとなった。