ゴトビ体制3年目を迎えた2013シーズンだったが、エースに成長した大前元紀がオフシーズンにドイツへ移籍。また、新たに取り組んだトリプルボランチを採用したシステムがうまく機能せず、シーズン序盤は過去2年にも増して苦しい戦いとなった。
「アウトソーシングスタジアム日本平」から「IAIスタジアム日本平」へと生まれ変わったホーム開幕戦では、横浜F・マリノスに0-5と完敗。さらに第4節・サンフレッチェ広島戦でも退場者を出して0-4と大敗を喫し、開幕4試合で2分2敗と、結果・内容ともに不甲斐ないスタートとなった。その後、新加入バレーがフィットしてきた4月こそ無敗で乗り切ったものの、チームは波に乗り切れないまま中断期間に突入。リーグ再開後も2連敗と重苦しい戦いが続くなか、クラブの決断が大きく流れを変える。
まずは7月、本田拓也が鹿島アントラーズから2年半ぶりに古巣復帰を果たすと、バレー移籍で手薄となった最前線には水原三星(韓国)からラドンチッチを期限付きで獲得する。さらに8月には大前がドイツから復帰し、上位陣相手にも力負けしない戦いぶりを披露。先制されても跳ね返す精神的な自信も身に付け、チームは勝ち星を伸ばしていった。
勝利を重ねることで、若い選手たちも成長の速度を上げていく。シーズン途中から正GKの座を射止めた櫛引政敏は、試合を重ねるごとに守護神としての存在感を発揮。本来の攻撃的なポジションからサイドバックまで経験した石毛秀樹も、1年を通して試合に出続けたことで来季につながるシーズンを過ごした。
結果的には前年と同じ9位と、決して満足のいく順位ではなかったエスパルス。リーグ最終戦後のインタビューでも、選手たちは口々にシーズン序盤の躓きを悔やむコメントを残していたが、それは後半戦の戦いぶりに手応えを感じているからこそ。チームとしてさらなるレベルアップは必要だが、紆余曲折を経てようやく勝利への道程を導きだし、2014年に向けて期待を抱かせるシーズンとなった。