11月22日(土)エスパルスドリームフィールド清水にて開催された『静岡県商業教育研究会 ビジネスリーダー育成セミナー』に、エスパルスサッカースクール ヘッドオブコーチング 今泉 幸広が講師として参加し、県内の商業高校 生徒24名に講義を行いました。
「リーダーに求められる視点について考える~障がい者スポーツを通して~」をテーマに、障がい者サッカーとの出会いによって変化した今泉自身の人生観や社会への関わり方について実技を交えながら伝え、ノーマライゼーションの視点を養いました。
スポーツだからできること
はじめに、今泉が自己紹介を行い、エスパルスがなぜ社会貢献を行うのか、健康や教育、環境分野などの様々な活動をはじめ、障がい者サッカーとの関わりについて紹介しました。ノーマライゼーションを考える導入として、だまし絵や伝言ゲームを通して、「見え方は一つではない、自分と違う見え方をする人もいる」「情報の6割は非言語で与えられる。適切な伝え方を考える必要がある」ことを知ってもらいました。
そして、「人はなぜスポーツをするのか」そして「障がい者はなぜスポーツをするのか」を考えました。楽しいから、健康維持のため、コミュニケーション、上手くなりたいからと答えは一緒です。7つの障がい者サッカーを紹介する映像では、「ろうはどんな時でも顔を上げないと伝わらない、とにかく見る。」「障がいを持っていると普段激しい動きはできないけれど、電動車椅子サッカーならできる。」「ご飯を食べるのも最近苦痛で、サッカーのために食べているようなもの。」といった声や、障がいがあっても果敢にゴールを目指す姿に生徒たちは真剣に見入っていました。
パラスポーツを体験してみよう!
そして≪体験会Part1≫として、ブラインドサッカーとアンプティサッカーの基礎を行いました。視覚障がいがあったら何を頼りにするか、支える側はどんな声掛けをすればよいか、実際にアイマスクをつけると一瞬で別の世界になり「進む方向が全然わからない」「突然大きな音がするとすごくこわい」などと感想を述べていました。
誰もが楽しめるしっぽとりのルールとは!?
次に、「しっぽとり」を題材に≪体験会Part2≫を実施。
各チーム2名が切断障がい者役でクラッチを使用します。クラッチがあると両手がふさがれてしっぽが取れなかったり、障がい者役の生徒のしっぽを他の生徒が取りにいかなかったりする様子が見られました。「障がい者役に気をつかってしまう」「障がい者役も上手くプレーできず楽しめない」といった声が上がり、生徒の一案「全員が片足でプレー」を試すと、今度は「足が痛い」「疲れる」という意見がありました。
また、各チーム2名が聴覚障がい者役でヘッドホンと耳栓をつけ、全員声を発せずにプレーすると、ヘッドホンをつけた生徒は「足音が聞こえないからわからない」「後ろの感覚がない」と答え、他の生徒も「仲間を声で助けることができない」と困った様子で、先ほどとは別の状況での試行錯誤を経験しました。
今泉は「その場にいるみんなで考えることが大切。しかし今日の正解は明日の正解ではない。目の前の状況に応じてアジャストさせていくことが大事。」と伝え実技研修を終えました。
これから社会でリーダーとなる皆さんへ
最後に今回の授業の振り返りを行いました。生徒の皆さんからは、「それぞれの障がいについて、何が大変なのかを知ることができた。一緒にスポーツをする機会があったら、その人に合ったルールを作ってみんなで楽しみたい。」「偏見を持たず、障がいがある人もない人も楽しめるようにしたい。」「少しの工夫やコミュニケーションで、障がいがある人もない人もレベルアップができる。障がい者を1つのくくりにまとめず、一人一人に合わせていきたい。」といった感想をいただきました。
最後に、クラブが選手を獲得する上で重要視している10個の視点について紹介し、「傾聴力」や「主張力」が一番重要だと話し、また、仕事に向き合う意識としての「自立と自律」、「人材と人財」について伝えました。
今回はスポーツを通じて障がい者との関わり方を考えましたが、今日学んだ気づきは日々の生活や社会で働くときに必ず活かされると思います。「伝えたことの捉え方は人それぞれ。見え方も1つではない。自分の考えや視点が全てではないことを忘れないでほしい。そして、障がい者と接するときは、どんな障がいがあるのか、何が不自由なのかを考慮すれば、皆が楽しむことができる。障がいがある人たちが不自由なく楽しめる社会は必ず健常者も楽しめる社会であると思います。」とメッセージを伝え講義を終えました。
ご参加いただいた生徒の皆さん、先生方、静岡県教育委員会の皆様ありがとうございました。
