明治安田J1百年構想リーグ開幕まであと3日。開幕特集として、今回は今季より副キャプテンに就任した蓮川壮大選手のロングインタビューをお届けします。
取材日:1月29日/取材・文=平柳麻衣
攻守ともに個人の成長は必須
――吉田孝行監督の下でチームが始動し、約1カ月が経ちました。ここまでの戦術の浸透具合についてどのように感じていますか。
「攻守において切り替えの早いサッカーを目指しているなかで、守備に関しては監督からミーティングや毎日の練習、トレーニングマッチをとおしてかなりの回数、繰り返し指摘されています。実践と反省を繰り返すうちに、後ろから見ていても前線のプレスの掛け方は良くなっている印象がありますし、開幕までに少しでもタカさんが求めるサッカーをチームとして体現できるよう、日頃の練習からみんなで意識しながら、良い雰囲気でトレーニングできていると思います」
――守備に関しては決まり事が多いそうですが、求められるものはかなり細かい部分にまで及びますか。
「もちろん立ち位置や決まり事みたいなものはチームのルールとしてありますけど、それよりもまずは個人のところで選手一人ひとりが負けないということをタカさんもマストで求めていると僕は感じています。それがあっての戦術やフォーメーション、立ち位置だと思っていて、例えば昨季後半、3バックだと失点が少ないけど4バックにすると失点が増えてしまうという課題がありましたけど、それは4バックを言い訳にしていたというか、結局やられているのは個人のところだったなと。
あと戦術以外では、不要なファウルはしないよう練習から強く求められています。これもタカさんがよく言う確率論につながっていくんですけど、ファウルをすれば相手のFKやPKが増えるので、失点の確率が上がります。ただ、『ファウルをしない』のと『緩い』のは全然違うので、厳しく行くけどファウルはしないという、本当に紙一重の部分を口酸っぱく言われています」
――要求されるプレーには、これまで自身の中で培ってきたプレーの感覚と異なる部分もあるのですか。
「もちろん球際や一対一の強さが自分の良さだと思っているのでそこは消さないようにしつつも、やっぱりファウルなく取れる選手が一番良い選手だと思います。まずはシンプルにその基本に立ち返ること。あとは筋トレをして身体を大きくしたり、スピードをもっと上げてアジリティの部分を上げることもファウルなしでボールを奪うことにつながると思うので、そういった面ももう一度見直そうと思って取り組んでいます」
――「個の力を上げる」というのは、秋葉忠宏前監督からもよく言われていたことかと思います。昨季までの学びが今に生かされていると感じますか。
「もちろん秋葉さんとタカさんでは志向するサッカーの色が全然違いますけど、秋葉さんが個の部分をずっと意識づけてくれていたからこそ、一対一では負けないという考えをみんながベースとして持っていると思います。タカさんが求めるものはそれがさらにブラッシュアップされていて、やっぱり優勝経験のある監督が求めるレベルは高いですし、まずはタカさんが求める基準に達していないと戦術云々の話になっていかないので、攻守ともに個人の成長は必須かなと思います」
――吉田監督のサッカーではハイラインが主になると思いますが、そこに対する意識はいかがですか。
「昨季もハーフラインを踏むぐらいハイラインでとは言われていましたけど、タカさんのサッカーではより全体のコンパクトさが求められているように感じます。とくに本多(勇喜)選手とディフェンスラインを組んでいる時にはラインのことをよく言われるので、『うわ、結構高いな』と感じることも。でも、自分はスピードには自信がありますし、一人ひとりがプレー範囲を広く守れたほうがチームとしての守備が良い方向にいくだけでなく、個人の成長にもつながると思うので、自分もチャレンジするという意識でプレーしています」
――改めて吉田監督の下でどんなセンターバックに成長していきたいですか。
「昨季はシンプルに前につけたり、近くを見てテンポ感を出したり、自分で持ち上がるタイミングもありましたけど、今季はまずゴールに直結するプレーをしようという意識で取り組んでいます。まずは背後を見て、足下でも動かせるし、素早くフィードも出せるセンターバックになっていきたい。タカさんの下でサッカーをするなかで、日々そのように感じています。まずは無失点でしっかり守ることは前提として、ビルドアップやプレー判断の部分でもさらに成長していきたいです」
“副キャプテン”という肩書きを上手く生かしながら
――今季はスタッフ陣が大きく入れ替わったなか、ここまでのチームの雰囲気はどのように感じていますか。
「チーム立ち上げ当初はみんなおとなしいというか、様子を探りながら静かにやっていたところはありますけど、僕は去年も練習から結構声を出していたし、とくに副キャプテンの話をもらって以降はより声を出すようにしていて、少しずつ周りの声も出てきたかなと感じています。僕自身としてはただ盛り上げるだけの声ではなく、年齢も上がってきているので、とくに若手に対して要求するような声は練習から出すよう心がけています」
――年齢バランスも含め、蓮川選手が今季のチームで果たすべき役割についてはどのように自覚を持っていますか。
「今まで移籍や期限付き移籍を繰り返してきたので、在籍3年目って初めてのクラブになるんですよね。だからエスパルスにいてすごく居心地が良いし、周りの選手もだいたいみんな知ってるから、1年目のような緊張感はない。それは良い意味で言えば、それだけ余裕が出てきたということだと思っているので、もちろんポジション争いだったりサッカーの部分では余裕なんてないですけど、周りに気を配るという意味では良い余裕を持てているのかなと思っていて、少し気にしながら周りを見るようにしています。
僕はキャラ的にみんなをまとめ上げるタイプではないし、イジられることも多いけど、今回副キャプテンという役職に就かせてもらって、ある程度の線引きは大事だなと感じているところです。楽しくやることも大事だけど、時には厳しく伝えなければいけない場面も必ず出てくるだろうし、だからといって副キャプテンになったから急に真面目になるのも少し違う。そのままの自分のキャラクターの良い面は保ちながら、オンオフの切り替えだけはしっかりできる選手でありたいです。自分は周りの反応を結構気にしてしまうタイプなので、そういう意味では“副キャプテン”という肩書きを上手く生かしながら、率先してやっていければと思います。
あとは、シーズンの中では試合に出る、出ないも絶対にあると思うので、上手くいかない時こそ立ち居振る舞いをしっかりしないといけないなと思います。とくに試合に出られない時ほど選手の芯の部分が出ると思うので、上手くいかない時こそしっかりやっている姿を周りに見せていきたいです」
――キャプテンではなく、副キャプテンだからこそ担える部分はありますか。
「キャプテンの(宇野)禅斗は若いですし、真面目だから絶対にチームのことをすごく考えると思うんですよ。だからまずは禅斗としっかりコミュニケーションをとりながらやっていきたいなと思います。あとはチームの総合力を上げるために、若手をしっかりと引き上げていくこと。もちろんポジション争いで言えばみんなライバルですけど、やっぱりチーム全体のレベルが高いチームのほうが強いですし、若手がプレーしやすい環境は先輩がつくるものだというところを僕は若い頃から見てきました。僕自身がそうだったのですが、やっぱり若い時はどうしても上の選手を気にしてしまったりして、本当の自分の力を出しきれないことがあるので、若い選手が100パーセントの力を出せるように、伸び伸びと前向きにプレーできるようにしていきたいです。例えば練習で良いプレーをした時なんかは、できるだけ大きい声で褒めてあげたりとか、そんなちょっとしたことでも若手の心境は変わると思います。とくに今年は高卒、大卒が多いので、周りを巻き込みながらやっていけたらいいですね」
――具体的な理想の先輩像はありますか。
「僕はFC東京のアカデミー出身なので、森重(真人)選手は小学生の頃から憧れていました。チームメイトになった時には、“ザ・キャプテン”というタイプではないかもしれないですけど本当にストイックで、アドバイスもたくさんくれたし、森重選手に言われる言葉の一つひとつが響きました。やっぱり憧れや尊敬の気持ちがない人から言われた言葉って響かないと思うんですよ。それがプレーなのかサッカーへの姿勢なのか、もしくは人間性なのかは人それぞれだと思いますけど、周りに認められて良い影響を与えられる人間になりたいなと思います」
エスパルスを選んで良かった
――エスパルスで3年目のシーズンが間もなく幕を開けます。
「2024年にエスパルスに来た時、実は他のクラブからもいくつか話があって、その中にはJ1クラブもありました。でも僕が選んだのは当時J2だったエスパルス。なぜかすごく惹かれるものがあって、結果的にエスパルスを選んで良かったなと思うことができています。僕が来た年にJ2で優勝することができたけど、やっぱりエスパルスはクラブの歴史からしてもJ1に相応しいチームだと思うし、タカさんも言っていたようにJ1で優勝したらどれだけの人が喜んでくれるんだろうと、想像するだけでワクワクします。
僕はエスパルスが大好きだし、今もエスパルスに来て良かったと思っているけど、J1でタイトルを獲ってその想いをより強くしたい。それは決して無理なことではないと思うし、みんながどれだけ本気で残留ではなくタイトルを目指せるかに懸かっていると思います。例えば鹿島や広島、神戸なんかは“勝って当たり前”な雰囲気があるというし、選手たちの意識も相当高いと聞きます。エスパルスもそういうチームを目指していかないといけないと思うし、僕個人としてもキャリアの中でJ1のタイトルを獲りたい、エスパルスで優勝したいという強い想いを持って臨みたいです」
――百年構想リーグにおける目標を聞かせてください。
「タカさんは神戸で連覇した経験を持っている監督ですし、しっかりタカさんの求める基準に達することができれば、本気でタイトルを狙っていけるという説得力があります。2026−27シーズンに向けて準備をする期間ではありつつも、内容にこだわりながら結果も求めて、優勝したいというのが僕個人としての想いです」
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