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《開幕特集》【クローズアッププレーヤー】 #北川航也 「今、改めてサッカーが楽しい」

明治安田J1百年構想リーグ開幕まであと2日。開幕特集として、今回は今季より背番号を49番に変更した副キャプテン、北川航也選手のロングインタビューをお届けします。

取材日:2月2日/取材・文=平柳麻衣


優勝争いをする集団になるために

――最近の宇野禅斗選手のギラギラ感を見ていると、若い頃、とくに海外に行く前や日本代表に選ばれたばかりの頃の北川選手を思い出すことがあります。

「ちょうど年齢的にも俺が22歳ぐらいの時だから、今の禅斗と同じぐらいですよね。当時は精神的な面でもまだまだ若かったなと思います。でも、海外に行って変わりましたね。海外では基本的に上手くいかないことのほうが多いから、思いどおりにいかなくても『まぁ、そういうこともあるよね』と、起きた出来事を楽しむスタンスになった気がします」


――ご自身の経験としてこの2シーズン、キャプテンを務めて良かったなと思いますか。

「形上はキャプテンではありましたけど、正直自分は何もやっていないという感覚はずっと変わりません。でも、逆に言えば『キャプテンになったからといって何かを変えたりしない』ということは、強く意識していたと言えるかもしれません。それはプレーに関しても同じで、自分はキャプテンになった途端に何か違ったことをやりだすタイプの選手ではないなと。ただ、試合前の円陣での言葉については、どんな言葉をかけたらみんなが前向きになれるかなと結構考えていましたね。あまり長く話すのではなく、できるだけ簡潔に、その時伝えたらみんなのモチベーションがより上がるような言葉を。だいたいは円陣を組んだ時に思い浮かんだことをその場で言っていましたけど、試合によっては前日からじっくり考えることもありました」


――今シーズンはキャプテンではなく副キャプテンの立場からチームを引っ張っていくことになります。

「もしかしたら今季のほうが、見えてくるものがあるかもしれないですね。一度キャプテンを経験したからこそ、みんなの表情とかから感じるものが変わってくるかもしれないですし。あとは(宇野)禅斗がキャプテンになりましたけど、今季に関してはキャプテン就任に関係なく気合が入っているのを感じていましたし、彼の良さはそういうところにあると思っているので、彼なりに突っ走っていく中で、経験ある選手たちがサポートしていければと思っています」


――今季のチームをどんな集団にしていきたいですか。

「究極を言ったら、今年入った18歳とか新卒の選手が、一番年上の選手に『もっとやってくださいよ』と言えるようなチームになること。そうなれば、タイトルであったり上のステージに近づけるのかなと思います。そのために大事なのは、若手が自信を持つこと。そして試合に出ること。試合に出ればどんどん欲が出てくるし、周りにも要求できるようになります。周りに要求するということは、その言葉には責任が伴うので、その選手自身もしっかりプレーしなければいけないし、そういった循環がチームの底上げにつながると思います。


もちろんそれは若手に限った話ではなくて、自分自身にも言えることです。そういう集団になってきた時にベテランが果たすべき役割は、若手の自信が過信になってしまいそうな時に道を正すことだと思っています。これらを実現していくにはある程度の時間がかかるかもしれないですけど、勝つ集団、優勝争いをする集団になるために、そこは目指していきたいですね。せっかく今季、優勝経験のある監督やスタッフたちが加入して、クラブを大きく変える転機でもあると思いますし、実際すでにトレーニング中の空気感なんかも変わってきたなと感じています。その変化を早くサッカーでも体現できるようにしていきたいです」


もっと上手くなりたい。強くなりたい。

――吉田孝行監督との出会いは北川選手にどんなものをもたらしてくれていますか。

「鹿児島キャンプの時に結構長い時間話して、『まだまだ上手くなるぞ』と言われたんですよ。自分としてもまだまだ上手くなりたいとは思いつつも、今年30歳になるという中で、いろいろなことを考えていた時にそういう言葉をもらって、『俺まだ行けるんだ』と思うことができた。もちろんまた海外に挑戦したい気持ちもあるし、人としても選手としても大きくなりたい。そんな時にもらった言葉だったから、もっと強くなりたい、もっと上手くなりたいという気持ちがより一層強くなりました。タカさんのサッカーには、今の自分に必要な要素が詰まっていると感じるし、タカさんが求めるものを自分が高いレベルでプレーできればさらに成長できるだろうなという実感があるので、まだまだ行けるぞという気持ちで日々取り組むことができています」


――吉田監督からは、具体的にどんな部分を伸ばせるかといった話もあったのですか。

「プレーや技術の話というよりは、『もっとギラギラ感が欲しい』と言われました。上手くなりたい、強くなりたいという気持ちを前面に出してやってくれ、と」


――冒頭の話につながりますが、若い頃の北川選手のようなギラギラ感ということでしょうか。

「そうですね。良くも悪くも丸くなったところがあるけど、サッカー面ではもっと尖っていて良いんじゃない?みたいな話でしたね。秋葉(忠宏)さんの下で1トップをやっていた時は、どちらかというと自己犠牲の意識のほうが強かったし、自分が点を取らなくてもチームが勝てばいいと思っていた部分もありました。確かにそれはそうなんだけど、もう一度、自分が点を取ってチームを勝たせるというメンタルに持っていってくれたのがタカさんであり、スタッフの皆さんです」


――吉田監督のサッカーでは1トップ以外のポジションを務めることも多いかと思いますが、どんな役割をイメージしていますか。

「例えばウイングをやるにしても、ウイングの役割だけにこだわらないというか、結局はどんどんゴール前に入っていくということが大事になってくると思います。もちろん細かい戦術の部分は求められていることをしっかり遂行しつつ、ゴール前に入っていくことや周りの選手と絡んでいけるところが自分の良さだと思うし、それを期待されての起用になると思うので、そういったところを表現していきたいです」


――昨季も点を取ること以外のタスクはかなり多かったと思いますが、今季はいかがですか。

「タスクはより増えている感覚ですね。でも、やるべきことをしっかりやって、いるべき場所にしっかり立ち位置を取っていれば、ゴール前に入っていける回数は増えるし、昨季以上にゴールやアシストで得点に絡める機会は増えていくんじゃないかと思っています」


――まだ開幕前ですが、すでに吉田監督のサッカーに楽しさや面白さを感じることができていますか。

「はい。確率論で話してくれるので、こういう立ち位置を取って、こういうボールの動かし方をすれば相手のラインが割れるでしょう、みたいな説明を受けると、スッと入ってきやすいんですよね。ボールがここにあるから逆サイドの選手の位置はここ、など求められるものは本当に細かいですけど、それができればスピーディーかつ大胆な攻撃ができると思います。実際に練習試合でもそういう場面は何度か作れていますし、自分個人にとっても新しいチャレンジだと思いながら取り組んでいるところです」


――例えば磐田とのトレーニングマッチでオフサイドになってしまった北川選手のゴールシーンなんかも、吉田豊選手が「理想形」だと話していました。

「あれも関わったみんなが『ここに走ればボールが来る』と信じて走るからこそ生まれたシーンだと思います。1トップをやっていた時の自分はなかなかそれを表現するのが難しかったですけど、違うポジションをやっている今は新しい景色が見えるようになりましたし、自分に足りなかったところを強くするという意味では今、サッカーが改めて楽しいです」


――北川選手のサッカー理解力は、ルーツと言えるものがありますか。

「ルーツと言うほどのものはないですけど、今までいろいろなポジションをやりました。2トップもトップ下もやったし、サイドもやったし、ヨーロッパにいた時にはボランチもやったことがあります。前目のポジションは一通りやったので何となく各ポジションで求められているものは分かりますし、いろいろなポジションを経験するというのは非常に大事だと思います。ただ、その時に大事なのは、自分のストロングを見失わないこと。そうでなければただの器用貧乏になってしまいます。あとは本職ではないポジションにどれだけ真剣に取り組めるかという姿勢の部分も大事だと思います」


現代サッカーをピッチで表現できる選手でいられたらいい

――今季より背番号を23から49に変更しました。どんなストライカーになっていきたいですか。

「ドウグラスへの憧れがあっての49番ですけど、僕はドウグラスにはなれないのでね。ドウグラスと言えば、泥臭くゴール前で身体を張って、マイボールになったら相手陣地まで行ってゴールを奪うようなイメージですけど、今の僕はどのポジションで起用されるかも分からないですし。ただ、全員で守って全員で攻めるといった現代サッカーをピッチで表現できる選手でいられたらいいなと思います」


――反町康治GMも提示していますが、現代サッカーはよりスピーディーで、よりインテンシティの高さが求められる傾向が進んでいるかと思います。

「前に出ていくとか守備に戻るのは自分の得意なことだと思っているので、どんどん自分の良さを出しやすくなっていっているなと感じています。もちろんボールを大事にすることも必要だけど、速く攻められるに越したことはないと思うし。少ないパス数で点が取れるならそのほうがいいと思う。それには全員で攻めて全員で守ることが大事で、Jリーグもヨーロッパのサッカーに近づいてきているなと感じています」


――若手を中心に、ヨーロッパ移籍を目指す選手も年々増えてきているように感じます。

「簡単なことではないですけど、目の前の試合に集中し続けることが大事ですよね。清水エスパルスのエンブレムを背負っている以上、このクラブで全力を尽くすことが何より大事で、そのようにやり続ければその先に見えてくるものがある、と思いながら自分はやってきました。そのためには、若手やこれからエスパルスに入ってくる選手たちにとって魅力あるクラブ、チームであり続けなければいけないとも思います」


――百年構想リーグ開幕に向けて。

「20試合しかないので、まずはケガをしないこと。ケガをせずにこの強度でやり続けられれば、必ず次の26-27シーズンにつながると思います。今まで以上に身体の面には気を使わなければいけないですし、やるサッカーが変わる分、今までと違ったパワーの使い方にもなるので、それに対しても順応していくことが大事になります。百年構想リーグは引き分けがなく、勝ち負けがはっきりするので、もしかしたら最後の最後に追いついてPKで勝つという展開もあり得るだろうし、その逆もある。だからこそ最後に勝ちきる、逃げ切るところにフォーカスできるシーズンになると思います。それが上位進出や優勝、ACLにつながるので、この半年間で自分も含めてチームとしてやるべきことをより明確にして、選手たちが迷いなく吉田監督のサッカーを表現できるように準備していきたいです」


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「キャプテンという肩書きがあってもなくても、自分はやるべきことをやるだけ」と一貫して言い続けてきた北川だが、キャプテンの荷が下りた今季、チームメイトから「以前より表情が明るくなった」と言われるようになったという。アカデミーから育ってきたクラブを人一倍大事に想うがゆえに、本人も無意識のうちに責任を感じながら日々を過ごしてきたのであろう。


23番を後輩の千葉寛汰に譲り、「ずっとつけたかった」という49番を背負って戦う今季。まだまだ成長に飢える北川の新たな挑戦が始まる。


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