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【クローズアッププレーヤー】 #日髙華杜 「決して“上手い”選手ではない。走力を生かし、攻守で輝く選手に」

今季、法政大から加入した日髙華杜選手のロングインタビュー。JFA・Jリーグ特別指定選手として昨季Jリーグデビュー済みで、今季も開幕から先発出場を続けている。1試合ごとに急成長を見せるルーキーが、理想の選手像や目標などを語った。


取材日:2月17日/取材・文=平柳麻衣


ミスを恐れてやめてしまったら自分の特徴は出ない

――昨季のデビュー戦の際には、試合に上手く入れなかったことを課題に挙げていたと思います。どのように改善を試みてきたのですか。

「昨季のデビュー戦の後、秋葉(忠宏前監督)さんから『今後どういう意識で過ごすかが大事だぞ』という話をされて、今季の開幕からJ1で戦う選手になるという意識を持って、自分なりに準備はしてきたつもりです。なので以前より少しは自信がついたと思います。こればかりは慣れが大きいと思いますけど、始動から鹿児島キャンプも含めたここまでの練習で、チームがやろうとしていることや自分がやらなければいけないことは明確にできてきているので、今は自分に求められていることを精いっぱいやっている状況です」


――大学に戻ってからもプロ基準の意識を維持し続けるのは、簡単なことではなかったかと思います。

「法政大が昇格争いをしていて、絶対に勝たなければいけないという状況がずっと続いていたのが大きかったと思います。それもあって、当たり前ですけど日々の練習で手を抜くこともなかったですし、プラスアルファ自分の足りないところを補うために自主練もしていました。あと自分はキャプテンをやらせてもらっていたので、まずはチームを勝たせるということを一番に考え続けてきたことが結果的に今季からのプロ生活の良い準備にもつながったのかなと思っています」


――開幕戦の名古屋戦から第2節京都戦の間には、どのような変化や成長があったと感じていますか。

「相手の特徴が違うので一概には言えないですけど、名古屋戦は右サイドからの攻撃が少なかったですし、自分がどんどん前に出ていくシーンも少なかったと思います。それに対して周りの選手とコミュニケーションを取ることはもちろん、チームとしても相手がこういう守備をしてくるから必然的にここが空くよね、といった仕組みもスタッフの方から説明してもらって、結果的に自分の走行距離やスプリント回数は増えたし、良い傾向にあると思います。自分としては常にパスが来ても良いような準備と、前に行く意識、あとは味方が奪われてもカバーできるポジション取りを意識していて、チームとしての良い攻撃につながったのかなと思います。


一方で、クロスの質の部分では、京都戦では自分でも本当にありえないようなキックミスをしてしまったんですけど、ミスを恐れてやめてしまったら自分の特徴は出ないし、消極的なプレーは求められていないと思うので、試合中は割り切ってやりながら、試合後にしっかり反省しました。やっぱりスピード感などは慣れと練習の積み重ねだと思いますし、日々の練習を大事にしていきたいと思っています」


――守備面に関しての手応えは?

「個人でどうというよりは組織的に守るという考え方でやっていますけど、本当に(北川)航也くんが献身的に戻ってきてくれているおかげで、右サイドからガッツリやられるシーンは少なくなってきているのかなと思っています。監督からも今の守備をベースにしようという話がありましたし、チームとしてはしっかり守れているという自信は試合を重ねるごとについてきています。でも、個人としてもう少し出ていく距離だったり、もう一歩、二歩相手に詰めることだったり、ボールを奪い切ることができればチームがもっと楽になると思います。とくに自分のポジションに関して言うと、自分がもっと安定した守備ができれば航也くんが戻る回数を減らせると思うし、簡単なミスがなくなれば航也くんがもっと攻撃に比重を置けると思う。航也くんは守備で戻ることに関して何も言わずにやってくれていますけど、やっぱり本来はゴール前にいたほうが相手にとっても嫌だと思うし、怖い選手だと思うので」


――プロの公式戦で1試合ごとに得られる経験はやはり大きいと感じますか。

「そうですね。大学サッカーと一番違うのはやっぱり応援してくれている人の数。お金を払って観に来て応援してくれている人たちがたくさんいるからこそ、1プレーの重みや責任は感じますし、一瞬一瞬の判断が大事になるなと思います。もちろんピッチの上でやることが変わるわけではないですけど、プロの試合の緊張感の中だからこそ得られるものがあるなと感じることが多いです」


――自分のアシストや得点で観客を沸かせたいという気持ちも強くなっていますか。

「今季は明確な数字目標は定めていなくて、まずは自分のタスクをしっかりやること。プラスアルファでチームのために走ることだったり、相手のカウンターの芽を摘んだり、チームを救うプレーができればいいなと考えています。やるべきことは個人の結果以外にもたくさんあるので、本当に必要とされる選手になるためにももっとやらなきゃいけないです」


怜音くんのプレーを観て勝手に盗んだ

――サッカーを始めたきっかけは?

「兄がサッカーをやっていたので自分も気づいたらサッカーボールを蹴っていて、小学1年生からクラブチームに入って本格的に始めました。小さい頃はいろいろなポジションを経験して、サイドバックをちゃんとやり始めたのは中学生から。どういう経緯だったかは覚えていないですけど……」


――すごく走れた、とか?

「それもあるかもしれないですね。小学生までは陸上もやっていて、兄は結局、陸上のほうに行って県内ですごく活躍していたんですよ。自分はサッカーのほうが好きだったし、兄と比べられるのが嫌というのもあって、中学からは陸上をやめてサッカーだけになりました」


――サイドバックで最初に憧れた選手は?

「憧れとは少し違いますけど、酒井高徳選手(神戸)は日本代表でしたし、すごいなと思っていて、タカさん(吉田孝行監督)の指導を受けるようになってからは求められるプレーも似てきたので、観て学ぶことは多いです。とくに守備の寄せ方一つなんかでも違いが分かります」


――昨季までの神戸において、酒井選手が担ってきた役割はかなり大きいと感じますか。

「そうですね。チーム全体の映像はもちろん、コーチ陣から酒井選手個人のプレーを集めた映像を送ってもらったりもして、そういう映像を見るとやっぱり自分はまだまだ足りていないなと感じます。ただ、全部を真似する必要はないと思っていますし、自分が勝っている部分も必ずあると思っているので、酒井選手のプレーを参考にしながらも自分らしく勝負していければと思っています」


――吉田監督のサッカーを体現する上でとくに身につけたいと思っているのはどういった部分ですか。

「今一番足りていないと感じているのは、守備の話ですけど、相手のサイドチェンジのロングボールが来た時に相手選手に寄せる距離と、予測、反転の速さ。とくに名古屋戦でそういうシーンが多くて、自分のプレーと酒井選手の映像を比較して観た時に、自分は相手にボールが収まって仕掛けられる状況まで持ち込まれてしまっていたんですけど、酒井選手はインターセプトしているシーンもありましたし、そこで自分がピンチの芽を摘むことができればチームは楽になるなと感じました」


――攻撃面ではどんなプレーを見せていきたいですか。

「自分はどちらかというと組み立てに参加するというよりは、前向きでボールを受けて、どんどん前の選手を追い越して、とにかく走ってリズムを作っていきたいタイプです。サイドで一対一の仕掛けもしますけど、それよりも長いボールを蹴ってもらって走ったり、味方に一度付けてから追い越していったりする動きのほうが自分の良さは生きるかなと思います。自分はたぶんみんなももう分かっているとおり、決して“上手い”選手ではない。だからこそどんどん前に出ていくところが唯一と言っていいぐらいの長所だと思うので、余計なことはせずに上手く味方に生かしてもらいながら、チームにとってプラスになるプレーができればと思います」


――大卒加入のサイドバックということで、山原怜音選手(川崎F)が移籍したことでより期待されたり、比較されるような声も届いているかもしれません。その点に関してはどう感じていますか。

「怜音くんはやっぱりクラブにとって大きな存在だったと思いますし、試合を観ていても、練習参加させてもらった時も学ぶことがたくさんありました。もちろんいろいろな声があるとは思いますけど、そこは全然気にしていなくて、怜音くんと自分ではできることも違うと思いますし、『怜音くんみたいにならなきゃ』とも思わないですし、とにかく今の自分にできることを必死にやること。タカさんからも『もっといろいろなことができるようにならないといけないぞ』と言われていますし、それがチームのためになると思っています」


――昨季、練習参加した時には山原選手からどんなことを学んだのですか。

「細かい話になってしまうんですけど、ファーストタッチのやり方の話をしてもらって、やっぱりサイドバックはどんどん前に付けて入っていったり潜っていくことが大事で、そのためにはファーストタッチの置きどころが大事だぞ、と。それは怜音くんに直接教えてもらった部分もありますし、自分が怜音くんのプレーを観て勝手に盗んだところもあります。ファーストタッチの置きどころが悪いとボールが相手選手に渡ってしまうこともあるので、怜音くんとコミュニケーションを取っていたことは今の自分にも生きているなと思います」


大津での3年間があったからここまで来られた

――プロになるまでのキャリアの中で、一番のターニングポイントは何ですか。

「今だからこそ思うのは、大津高校に入ったことですかね。入学したばかりの頃はすごくレベルの差を感じて、『ここでやっていけるのかな……』と不安しかなかったんですけど、普通の高校生では考えられないほどサッカーだけと向き合える環境があって、当たり前のように毎日真剣にプロを目指してサッカーをやっている人たちばかりがいて。総監督、監督の下で必死にもがき続けた大津での3年間があったからここまで来られたと思っています。実際、中学時代のチームでは自分よりも上手くて活躍している選手は他にもいたんですけど、高校を卒業する時には、他の高校に行った選手と自分との明確な成長の差を感じることができました。もちろん法政大という素晴らしい大学でもプロになることを目指し続ける毎日を送ることができましたし、そういった環境を与えてくれた家族には感謝しかないです」


――大津高校は、高校生でも妥協を許さない空気感みたいなものがあったのでしょうか。

「それもありましたし、一番きつかったのは朝練です。平日は毎日朝練があって、始発で学校に行くのが当たり前。ボールが凍るほど寒い真冬でも土のグラウンドでみんな朝から汗をかいて、授業を受けて、午後も練習をやって、という生活の繰り返し。遊んだ記憶はほとんどないです。あとは、サイドバックとしてやっていくなら両足蹴れるようになれと言われたのも高校時代で、最初は左足だと全然蹴れなかったんですけど、ひたすら練習を続けて、今では両サイドともできるのが強みと言えるようになりました」


――大学時代にはキャプテンを務めた経験もありますし、いずれはキャプテンシーの部分にも期待が寄せられてくるのではないかと思います。

「できることを精いっぱいやっていれば、信頼というのは勝手についてくるものだと思っていて、その『できること』の中には声を出すこと、戦うことは当たり前に入っています。ただ最近、それだと何かちょっと違うかなとも考えていて、信頼される選手というよりも、『居なきゃダメだ』と思われるぐらい、必要とされる存在になりたい。そこまでの評価を勝ち取るためには、やらなきゃいけないことがまだまだたくさんあって、簡単なことではないと思いますけど、自分にできることをどんな時も手を抜かずにやり続けたいと思います」


――サイドバックとして目指す選手像についても聞かせてください。

「攻守で輝く選手になりたいです。やっぱりサイドバックは走ってなんぼだと思うし、どこにでもいる選手。守備だったら危ないところを守れて、攻撃でもチャンスに顔を出す。そういうプレーが“必要不可欠な存在”という理想にもつながっていくと思います」


――サポーターの皆さんへ。

「ホームではアイスタをオレンジで埋め尽くしてくれて、アウェイにもたくさんの人が来てくれるという環境は当たり前ではないですし、自分も含め選手たちはすごく背中を押してもらっています。1プレー、1プレーに反応してくれるとすごくやり甲斐を感じることができますし、皆さんがこの環境を作ってくださるからこそ、戦わないといけない、皆さんに笑顔になってもらいたいと思うことができます。この素晴らしい応援にプレーで返せるように、それにはやっぱり勝つことが一番だと思うので、日々の練習からコツコツとやっていくという強い覚悟を持っています」


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リーグ第3節神戸戦で、日髙は待望のエスパルス初勝利を経験した。「めちゃくちゃ嬉しかった」と笑みをこぼし、初めて踊った勝ちロコについて話が及ぶと、「あれだけたくさんの方と喜びを分かち合えて、すごく良いものだと思った。これからどんどん勝ちを届けられるように努力していきたい」とさらなる意欲を燃やした。


3節まではスタメン出場が続いているものの、「自分だけの力ではないし、いろいろな選手に助けてもらってやっている。今後は自分も何かを残さないと試合に出続けるのは難しくなってくると思うし、勝ちに貢献できるようなプレーを見せ続けたい」と気を引き締めている。


日髙のプロキャリアはまだ始まったばかり。ガムシャラに、ひたむきにピッチを上下動し、チームに勝利を呼び込む。


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