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【取材メモvol.30】 #髙橋利樹 「圧力のある応援に後押しされた1年間」

日々のトレーニングや試合での取材をとおして、見えてきた選手やチームの“今”の姿、エピソードなどをお届けするコンテンツ。今回は、サガン鳥栖への完全移籍が発表された髙橋利樹選手のインタビューです。


取材日:6月18日/取材・文=平柳麻衣


――昨夏エスパルスに加入して、約1年を過ごしました。振り返ってみていかがですか。

「まず浦和であまり試合に出てなかった中で、エスパルスに戦力として呼んでもらえたことは本当に感謝していますし、1年間を振り返れば本当にいろいろなことがありましたけど、もっとチームに貢献したかったという気持ちがやっぱりあります」


――シーズン途中の加入は、やはり難しさやプレッシャーがありましたか。

「シーズン途中の移籍は横浜FCの時もそうだったんですけど、夏の移籍は初めてだったので、すでにチームが出来上がっている状態の中に入っていく難しさというのは正直あるなと感じながら加入しました。コンディション面というよりも、戦術の部分でやっぱり少し不安がありましたね」


――しかし献身さも光り、チームメイトやサポーターからの信頼を勝ち取るにはそう時間は掛からなかったかと思います。

「FWとしてはやっぱり点が欲しかったので、加入してから何試合かは点が取れず、自分の中では焦りみたいなものもありました。でも鹿島戦で点を取れてからは、気持ち的にも楽になったかなと思いますし、だからこそその1点はとくに印象深いです」


――印象に残っている試合はありますか。

「うーん……こういうのって勝った試合を挙げたほうが良いんだろうけど、去年のセレッソ大阪戦だったり、川崎フロンターレ戦だったり、何点も取られて負けた試合の悔しさのほうが思い浮かんできます。勝った試合で挙げるなら、新潟戦ですかね。ここで負けたら残留争いに巻き込まれてしまうという状況だった中で、チームとして本当に試合の入りから集中しようと戦って、自分が点を取れたというのは印象に残っています」


――体制が変わった今季は苦しい時間もあったかと思いますが、どんなことを大事にしながら過ごしてきましたか。

「自分が出そうなポジションは全部自分の中で想定しながら試合を振り返ったりしていたんですけど、なかなかタカさん(吉田孝行監督)の求めるようなプレーができなくて、そこは本当に自分の力のなさを感じました」


――ただ、何とか点を取ってほしいと多くのサポーターが期待を寄せてくれていたと思います。

「自分は途中から出ることが多かったので、やっぱり交代選手が点を取るとチームは勢いに乗りますし、そういう部分も含めての期待は感じてはいました」


――エスパルスに来て、とくに出会えて良かったと感じている人はいますか。

「一緒にプレーできて良かったと言ったら、やっぱり(乾)貴士くんですね。自分が学生の頃からプレーを観ていた選手ですし、本当に上手いなと思っていて。実際にチームメイトになってからは貴士くんと2トップみたいな形で組むこともありましたけど、ピッチでコミュニケーションを取る中で、自分から『今のってこうでしたか?』と声を掛けやすい先輩でしたし、ご飯も何回か連れて行ってもらいました」


――住吉ジェラニレショーン選手とは大学時代以来にチームメイトとなりました。

「それもすごく良かったですね。プライベートも含めて多くの時間を一緒に過ごしました。もちろん別々のチームにいた時からジェラのプレーは観たりしていたんですけど、同じチームになってみて、大学の時より全然上手くなったなとか、ヘディング強くなったな、すごく成長しているなって、なんだか上から目線みたいになってしまいますけど(笑)、そう感じていました」


――住吉選手は髙橋選手にとって、刺激をもたらしてくれる存在ですか。

「そうですね。刺激はもらいます。アイツは俺のプレーを観ないだろうけど、俺はこれからもきっとジェラのプレーを観て、アイツも頑張ってるなって思うんだろうなと思います」


――FWの選手たちとも、ポジションを争いながらも良い関係を築いていたように見えました。

「関係はすごく良かったと思います。みんなそれぞれタイプが違いましたけど、その中でも(北川)航也くんはやっぱりシュートが上手くて、練習や試合への向き合い方にも学ぶものがありました」


――静岡での生活はいかがでしたか。

「充実していましたね。静岡は美味しいご飯屋さんがたくさんあって、海鮮もいっぱい食べましたし、美味しい鰻も食べました。街でサポーターの方に声を掛けられることもよくありました。選手のみんなとも仲良くなれた気がするし、まぁ俺がそう思っているだけかもしれないですけど(笑)、クラブも温かくて、今回サッカー面のことを考えて移籍を決めましたけど、決断した今も正直、寂しい気持ちはあります」


――エスパルスサポーターにはどんな印象を抱いていましたか。

「自分がエスパルスに加入する前からサポーターの数はもちろんすごいなと思っていたんですけど、加入してからは、エスパルスの応援って本当に選手を後押ししてくれる圧力みたいなものがあって、一緒に戦ってくれている人がこんなにいるんだなと感じながらプレーしていました。とくにアイスタはスタンドとピッチの距離が近くて、今季は右サイドで出ることが多かったのもあって、サポーターの声がスタンドからよく聴こえていました」


――エスパルスでの在籍期間を経て、今後も大事にしていきたいことはありますか。

「もちろんFWなので点を取ることを第一に考えますけど、でもそれだけじゃないというところが自分の持ち味だと思っているので、そういうプレーはブレずに続けていきたいなと思います。そうすれば必然的にボールも集まってきて、点も取れると思っています」


――最後に、エスパルスサポーターの皆さんへ。

「1年間という短い間でしたが、アイスタに行けば自分のユニフォームやタオルを掲げてくれる人がいて、そういうのが目に入るたび、本当に力になりました。本当にありがとうございましたと伝えたいです」


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ピッチ外では穏やかで、ピッチ内では自分のゴールにこだわらず、ひたむきに泥臭く身体を張って“チームの勝利のため”に献身的に走り続ける。その姿は一見、生粋のストライカータイプではないようにも見える。


しかし、点を決めればエンブレムにキスをしたり、ゴール裏に向けて雄叫びをあげたりと感情を前面に出し、ストライカー気質の熱い一面が「自然と出てくる」のだという。


チームと仲間想いの髙橋は、約1年と短い在籍期間ながらもエスパルスのために持てる力の全てを出し尽くしてくれ、多くの人の心を惹きつけた。彼の努力が報われる瞬間が、これからのキャリアの中で何度も訪れることを願っている。


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