日々のトレーニングや試合での取材をとおして、見えてきた選手やチームの“今”の姿、エピソードなどをお届けするコンテンツ。今回は、サガン鳥栖への完全移籍が発表された中原輝選手のインタビューです。
取材日:6月25日/取材・文=平柳麻衣
――エスパルスには1年半の在籍となりました。クラブや街の印象はいかがでしたか。
「静岡は気候も良いですし、生活するには過ごしやすく、良いところだなと感じていました。それにやっぱりサッカーが盛んな街だし、クラブとしても“オリジナル10”という誇りを持っていて、上を目指していくんだという意識はチームだけでなく、普段クラブハウスで顔を合わせる社員の方々も含めて、みんなが一丸となっているクラブだなと。あとは街中もオレンジのものが多かったり、エスパルスの広告もたくさんあったり、街にいてファン・サポーターの方から『頑張ってください!』と声を掛けてくれることも非常に多かったので、たくさんの方が“エスパルス”を気にかけてくれているんだなと思っていました」
――ファン・サポーターから中原選手に対する期待というものはどのように受け止めながら過ごしてきましたか。
「直接声を掛けてくれた人に限らず、応援してくれたり、期待してくれていた方々がいる中で、やっぱり一番悔しいのは自分自身で、皆さんの期待に応えられるような結果を出せなかったなという思いが今は強いですね。いろいろなサッカーがある中で、上手く適応できなかったのは自分の問題もあるし、もどかしさもありました」
――とくに体制が変わった今季は、チームが掲げるサッカーのスタイル上、「自分の立ち位置は非常に厳しい」とお話ししていました。しかし、それでも常に練習からプロフェッショナルな姿勢を示し続けていましたね。
「もちろん思うことはたくさんありましたし、まず始動してすぐの頃、自分の置かれた状況を受け止めた時に一回心が折れました。ケガから復帰してなかなかチームにマッチできなかった時も、メンバー外が続いたシーズン終盤も、正直、自分のサッカー人生で一番きつい時期を過ごしました。でも、やめるのは簡単ですけど、くさったら終わりなので。今すぐに結果が出なくても、どこかのタイミングで輝けるようにするために、やるしかないなと前向きに取り組んできました」
――そんな中原選手の姿勢は周囲の人々にも伝わっていたのではないかと思います。
「自分で決めた道だし、あるコーチだったり、選手の何人かは『本当に顔に出さずにちゃんとやるよね』と言ってくれて、自分としてはやれることを当たり前にやっているだけでしたけど、少なからず見てくれている人はいるんだなと思いました。それに、心のどこかではまだまだ自分はやれるという自信もあったし、今やらなかったら絶対どこかで自分に返ってくる。逆にちゃんとやっていれば良いことがあるかなと思いながら日々取り組んできました」
――在籍した1年半の中で、印象に残っている試合はありますか。
「直接FKを決めたアウェイ横浜FM戦は、FKってもう自分との勝負みたいなものなので、試合としてはあまり印象に残っていないです。ホームで点が取れた横浜FC戦は、やっぱりあれだけ多くのファン・サポーターが観に来てくれたアイスタで点が取れて、あの瞬間の光景とか、みんなが喜んでいる姿とかはすごく良かったなって思います」
――これからどんなキャリアを歩んでいきたいですか。
「まずは鳥栖をJ1に上げること。自分としては今回の移籍でカテゴリーを一つ下げることになりますけど、常に上を目指してやり続けたいなと思っています」
――最後に、エスパルスサポーターの皆さんへ。
「試合で勝った後はもちろんですけど、負けた後でもすごくたくさん声を掛けていただいて、本当に温かみを感じるファン・サポーターの皆さんがいる中でプレーができて良かったです。もっと自分のプレーをピッチで見せられれば良かったですし、期待してくれていた方々には申し訳ない気持ちがありますけど、鳥栖で頑張って昇格して、またアイスタでプレーする姿を見せられればと思っています。1年半ありがとうございました」
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クールそうに見えて、誰に対しても壁をつくることなく、分け隔てなくコミュニケーションをとる中原。出場機会に恵まれず苦しい時期を過ごしていても、愚直にサッカーと向き合う姿勢は、少なからずチームメイトに刺激を与えていたはずだ。
「今すぐではなくてもこれから先、輝けることを信じて」。エスパルスで培った経験と、持ち前の“雑草魂”が、彼のこれからのキャリアを実らせてくれるだろう。
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