トレーニングマッチレポート
8日間にわたって激しくタクティカルなトレーニングに励んできたオーストリアキャンプも、18日の練習試合をもって終了。カールスルーエSC(ドイツ2部)とのゲームは、内容と結果の双方の面で手ごたえを得られるゲームとなった。
45分間を4本の形式で行われたゲームだが、実際の公式戦の時間と同じ90分間のゲームを2本こなす形。1本目の序盤は、14日に行われたポリッスヤ ジトミールとの練習試合と同様に、前線からのプレスがハマらず、カールスルーエSCに前進を許すシーンも散見された。
だが、練習通りの形をまったくもって出せなかったわけではない。本多勇喜から須貝英大、住吉ジェラニレショーンから藤井智也といった、このキャンプで練習を積んできた対角のロングフィードを用いて、サイド攻撃に移る場面も頻繁に見られる。ピッチ内でのコミュニケーションも活発で、ピッチ内で徐々に修正が図れてきた中で、ハーフタイムを迎えた。
「相手のパターンは前半でよくわかったので、そこはハーフタイムに修正しました」と吉田孝行監督が語ったように、2本目(後半)に入ってからは、自由な前進を許さず、前向きでボールを回収できるシーンも増え、徐々にボールを握って相手の隙を探る時間を作れるようになる。
2本目の11分には、北川航也との連携で右サイドを前進した須貝英大がスルーパスを通し、抜け出した木下康介が巧みなループシュートで追加点をゲット。直後には左サイドのプレスを掻い潜られたところから失点を喫したが、終盤に入ると、途中出場した若手選手たちが大きな爪痕を残した。
33分、カウンターの局面で針生涼太が左サイドのスペースへ飛び出すと、得意の左足で上げたクロスボールを、ジャーメイン良が冷静に流し込む。続く43分には、前線でのプレスでボールを引っ掛けた辻友翔が、挨拶代わりの一撃を沈め、1〜2本目の90分間は3-1という結果で終了した。
3本目がスタートすると、序盤の15分、右ウイングのポジションで起用された北爪健吾が、持ち前のスピードを活かして背後へ突破。自ら冷静にネットを揺らした。
だが、直後の25分には失点を喫し、以降の時間帯はカールスルーエSCにボールを持たれる苦しい展開。持ち前のプレスも機能せず、自陣に押し込まれる時間が続いた中で、4本目の途中の68分には、雷雨の影響で試合はこの時点で中止となった。
1〜2本目は相手の出方に応じてプレスやボールの進め方を柔軟に適応させ、吉田監督も「良い部分と悪い部分の両方があった」と悪くない言葉を口に。一方で、3〜4本目の出来については「失点シーンを1つ切り取っても、戻るべきところに戻れていない。その辺の戦術理解はまだまだですし、一つ一つのプレー強度もまだまだ」と厳しい言葉を残す。
全員が高い水準で戦うことができなければ、真の意味で“強いチーム”とは呼べない。「11人全員が、強度高く、戦術理解高く、攻守にアグレッシブにプレーすることを意識しなければならない」との言葉の下、エスパルスは日本に戻ってからも、日本一のチームを目指して強化を続ける。
監督コメント
吉田孝行 監督
ー試合を振り返って
もっともっと戦術理解を深め、共通認識を持たなければなりませんし、そうした意味で課題は出ました。ただし、ここまで順調に来ていますし、結果の面では良かったと思っています。相手選手もパワーがありましたが、自分たちも負けていなかったと思います。何よりも、きっちりと4ゴールを奪えたことが良かったです。
ータイトルを目指して立ち上げたチームの手応えは?
少しはありますが、最終的にタイトルを手にするためには、何よりも日々成長することが大事です。今はまだ準備段階なので、ここで満足するのではなく、1日1日成長したいという気持ちを持って、チーム一丸となってトレーニングに励んでいければと思います。
選手コメント
吉田豊 選手
木下康介 選手
ー試合を振り返って
試合の立ち上がりはどっちつかずの展開で、暑さもありましたし、ハードでした。ただ、徐々に相手のやり方が見えてきて、後半(2本目)に関しては、相手のやり方があった上で、そこにうまく対応して、自分たちのペースに持ち込むことができました。
ーゴールシーンを振り返って
良いタイミングでパスが来ましたし、相手のGKが不用意なタイミングで飛び出してきたので、冷静に決めることができて良かったです。
ーセンターフォワードに入ってみての手応えは?
相手も自分より大きい選手がいましたが、ヘディングの競り合いは勝てばいいってわけではありません。体をぶつけることで味方にボールを落とすことができたので、そこはうまくできたと思います。
ジャーメイン良 選手
ー試合を振り返って
相手はしっかりとボールを動かして前進する形を持っていて、特に守備面では苦しかった時間がありました。ただ、チームとして、3得点を奪って結果を残せたので良かったです。
ーゴールシーンを振り返って
カウンターの流れの中でしたが、自分の得意な形ですし、良いボールも来たので、しっかり落ち着いて決めることができました。
ー90分間の中で、3つのポジションをこなした。
監督からは、シーズンが始まる前の段階から、その3つのポジションをできるように要求されていました。百年構想リーグの期間、清水はケガ人が多かったこともあって、自分がやれるポジションはどこであろうと高いレベルでやれるように意識しています。そうした意味では、今日すべてのポジションをやれて、まだまだな部分もありましたが、シーズンが進むにつれて、クオリティーを上げていければと思います。
住吉ジェラニレショーン 選手
ー今季のキャプテンに就任することになりました。
監督から「やってくれないか」と言われて、正直、迷った部分もあったのですが、このJ1リーグを戦う清水エスパルスでキャプテンを任されることは、どんな選手でもできる経験ではありません。ここでキャプテンをすることで、もう1段階、2段階レベルアップできるんじゃないかと感じました。リーダーシップを発揮し、チームをまとめる立場になったからこそ、芽生える自覚もあると思います。常にベクトルを向けて、自分を成長させることと、チームをまとめることを両立させることで、自分自身がレベルアップできると思い、就任しました。
ーどんなキャプテンを目指していますか?
これまで所属した3つのクラブのキャプテンは、チームをまとめるのは当たり前で、負けている時にこそチームに喝を入れてくれる存在でした。これまでにも、彼らの声がけ一つで自分の心境が変わった経験はありますが、今度は自分がそれをやっていかなければならない立場です。勝っている時に良い声が出るのは当たり前だと思うので、チームが引き分けていたり、負けている厳しい状況の時に、どれだけポジティブな声がけができるかが大事です。もちろん、キャプテンだけがやることではないとも思うので、チーム全員がそうした声がけをできるように、まずは自分が先頭に立って発信していければと思います。
須貝英大 選手
ー試合を振り返って
キャンプの最終日というところも、相手がドイツの2部のチームというところも含めて、自分たちはチームとして勝つ準備をしっかりとしてきました。ゲームの立ち上がりは少し厳しい展開にはなりましたが、しっかり我慢しながらも、自分たちの形を崩さずに 90分を通してできたことが、3-1の結果に現れたかなと思います。
ー周囲との連携面も徐々に深まってきた?
どの選手もクオリティが高いですし、自分自身やっていてすごく楽しくて、チーム立ち上げから充実しています。開幕に向けては、より一層自分の特徴を出しながらも、どれだけの味方の選手を生かせるかも大事になってくる。ただ、現時点で連携の部分はすごく手応えを感じています。
ー今季の意気込み
日本に帰ってからも、まだ練習試合はありますが、とにかく開幕戦が重要だと思っています。開幕戦を勝つことによって、チームの流れは良くなると思うので、本当にそこに対して、勝つ準備をどれだけできるかを意識しています。ここらは、ちょっと暑い中での練習にはなりますが、自分自身も、チーム全体としても、タイトル獲得に向けていい準備をしていきたいと思います。
辻友翔 選手
ー練習試合ではありますが、対外試合のデビュー戦で早速結果を出しましたね。
このキャンプの前半は、ケガでなかなか練習に参加できず、もどかしい思いをしていました。この最終日の練習試合で結果を出したいと思っていたので、素直に嬉しいです。タカさん(吉田孝行監督)は守備を細かく求めている方ですが、守備面の強度は自分の武器だと思っています。そうした部分の相性が良いのではないかと思って、エスパルスへの入団を決めました。自分の良さを実際の試合で出すことができて良かったです。
ーご自身のアピールポイントは?
スピードが持ち味で、攻守に関わり続けるプレーが得意です。まずはスピードを見て欲しいです。その上で、自分がスピードを発揮できることで、周囲を活かすこともできると思うので、そこの関係性も見て欲しいです。
ーこのオーストリアキャンプを振り返って
自分はまだ加入内定という立場で、難しい部分もあったのですが、自分なりにチームの雰囲気に馴染めるように努力をしてきました。そこはうまく達成できたのかなと思います。一つ一つ、結果を出すことが将来のJリーグデビューにつながると思うので、結果の面でも良いキャンプになりました。