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【大会プレビュー】「U-21Jリーグ開幕。若きヒーローの成長物語を目の当たりに」

Jリーグがポストユース(19〜21歳)世代および周辺年代の選手育成、強化を目的として適正なプレー環境を確保すべく、2026/27シーズンより新設したU-21Jリーグ。“育成型クラブ”を掲げるエスパルスも名乗りを上げ、8月23日に初戦となる浦和レッズ戦をホーム・アイスタで迎える。


緊張感のある舞台で戦う意義

Jリーグは今大会の開催意義として、「プロ選手としての可能性を高めるのに重要な期間である19歳から21歳の選手に対して、『年間を通して90分フル出場できる機会』、『試合→休息→トレーニング→試合のサイクル』、『観られている状況での真剣勝負』の機会を確保し、日本サッカー全体の可能性を最大化すること」と提示している。過去にはリオデジャネイロ・オリンピックに向けた若手選手の育成、強化のためにJリーグU-22選抜チームがJ3に参戦していた時期もあったが、同チームに招集歴のある北川航也は、「試合経験というのはすごく大事だし、それが練習試合ではなく公式戦として戦えること。お金を払って観に来てくれる人の前で試合をする感覚というのはものすごく大事」と当時の経験を振り返る。


例えばプロ2年目のGK佐々木智太郎にとっては、出場すれば「高校時代の最後のリーグ戦以来の公式戦」になる。「プロに入ってからは練習試合しか出ることができていなかったので、こういった緊張感のある舞台で今まで積み重ねてきたトレーニングの成果を出して、プロ入り前の自分との違いを見せたい」と意気込む。


U-21チームを率いる北本久仁衛監督も、「エスパルスのサポーターは熱烈で、そういった方々の前でプレーできることは選手にとって大きな喜びであり、責任も発生すると思います。その中でサポーターの皆さんに『観に来て良かった』と思ってもらえるように、ピッチで全てを出し尽くすような試合ができたら」と若手の奮起に期待を寄せている。


「みんな悔しい想いでこの練習をしている」

U-21Jリーグ開幕に備え、反町康治GMは百年構想リーグ期間中から週中に若手だけのトレーニングや練習試合を組み、トップチームのリーグ戦と並行しながらのマネジメントをシミュレーションしてきた。若手に十分なトレーニングやゲーム機会を確保してきた一方で、U-21チームとしての活動は、選手たちにさらなる刺激をもたらしている一面もある。


8月19日に今月2度目のU-21チームとしてのトレーニングが、冒頭のみメディア公開で実施されたが、針生涼太は「トップチームの選手はみんな悔しい想いでこの練習をしている」と率直な心境を明かした。ただ、そんな悔しさも成長への糧になる。「誰か一人でも緩い選手がいれば言い合うこともあったりして、そういう空気感の中で練習ができている。開幕前だけでなくシーズンをとおしてこの空気感でできれば個人としても成長できると思う」とチームの現状を語る。


土居佑至も「ゲーム形式の練習では『今のはこうしてほしい』といった意見のぶつかり合いや要求がどんどん高まっている。もちろん悔しい気持ちはありながらも、アピールの機会があることをプラスに捉えてJ1リーグ出場を目指していきたい」と同調した。


トライすることで自分の現在地を測る

北本監督は今大会の目標について、「個人がどれだけ伸びて、どれだけ上に絡んでいけるか」と位置づけている。オーバーエイジやユース以下の選手たちとの混合チームの中で、ポストユース世代が1試合、1試合どのような成長を遂げるのか。前節できなかったことができるようになっている。何度も諦めずに仕掛ける姿勢を示し続けている――。そんな各々が自分の課題に向き合い、成長を遂げていく物語を目に焼き付けたい。


例えば百年構想リーグでは試合に絡むことができなかったオム ジュヨンだが、日々の筋トレの効果もあり、加入時より身体が一回り大きくなっている。その中でDF出身の北本監督の指導を受け、「ラインコントロールの部分や、センターバックとして1プレー、1プレーを大事にするところを学んでいる」という。




土居はユース時代に2種登録選手としてルヴァンカップでゴールを決めているが、現状ではトップチームの練習の中で「寄せるところや奪い切るところ、判断のスピードなどがまだまだタカさん(吉田孝行監督)が求める基準を満たせていないのは自分でも分かっている」と自身の課題を認識している。だからこそ、緊張感のある舞台でトライ&エラーを重ねていくことに大きな意味がある。


一方、反町GMはユース世代の強化もU-21Jリーグ参戦の理由の一つに挙げている。U-21チームのコーチも兼任することとなる兵働昭弘ユースコーチは、「せっかくプロの選手たちと一緒にできるチャンスなのでギラギラしたものを見せてほしいし、トライすることで自分の現在地が測れると思う。アカデミー出身者が力を付けてトップで活躍することは、理想ではなく絶対目標でなければいけないと思っているし、U-21チームで活躍するユースの選手が増えてくれば、ユースチームの競争力も高まり、個やチームの強化につながるはず」として、両チームのリレーション役を担っていく。


U-21Jリーグは、現地観戦はもちろん、DAZNでの配信もあるため、日頃なかなか練習場へ足を運ぶことができないファン・サポーターにとっても、クラブの未来を担っていく若手たちの成長を目の当たりにできる機会になる。U-21Jリーグで注目した選手がトップチームで活躍したとなれば、その時はきっと、今まで以上の感動で胸がいっぱいになるだろう。“育成型クラブ”の根幹として、U-21チームの活動が実り多きものになることを期待したい。


取材・文=平柳麻衣


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