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エスパルスにとって大きな価値のある勝利を得た。天皇杯ラウンド16(4回戦) F東京戦の勝利はただの1勝ではない。「リーグ戦0-4でやられた相手に借りを返せた。こんなに嬉しい事はない」と試合後に大榎克己監督が笑顔で語ったように、この1ヶ月の成長を結果で示すことができた。
しかし、試合はまさに激戦だった。代表や怪我など様々な理由で選手を欠き、残りのほぼ全員がベンチ入りという総力戦。ブエノがプロ初先発、六平光成が公式戦で初めてDFとして出場するという、大榎監督の大胆采配が結果的に試合の大きなポイントとなった。試合前に選手たちから「緊張しなくていい。やりたいようにやれば良い」と声を掛けられていたブエノは「最初はミスを怖がって緊張してしまった」と振り返るが、時間が経つにつれ持ち味を発揮。相手の2トップを徹底的に潰していく。そして、空いたスペースには六平がスピードを生かしてカバーに入る。前半37分には、DFラインが高くなっていたところを相手に突かれ、決定的なピンチになりかけた。その場面を六平がファウルで止める。彼でなければ1点を献上していたかもしれない場面だっただろう。
前半を無失点に抑え、試合は後半へ。69分、守備陣の頑張りにエースが奮起した。李記帝のクロスに大前元紀が反応。「ボールを良いところに置けば相手が空く」(大前)とボールをコントロールすると、右足から放たれたボールがネットに吸い込まれた。大前はこれで公式戦5試合連続ゴール。F東京に一時は同点にされたが、直後の76分。高木俊幸がドリブルで相手DFをかわし、ゴール前に上げると、ニアで水谷拓磨が潰れ、ゴール前で転々とするボールに李が詰めた。「次の浦和戦には出られないことは分かっている。自分には天皇杯しかなかったので、120分間でも行けるという準備をしてきた」(李)と、気迫が生んだゴールとなった。守備陣が最後をしっかりと締め、これで2年連続4回戦敗退だった壁を乗り越えた。
今節の相手は首位の浦和。今季広島から移籍したGK西川周作を中心とした守備陣は“鉄壁”と呼ぶにふさわしい。これまでリーグ22試合を消化し、18失点しか許していない。ペトロヴィッチ監督の用いる3-4-2-1のシステムも円熟味を増している。大榎監督は「これまでは引いて守っていたが、最近はアグレッシブにきている」と、浦和の進化を見てとる。攻撃では1トップの興梠慎三のスピード、柏木陽介、梅﨑司の飛び出しに注意しなければいけない。得失点差が+17という攻守のバランスの良いチームは、首位になるべくしてなっている印象だ。
前回の浦和との試合はJリーグ史上初となる無観客試合となった。選手、スタッフの声、ボールを蹴る音が響き、頭上には報道ヘリが飛び交うという異様な光景。しかし、その静寂なスタジアムで最初に盛り上がりを見せたのはエスパルスだった。19分に長沢駿のJ1初ゴールが決まり先制。日本中で注目が集まった試合で堂々とした戦いぶりを見せる。ところが、試合は79分に原口元気のゴールで同点に追いつかれ、ドローとなってしまった。多数の報道陣が詰めかける中、試合後選手たちに笑顔はなかった。
エコパでの浦和戦はこれまで2年連続0-2で敗れている。前回対戦も含め、このまま相手の思うままにやられる訳にはいかないだろう。エスパルスは、李、ヤコヴィッチが出場停止。また、ノヴァコヴィッチはスロベニア代表としてエストニアで試合を終え、帰国して間が無いため、コンディションは万全とは言えないだろう。それでも、やはりFC東京戦の勝利は大きい。DF陣に関しても「この前の試合でやれるという自信はついたと思う」(大榎監督)というように、この1週間の練習でさらに大きなものを掴んでいる。ブエノは、「FWの30番(興梠)は速いので気を付けなければいけない。ただ、スピードでは負けない自信がある。怖くはない。止める自信はある」と胸を張って答えている。
浦和は確かに現在のところ首位であり、穴は少ないが、大榎監督は「当然力はあるが、それに騙されない方が良いと思う」と必要以上に意識はしない。勝負は90分で決まる。そして、「試合は0-0から始まる」(ノヴァコヴィッチ)のだ。恐れることなど何もない。強者を倒し、雄叫びを上げよう!。
公式ケータイサイトでは、大榎克己監督と選手のコメントを公開!!
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2014Jリーグ ディヴィジョン1 第23節
9月13日(土)15:00キックオフ
清水エスパルス vs 浦和レッズ @エコパスタジアム
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