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金子 翔太選手 インタビュー

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4月25日、金子翔太選手がWEB会議システムを使用してメディア取材対応を行いました。


――活動休止が更に伸びてしまうことに関してどのように思うか?

ある程度、想定内と言いますか、緊急事態宣言が5月6日までということで、それが解かれるまでは僕らとしても、練習するのもどうかというのもありましたし、社会情勢、感染状況に合わせるということは致し方ないかと。やりたい気持ちは本当はありますけど。


――活動休止の今、家でどんなトレーニングに取り組んでいるのか?

近所の広場で人が居ない朝早い時間帯に走ったり、トレーニングをしたり、家の中では元々以前からやっていました「フローイン」という体幹器具などを使って筋トレ、体幹などをやっているんですけど、やはり不十分かなというところはあるので、ネットなどで普段の練習であるようなマーカーとか、ラダーとかダンベルとかといった器具もクラブのトレーナーから「購入してみては」という打診を受けていたので、今、注文している最中です。


――今、コンディションとしてはどうか?

正直なところ全く分からないですね。やはり練習の中でのプレーの感覚で自分のコンディションは分かりますし、「今、息が上がっているな」とか、カラダが動いたりとかは練習や実戦形式のトレーニングでないと分からない部分があるので、本当にシーズンオフみたいな感じです。


――実戦感覚を取り戻すために、発見した新しい練習方法などはあるか?

新しいことというよりは今まで自分がシーズンオフに行っていたトレーニングや限られた場所でのトレーニングというのは自分なりに工夫してやっていますし、筋トレ器具などは自宅には無いのが普通だと思うので、以前に岡崎(慎司)選手がスーツケースとかをダンベル代わりに使っている映像をインスタグラムに上げてましたけど、そういうものを参考にしたり、他チームの選手や海外でやっている選手が工夫していることなどを自分も実践してやったりしています。


――チームメイトとの連絡やコミュニケーションは?

頻繁にはできてはいないです。仲の良い選手や年齢の近い選手、僕はキャプテンを任されているので竹内(涼)選手、立田(悠悟)選手と「チームとして、どう今後やっていくのか」とか、「今、何かできることはないか」とか、サポーターの方への発信など相談する機会というものはありますし、SNSを使ってインスタライブをグループでやったりとか、個人でやったりというのも僕もやっていますし、チームメイトもやっているので、これからもっと増やしていきたいですね。


――家に居ることが増えて、パパとしての時間も増えたのではないか?

かなり増えています。子供は朝6時から起きて走り回っているので、人が居ない時間帯に外へ連れて行ったりはするんですけど、やはり思う存分楽しませられていないかなというところはあります。一緒にいる時間が長いので、色々工夫しながら子供が飽きないように色々な遊びをやっています。


――再開が見えない不安もあると思うが、スポーツとしてできること、今後への希望を

どの選手も、またサポーターの皆さんの前でプレーしたいという(気持ち)。何気なくやっていた生活が失われて、今までどれだけ幸せだったんだろうというのはみんなが痛感していると思うし、僕も凄い実感していますし、サッカーが当たり前にできるという気持ちを再開した時にピッチで晴らしたいなという気持ちです。


――トレーニングで負荷をかけることは難しいと思うが、工夫していることはあるか?

なるべく毎日、2、30分のジョギングは行っていますけど、やはり高強度の心肺機能を上げるトレーニングとなると、ある程度スペースを確保しなければできないですが、僕は近所に大きな広場があって、人と接触せずにトレーニングができる場所は確保できているんで、そこで今までチームでやっていたペナルティエリアからペナルティエリアのランニング、約11秒から15秒とかでスプリントする練習をチームで毎週1回はやっていたのですが、それを定期的に行っています。


――負荷としては三保での練習に近いものが得られるのか?

そのトレーニングはかなり強度が高いので、僕以外にもヘナト(アウグスト)や西澤(健太)も、たまにやっていると聞いています。チームから練習メニューを配られていますが、それにも「できれば実践して欲しい」というメニューの一つでもあったので、実践しています。


――天皇杯への出場がJ1の上位2チームに限られることになったが、それについてどう思ったか? また、去年のリベンジの気持ちが強いと思うが、意気込みは?

そのレギュレーションに関しては仕方ないと思っています。J1リーグを優先させたい気持ちは凄く分かりますし、選手を代表して言えるのは、天皇杯に限らず公式戦をやりたいということで、どんな試合であれ、公式戦のピリピリとしたあの雰囲気を選手はみんな味わいたいと思っているし、試合数が少なくなってしまっているのは非常に残念なんですけど、タイトルを獲りにいくという意味でも天皇杯は上位の2チームということで、リーグ戦の方で上位を目指していかなければいけないので。試合数もまだまだ何試合できるのか分からないですし、限られた試合数で結果を残すためにコンディションは保たなければいけないと思っています。


――中学生にとって活躍の場である「中体連」が今年は開催されないかもしれないということで、気落ちしている子供たちもいると思うが、プロサッカー選手として伝えたいことは?

まず、僕らと同様にサッカーができていた幸せというものは感じて欲しいと思います。とは言っても進路だったり、アピールする場が無くなってしまったというのは経験したことがないので非常に辛いと思うし、残念だなと思います。僕も東日本大震災を経験して、サッカーがやりたくてもできないという時期があったので、そういった中でも「プロサッカー選手になりたい」という夢、そういう経験を経て、絶対にプロになって「お世話になった人に恩返しをしたい」とか、被災された方に対して「自分が希望の星になるんだ」という、明るい存在になるというのを当時凄い誓ったのも覚えています。自分の夢に向かって強い気持ちを持ってやって欲しいというのは子供たちには伝えたいですね。


――アスリートとしてモチベーションの保ち方やストレスの解消法、今はどう心を持てば良いのかなどアドバイスがあれば

選手として初めてこういうシーズンですけど、個人的には「日本代表になりたい」とか「海外でプレーしたい」という大きな目標を毎日想うようにしています。でないと、やっていけないというのが正直な本音で、いつ試合ができるか分からないですし、今年、何試合できるか分からない状況で目標というものがブレてしまう。降格がないレギュレーションの中で、本来であればプレーしている時期なので、休むという意識よりは自分の足りないところを見つめ直したり、限られたこの状況の中で、どれだけ強度を持って他の選手よりもトレーニングができるか。関東の選手は外に出るのもなかなかできない状況というのを聞いていますし、逆に今の静岡だったら近所の公園で人が居ない時間帯であれば、できる環境もありますし、そういった環境でトレーニングを積んで、シーズン再開した時に他チームよりコンディション高くやりたいと思っています。


――ファンやサポーター、それ以外の方々も辛い思いをされていると思うが、何かアドバイスを

僕が想像しているよりも非常にもっと辛いと思いますけど。今できること、今しかできないこととか、考えてみると色々見つけられると思います。普段なかなかしないこと。僕も料理したり、家にあるスニーカーを全部洗ったりとか、子供と過ごすのもそうですし、家の中を整理したりとか要らないものを仕分けしたり、普段のシーズン中ではできないこともやっています。もちろんSNSなど使ってサポーターの方に向けて発信したり、今、非常に辛い思いをされている方に何かサポートできないかということも、僕は選手会長ということもあるので、色々と模索している段階ですし、それはクラブの公式サイトを通じて皆さんに何か報告ができればと思っています。

――プレー機会を失っている選手のメンタルを心配する声があるが、メンタルについてはどうか?また、選手のケアで対策はあるか?

チームが解散するタイミングの時に監督が、「我々はシーズン前に言っているようにチャンピオンになるチーム。この準備期間は他のチームと差がつく期間だ」ということを仰っていて、クラブからも(トレーニング)メニューも与えられていますし、再開初日にYoYoテストとか、体脂肪のチェックも行うという通告もされているので、選手としては体を仕上げておかなければいけないと。限られた環境ではあるんですけど、そういったプレッシャーも与えられているし、もちろん監督が常日頃から仰っていた「優勝するに値する行動をこの期間は取ってくれ」と。この状況ですけど、その言葉というのは、どの選手にも響いていると思います。
また、竹内選手と立田選手とも密にコミュニケーションを取っています。近所をランニングしたり、アスファルトの上を走るということは膝を痛める可能性もありますし、あまり良くないということは理解しているので、「今後、自主トレの機会を少数に分けてできないか」というのはクラブと相談しています。それは社会情勢や感染状況にもよりますけど、やはり天然芝のビッチの三保の練習場でボールを蹴るということは正直、コンディションの維持には必要なので、今、クラブの方と相談しています。


――メンタルの部分で、キャプテン3人で話していることはあるか?

正直に言うと、今はモチベーションの部分をチームのみんなに何か言ったりはしていないですね。とにかく、このコロナウイルスに感染しないこと。周りの方に迷惑が掛からない行動をとる、見られている公人ということを理解して、健康でいること。極力、外出を控えることなどに焦点を当てているので、みんな家に居てストレスを抱えている選手が多いので、モチベーションということでは特に僕らからはないです。


――「無観客試合」でリーグ再開が検討されているようだが、それについてどう思うか?

僕は経験がないですけど、以前エスパルスは浦和レッズさんと無観客試合を行ったことがあって、その試合をテレビ中継で見ている時も寂しい気持ちになったのを凄い覚えていますし、やっていた選手もやはりモチベーションの部分であったり、寂しいなという気持ちが強かったというのは出ていた選手に聞いていますし。とは言ってもこのレギュレーションに関しては仕方ない。健康面が一番大事だと思うんで。サポーターの方も観に来たいかもしれないですけど、それを中継して下さって、まずは僕らがプレーしている姿を見せることが第一歩かなと思っています。


――この休止期間に何か面白いことや、新しい発見はあったか?

子供と1日一緒に居るんで、子供の1日の行動パターンが把握できるようになりました。これは奥さんは大変だったなと(苦笑)。これは結婚していて子供がいる、どの選手もそう思っていると思います。これまで僕らは午前中に練習して、ケアとかして、1部練習の時は2時か3時に家に帰っていましたけど、今は1日一緒にいるとなると、もっと色々とシーズン中もサポートしなけれぱいけないというのは本当に思いましたね。


――サポーターに向けてメッセージを

サポーターの方もかなりストレスを抱えていると思いますし、SNSなどを通して「エスパルスが恋しい」とか「Jリーグのない週末は本当に退屈です」というコメントをたくさんいただいていて、やはり僕らはたくさんのサポーターの方に支援していただいたり、愛されているなということがこの期間に改めて分かりました。その中で、この期間でサポーターの方に何か恩返しができるコンテンツやSNSを通してメッセージなども選手会としてもクラブとしても色々と考えていますし、そういったものを届けたいということと、再開した時に強いエスパルスをお見せしたいです。またサポーターの方と一緒になって戦いたいという気持ちがあるんで、是非、この期間一緒に頑張って欲しいなと思います。


――このような経験をして再開した時に、サッカー選手としてポジティブに変われそうなことはあるか?

シーズンというのは毎週同じサイクルで、「練習して試合して休んで、練習して試合して」という、このサイクルというのは楽しみでもありながら、同じサイクルがずっと続いてきたり、チーム状態が悪かったりすると、かなりストレスが正直あるんですね。でも、今、試合ができていないこの時期というものを、再開したときも、そして辛い時期のときも、この期間のことを思い出すと、「サッカーができているだけで幸せだな」と思えると思うんで、この期間辛かったことはしっかりと記憶に刻んで覚えておきたいと思います。

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