前節は、これまでで最も勝利に近づいた試合だったかもしれない。
19分にコーナーキックの流れからカルリーニョス ジュニオの待望の初ゴールで先制。35分に原川力に同点ゴールを決められるが、前半終了間際にカルリーニョスがボックス内から狙うも、相手ディフェンスのスーパープレーでゴールラインを割ることができない。後半に入っても、73分に西澤健太のコーナーキックからヴァウドが頭で合わせてネットを揺らすが、これはオフサイドでゴールを認められず。試合はこのまま1-1のドロー。
3-1で勝っていてもおかしくなかった。「ツキに見放された」と片付けても良さそうな内容だろう。ただ、立田悠悟が試合後に、「得点したあとに、ああいう形で失点をしてしまうのは良くなかった」と話したように、どうにもならない「運」をあれこれ悔やむより、そもそも無失点で終えられなかったことを反省しなければいけない。それでも、これまで続いていた複数失点は、ようやく最少失点となった。特に後半は、これまでにない粘りも見せており、少しずつではあるが、改善の兆しはある。
攻撃に目を向けてみると、エスパルスはこれまで5得点を挙げているが、その得点者のリストを見てみると不思議な現象が起こっている。振り返ってみても、ルヴァンカップ グループステージの開幕戦でゴールを決めたのは左サイドバックの石毛秀樹。リーグ開幕戦はティーラシンが決めた。リーグ再開後、最初に決めたのは金子翔太、第3節はセットプレーから立田が叩き込み、アウェイ神戸戦では途中出場の西澤が相手のミスを見逃さずに仕留めた。そして、前述のように前節はカルリーニョスと、これまで全て異なる選手がゴールを決めている。これは、どこからでも点が取れるということでもあり、指揮官が「我々はチームとして戦うユニット。一人の選手に頼っていくチームではいけない」と就任後最初に語っていたように、着実に正しい方向を進んでいるようだ。
対する大分は、前節無敗の名古屋と対戦。両チームとも前半の早いうちに攻撃の核となる選手が負傷交代するなか、先制したのは名古屋。31分に左サイドの吉田豊がマテウスに預けると、ボールが金崎夢生を経由している間に、吉田は中にポジションを取る。再びボールを受けると、そのまま右足でゴールに流し込んだ。後半開始早々にもフリーキックから名古屋に得点を奪われ、73分には米本拓司に豪快なミドルシュートを決められてホームの大分は0-3の完敗。良いところなく、2連敗となっている。
エスパルスがこの大分戦で勝利を収めるのに必要なのは、「試合をコントロールできなかった部分があった」と前節終了後にピーター クラモフスキー監督が話したように、90分を通してどう戦うかを考えなければいけないところだろう。今季6試合で、半分の3試合で先制してる。先制したチーム勝率が遥かに高いというデータがある中で、1試合も勝てていないということは大きな問題だ。昨季も先制点を奪った試合での勝率は5割ほど。ここは昨季から続く課題の1つだろう。ここを克服しなければ、昨季のような苦しい状況になる。エスパルスがまず先制すること、そしてそこから試合運びを慎重に進めたい。
7月4日にリーグが再開して、これが今月最後の試合になる。この約1ヶ月で白星が一つもないのはあまりにも寂しい。8月はさらに過密日程となり、激動の1ヶ月になることは間違いない。その足掛かりとして、今節こそ勝ち点3を取る!
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2020明治安田生命J1リーグ 第7節
7月26日(日)18:00キックオフ
清水エスパルス vs. 大分トリニータ
@IAIスタジアム日本平
<放送>
DAZN/エフエムしみず
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