デジタルブック版「S-PULSE NEWS」2022年9月号 VOL.292に掲載された記事をチラ見せ!
「ルーキー離れしている」という形容は、もうこの男には適さない。エスパルスで最も長い時間出場し、最も多くアシストしている23歳。いつA代表に呼ばれてもおかしくない左サイドバックは、自分の特徴を最大限に生かせるポジションをどのように見つけ、どんな理想像を追い求めているのか。初の巻頭インタビューで深掘りしていく。
8月17日取材/文=前島芳雄
「1年目なので徐々に試合に絡んでいければ……という考えは全くありませんでした。自分が勝負したいポジションで開幕戦から出て、チームに貢献しなければいけないと思っていましたが、最初の頃はあまりサイドバックで出られなくて、少し悔しい思いをしていました。サイドハーフもできるというのは自分の強みですが、大学の頃と違ってサイドハーフでは思うようなプレーができなくて、メンタル的にかなり落ちていた時期もありました」
昨年9月11日、筑波大学4年の山原怜音は、特別指定選手として第28節・鳥栖戦に初出場。左サイドバックとして非常に落ち着いたボールさばきでビルドアップを安定させ、守備でも堅実な働きでフル出場して、サポーターにうれしい驚きを与えた。リーグ終盤にも4試合に途中出場し、第37節・浦和戦では中村慶太の劇的な決勝ゴールをアシストしてJ1残留に貢献した。
だからこそプロ1年目の今季は即戦力として期待され、開幕スタメンも勝ち取った。しかし、彼自身がこだわっていたポジションはあくまでサイドバック。サイドハーフでの出場では満足できていなかった。