今年は、ホームのサポーターに対して悔しい思いをさせてしまった方が多かったかもしれない。リーグでは、これまでわずかに2勝。もっと勝利を見せることができたはずだ。
前節もそうだった。IAIスタジアム日本平で行われた52回目の静岡ダービー。試合はエスパルスのペースで進んだ。決定機を何度も作ったもののGKのファインセーブなどで得点を奪えない時間が続いたが、34分だった。コーナーキックからゴール前にボールがこぼれ、チアゴ サンタナが押し込んで先制点を奪う。後半は磐田にボールを持たれる時間もあったが、枠内シュートはゼロ。試合は90分を経過し、勝利は目前だった。しかし90+2分、自陣ペナルティエリア内の混戦からボールを拾われ、最後はジャーメイン良に叩き込まれた。
エスパルスには厳しい現実が突きつけられている。勝ち点3を積み重ねていれば13位まで浮上していたが、勝ち点1でとどまり、J1参入プレーオフに回ることになる16位までしか上げられなかった。
そうした苦戦が続いている要因は、後半アディショナルタイムの失点だ。磐田戦を含めて、今季8失点を喫している。特にホームでは、その失点が原因で勝利を取りこぼした試合が4試合もある。サポーターにとって、これほど辛いことはないだろう。今節の相手鹿島は、そうした展開が続くエスパルスにとって、もっとも嫌な相手だ。鹿島は後半アディショナルタイムに6ゴールと、横浜FMに次いでリーグで2番目に多くゴールを決めている。鹿島伝統の勝負強さは、前節も発揮された。
今節の3週間前に磐田と対戦。10分に樋口雄太のゴールで先制するが、そこから前半終了までに3得点を奪われて一気に試合は劣勢になった。それでも後半のスタートから切り替え、47分にエレケの来日初ゴールで1点差に迫ると、後半アディショナルタイム。広瀬陸斗が相手ボックス内で粘って、最後はエヴェラウドが押し込んで土壇場でドローに持ち込んだ。
鹿島のアディショナルタイムの6ゴールのうち、1点はエスパルスとの前回対戦で奪ったものだ。4月に行われたアウェイの試合は、ベンジャミン コロリのゴールで先制したが、鈴木優磨のゴールで同点、さらに90+3に上田綺世のゴールで逆転負けとなってしまった。エスパルスにとっては、今季初のアディショナルタイムでの失点だった。
勝利のためには、もちろん先制点を決めることが大前提だ。そして、やはり終了間際の数分がカギになるだろう。そこからは逃れられない。それまでに2点以上の差をつけて余裕を持ってその時間に臨むのか、それができなかったとしても、これまで以上の集中力を発揮し強い気持ちで守り切るのか。いずれにしても、怯んでしまえば終わりだ。その点では、悔しい試合の後でも、松岡大起が「自信は失っていない」と言い切ったように、選手たちの戦う姿勢は失っていない。
今節はホーム最終戦。これまでの悔しさをこの1試合で晴らすことはできないかもしれない。ただ、アイスタ中を笑顔にさせるチャンスは、これが最後だ。これまでのことも、これから先のことも一旦忘れて、「サポーターの方々に、笑顔でスタジアムを後にしてもらう」というシンプルな目標に向けて、目の前の相手を倒すことに集中する。
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