MATCH REVIEW
前節は首位の鹿島に敗れ、4戦未勝利となったエスパルスが今節、ホームに迎えたのは2連覇中の王者・神戸である。今季の神戸はスタートでつまづき、ここまで6位に留まっているものの、シーズンも半ばに差し掛かり、復調の気配を漂わせている。ハイインテンシティのプレーを売りとするチームに対して、エスパルスはいかなる戦いを見せるのか。5試合ぶりの勝利を目指し、オレンジの戦士たちアイスタのピッチに立った。
秋葉忠宏監督は、敗れたものの内容では上回った前節の鹿島戦から、スタメンを大きく変えることはなかった。メンバー変更は1人で、センターバックの蓮川壮大に代えて、高橋祐治を入れたのみ。ただし、サイドバックの立ち位置を入れ替え、高木践を左に、山原怜音を右に回して、3トップ敷く神戸への対策を取った。
ロングフィードを送り込み、相手を自陣に押し込むシンプルな戦いを標榜する神戸に対し、エスパルスは立ち上がりからその術中にはまりかけた。開始4分にはセットプレーからあわやというシーンを作られると、その後も自陣での対応を余儀なくされ、クリアに逃げても再び攻め込まれる展開に陥った。
即時奪回やセカンドボールの回収を繰り返す神戸の前に、エスパルスはなかなか敵陣へとボールを運べない。それでも11分に勇気を持ったつなぎでプレス回避を実現すると、右サイドに抜け出した山原のクロスを逆サイドのカピシャーバが頭で合わせ、ようやくシュートチャンスを作り出した。
この一連のプレーをきっかけに、エスパルスは落ち着きを取り戻すと、15分に圧巻のプレーが生まれる…
(全文はエスパルスアプリ『プレミアムコンテンツ』へ)
試合後監督コメント
秋葉忠宏監督
やはり勝利の味は最高。聖地アイスタに17,500人以上のサポーターファミリーが来てくれた中、リーグ2連覇中の神戸さん相手に、選手たちにはもう1度自分たちの力を示す、証明するという話をして今回臨んだ。それは何かと言えば、決めきる、守りきる、勝ちきる、惜しいゲームはいらないと。しっかりとホームでサポーターファミリーとともに今言ったこの3つ、守りきるところはできれば0か1で抑えてほしかったが、しっかりと勝ちきるというところも含め、交代選手含めて、全員が非常に素晴らしいパフォーマンスを攻守において見せてくれたと思っている。
セットプレーで2点取れたことは、普段から依田コーチ、上野コーチを含めてかなり分析してくれており、相手をどう攻略していくのか、どう点を取っていくのかという部分をやってくれたものが出た。今週はとくに点を取ろうという話をしてきたので、クロスでどうやって入っていくのか、どこに際どいボールを入れていくのかという中で、狙い通りの先制点であり、やはりトレーニングは嘘をつかない。我々の選手は非常にインテリジェンスとセンスがあり、トレーニングした成果がすぐにゲームに出る、それだけゲームに近いトレーニングができている、しっかりとゲームで使えるものができているということ。我々コーチングスタッフにとっても非常に手応えを得られるゲームであり、やはりこれを続けていけるように、今日の1試合だけではなく、しっかりと示し続けられるように、証明できるように、またやっていきたいと思う。
今日は土居(佑至)をユースから招集し J1デビューを果たして、非常に臆せず堂々としたパフォーマンスを見せてくれた。頼もしい選手が入ってきたと思う。これがクラブチームの良いところであり、一貫してジュニアからトップチームまでしっかりとしたものを築き上げていって、どのカテゴリーであってもやはり清水エスパルスとして戦う姿が見せられるようにしたい。彼にも今後どんどん活躍してもらって育成型クラブというところを示せるようにしたい。育成型クラブと言った意味は、若い選手が育つというだけではなく、加入して来た選手が全員育つことだと思っている。今日途中から出場した小塚や弓場や他にも今季加入して来た選手含めて、もっともっと成長させて強いチーム、選手、クラブにしたいと思う。
――サイドバックの山原と高木を左右入れ替えてスタートした意図
もう1試合神戸さんと対戦があるのであまり詳しくは言えないが、攻守において神戸対策として左右を変えたということ。他にも守備のところでのボールの動かし方など含め、対神戸さん用にやったことがいくつかあった。それをしっかりと1週間、といっても実際トレーニングできるのは2日か3日だが、その中でどちらか一方ではなく攻守両面において体現してくれた。右左が変わるだけで景色も全然違うし、プロレベルになればなるほどポジションが少し変わるだけでも本当はすごく違和感があり、微調整は難しいところだが、それをしっかりと(高木)践も(山原)怜音もやってくれた。践に関しては2点取っており、やはりとんでもないポテンシャルを持っていると思う。
――勝ち星から遠ざかっていた中で神戸に勝てた意義。
ものすごく大きな意義があると思う。選手たちに伝えたのは、先ほども言ったように自分たちの力を示すというところ。当たり前だが、J1の試合に出て満足している選手であれば試合には勝てない。残留争いしました、降格しました、いやこの選手じゃ勝てない、この監督じゃ勝てないっていう話になる。やはり我々の選手たちはゲームに出た上で、ハイパフォーマンスで結果を引っ張ってくる。結果を引き出すからこそ、我々は何年もプレーし続けられ、指導者としてもやり続けられるわけであり、もう一度その存在意義や価値を証明するぞという話をした中で、一発回答してくれた選手たちの逞しさを非常に嬉しく思う。そして先ほども言ったように、今度は勝ち続けること。これで7勝4分7敗のイーブンになったので、次節セレッソ大阪にしっかりと勝ち、半分を勝ち越して終われるよう、連勝できるようにまた1週間いい準備をしたい。
――先制点と2つの得点を生んだコーナーキックの前のプレーは、いずれもクリアボールやセカンドボールを拾ってからのエスパルスらしい攻撃。神戸もセカンドボール回収に強いチームで、そんな相手にそうした面を見せられたこと、評価。
まさに今日はセカンドボールがキーポイントだと話していた。前半10分ぐらいまではかなり後手を踏んでいたが、そこから持ち直して、セカンドボールへの反応、強度、インテンシティ、そこからどうすり抜けていくのかという部分まで非常に良かったと思う。だからこそ、1点目、2点目のコーナーキックにつながるシーンが生まれたと思う。今日でほぼ対戦が一回りしたが、選手たちもおそらく攻守においてどこのチームとやっても大きな手応えと自信を感じていると思う。
――宇野を早い時間帯で交代した狙い。
2-0で折り返した中、相手が2枚替えをしてきてパワー使ってきたので、正直言うと私の判断が遅れてもっと早く代えればよかったと思っている。当たり前だが0-2になったら誰が監督でも何か手を打ってくる。相手の出方を見る中で後半の頭も差し込まれたので、もっと早く決断し、できれば失点する前に代えるぐらいに私自身も決断力を出さなきゃいけない。相手とか流れを見ての交代であり、(宇野)禅斗のパフォーマンスの問題ではない。もちろんイエローカードを1枚もらっているということはあるが、どちらかというと相手との駆け引きであり、相手の交代カードを見ての交代だったということ。
試合後選手コメント
北川航也選手
久しぶりの勝利だったし、勝てない状況でもたくさんの方に足を運んでもらい、アイスタ日本平というのはものすごい力があるとまた改めて感じている。その中で選手はやるべきことを1週間でしっかり準備して、改善しなければいけないところに前向きにトライしたことが今日の結果につながったと思う。満足することはないが、一つずつ成長しているのかなと思う。
前節は鹿島相手に良い戦いができていても勝点を持ってくることができなかったことを考えると、無得点だと多くても勝点1しか得られないということは今週の練習の中で意識していた。ただ、だからといってそれがもろに出たとかではなく、これまでに積み重ねが結果に出たのかなと思っている。
ゴールシーンは…
(全文はエスパルスアプリ『プレミアムコンテンツ』へ)
松崎快選手
勝てたことが何より良かった。先制点が大きかったと思う。押されている時間帯で取れたので、サッカーとはそんなものかなと。(CKからの2アシストは)「大体あの辺だな」と適当に蹴っているだけ。狙っているのかと聞かれても、本当に適当。中の選手が良い感じに合わせてくれているだけ。
(2、3点目に繋がるセットプレーを獲得するまでの攻撃も良い形だったが)今日の神戸のコンディションを考えたら早く攻めきってしまうほうが良さそうだったので、そう意識したことでカウンター攻撃が増えたが、ただ気候や相手のコンディションを含めてもう少しボールを持ったほうが良い時間帯もあるので、そこはもう少し工夫が必要かなと思う。
自身のシュートを増やしたいと話していた中で今日の試合は…
(全文はエスパルスアプリ『プレミアムコンテンツ』へ)
住吉ジェラニレショーン選手
前半で前の選手が2点取ってくれ、後ろはゼロで終えて有利な形でハーフタイムに入ったが、前後半の入りをとくに集中しようと話していた中でセットプレーから取られてしまった。やはり2点差での次の1点というのは大事で、うちが取れば引き離せるし、相手が取れば相手が勢いづく。そういった展開の中でセットプレーからもう1点取れたのは良かったが、終盤にクロスから2点目を取られてしまい、結果的に勝利はできたものの、やはり後ろの選手としてはゼロで終わりたかったところはある。
大迫選手とのマッチアップも多かったが…
(全文はエスパルスアプリ『プレミアムコンテンツ』へ)
高木践選手
1点目はボールで決まったかなと思う。2点目もボールを見て追ってたら足下に来た。思っていた形ではなかったが、しっかりとあそこに入れていたことが良かったと思う。得点に絡めたのは喜ばしいことだし、勝利に貢献できたのは良かった。
序盤からもっと自分たちで保持する想定だったが、あまり上手くいかなかった。ただ3枚回しに変更して、良い展開にできたと思う。(左サイドバックとしての起用は)左足でのキックはあまり得意ではないが…
(全文はエスパルスアプリ『プレミアムコンテンツ』へ)
弓場将輝選手
前半で(宇野)禅斗がイエローカードを1枚もらっていたのと、相手の井手口陽介選手や扇原貴宏選手がセカンドボールへの対応が速いという点で、後半が始まる前から「早めに交代するから」とは言われていた。ただ、2失点目のところで、失点に直接関与したとは言わないかもしれないが、僕がセカンドボールを拾って汰木康也選手にかっさらわれたところから押し込まれたので、そこは自分の中で反省点として時間帯的にもシンプルにやれば良かったなと感じている。
神戸はタレントが揃っていて一人ひとりの個の能力が高いと感じたものの、今季エスパルスに加入してきた僕の立場から見ると、アイスタに来た相手チームは何となく本領を発揮できていない気がしている。アイスタの雰囲気には特別な…
(全文はエスパルスアプリ『プレミアムコンテンツ』へ)
土居佑至選手
神戸という強度の高い相手に対して、スタメンの選手や途中交代で入った選手たちはすごく強度の高いプレーで点を取ったり、相手のチャンスを防いだり、攻撃で相手を上回ったりしているところを見て、自分も試合に出たいなと思いながらアップをしていた。
いつでも行ける準備はしていたので、それがピッチに出て、自分の持ち味も少しは出せたかなと思っている。ビビらずバチバチ…
(全文はエスパルスアプリ『プレミアムコンテンツ』へ)