午後の練習試合に向け、ハーフコートを使って、メンバーを頻繁に入れ替えながら攻守に分かれてこれまでやってきたことの確認を繰り返すフィールドメンバー。「シュートだよ!シュート!」と、とにかくフィニッシュをシュートで終えようとさせる長谷川監督からは頻繁に声がかかる。守る側は、ボールを奪って終わりではなく、奪ってから次のパスを出すところまでをやっており、攻守の切り替えの速さを要求されているのが見ていてわかる。今日の試合はよりいっそうオートマチックなボールの流れが見られそうで楽しみだ。足を止めて監督の声に耳を傾けたり、選手同士が話し合ったりする姿が見られ、徐々にコンビネーションも合うようになってきた。
一方、空いている方のゴールでは、連日北嶋選手がシュート練習を続けている。まだ接触プレーができない状態だが、だいぶ調子が上がってきている様子。ゴールポストぎりぎりのコースを狙い済まして、中原コーチや上原通訳をディフェンスにしてトラップからシュートの練習を続けている。ときどき悔しそうな叫び声を挙げるが、きわどいコースを決める北嶋選手に「キタジすごいよ」と中原コーチが言う。みんなと一緒にサッカーができない分、悔しさをゴール練習にぶつけ復活の日を待っている。
練習の途中で、長谷川監督が選手とスタッフ全員をグラウンド中央に集めた。何を話していたかまでは聞こえなかったが、その選手たちの姿がこれまでのどの集合より、直立して監督の話を聞いているように思えた。キャンプも仕上げ段階へと入り、選手の顔つきも変わってきた。
その後2グループに分かれ、1グループはセットプレーの練習。もうひとグループはシュート練習を行った。「決めろ!決めろ!」激しい監督からの言葉に応えるように、強烈なシュートが次々とゴールに突き刺さった。しかし、フェンス越えの天ぷらシュートをした選手や外し過ぎの選手には、やっぱり?腕立て10回のペナルティが課せられていた(笑)。なかには自ら反省して自主的に腕立て伏せをする森岡選手の姿も。今日はいつにない大スランプのなかにいた久保山選手。かなりの筋トレになったにちがいない。
<練習試合> VS 鹿屋体育大(15:00キックオフ at 国分運動公園)
※45分×2本
【1本目】エスパルス 0−0 鹿屋体育大
【2本目】エスパルス 1−1 鹿屋体育大
▼得点
【2本目】71分[鹿屋体育大]
【2本目】81分[S-PULSE]藤本淳吾※
<サバイバルゲーム>
長谷川監督は、今日のこの試合を若手の“サバイバルゲーム”と位置づけた。ベンチ入りに近い選手もいる。さらに上にいくためにアピールタイムとして、この試合チャンスがもたらされた。指揮はサテライト監督に任せ、長谷川監督はスタンドから戦況を見守ることとなった。
新加入選手と練習生のメンバー構成に足りないポジションを補った。基本的には90分。彼らにとっては初めての試合となった。しかし、折からの疲労と単純なパスミスからなかなかゲームにならない。0−0で前半を折り返すが、71分に得点を奪われた。10分後に練習生 藤本による得点で同点に追いついたが、そのまま90分を終えた。
「けっしていい状態でゲームをやらせている訳ではないですけど、彼らはこの試合で現状を把握できたはず。もう一度このゲームを見て、甘くないということを理解して振り返って欲しい。ここで結果を残さなければプロとして認めてもらえない」と吉永コーチ。だが、長谷川監督はさらに厳しかった(※「健太語録」参照)。
そんななかでも及第点をもらったのは、プロ入りしてからサイドバックに挑戦している兵働だった。大学卒業ということもあり、ほかの選手より年上だが「いろいろなことを考えてサイドバックをやってもらった。及第点はあげられると思う」と長谷川監督。ほかには、本来はセンターバックながらサイドバックで起用された青山について「頑張っていました。彼はフィジカルの良さを活かして欲しかった。真面目な選手だからこれからいろいろなポジションを試してみたい」と語った。
バスに乗り込む選手たちの話を聞くと、ほとんどの新加入選手にとっては、イメージとは程遠い出来だった様子。この悔しさをバネにしてこの1年どれぐらい成長してくれるか楽しみだ。
<練習試合後 選手コメント>
兵働昭弘選手
全然よくありませんでした。チームとしてひとつになっていなくて、バラバラになっていて、まとまりがなかった。ディフェンスの動きに関しては、徐々に改善されていると思うんですけど、前にボールが収まっていなくて自分が上がるチャンスがなかったので、もう少しチームとして練習していけばもっといい攻撃ができると思います。僕は大学卒ですから、差は感じませんでしたが、現状チームの完成度という点で向こうのほうが上回っていたと思います。今はチームで自分たちが一番下じゃないですか。やっぱりそのなかで自分がどれだけアピールできるかというのが大事になると思います。サイドバックは初めてですが、自分のためにもなると思います。持ち味は前に積極的に出て行くことです。そういう意味では特性を活かせるポジションでもあると思います。
鈴木真司選手
最悪でした。もっとできると思っていました。焦りでパニくって、同じミスを多くしてしまい、ゲームのなかで改善できませんでした。攻めのときにもう少し動き出しを早くしたい。
平岡康裕選手
できないのはわかっていましたし、体が動かないのもわかっていましたが、ひどい内容でした。
長谷川監督の指示に真剣な表情の選手たち。
鋭いシュートを見せた枝村選手。
財津選手と平岡選手。ルーキー同士の競り合い。
澤登選手をマークする鶴見選手。
ゴールを決めカメラ目線でアピールする平松選手。
絶妙のクロスをあげる市川選手。
この練習で最もゴール決定率が高かった斉藤俊秀選手。選手たちからは「よっ!ストライカー」と言われていた。
鈴木真司選手
平岡康裕選手
財津俊一郎選手
青山直晃選手
枝村匠馬選手
山本海人選手
ルーキー主体の試合を見守る先輩たち。
兵働昭弘選手
後半81分にゴールを決めた藤本淳吾選手(練習参加選手)。
左よりトゥット、杉山、市川、高木和、鶴見
安とアレックスの間で照れ笑い(?)の塩沢
伊東輝悦
田中とボールを競る鶴見
澤登、高林
SBS「月刊エスパルスTV」の取材シーン。どうやら高木純平選手の物真似持ちネタ披露させたようです。何をやったかは後日放送をお楽しみに!