クラブが大きな決断に踏み切ったのは、FC東京戦の翌日だった。今季から指揮を執っていたロティーナ監督が契約解除となり、後任は平岡宏章コーチに決まった。「2年連続でこういう形になってしまい、コーチとして責任を感じていたが、愛するエスパルスが強くなっていくために、前に進んでいくしない」と、強い決意で臨むことになる。
その前節は、今季最も厳しい試合だったと言えるだろう。7分にアダイウトンにゴールを決められると、その5分後にはフリーキックからオウンゴールで追加点を許してしまう。さらに、24分にはコーナーキックからディエゴ オリヴェイラに押し込まれた。3失点は、その後の戦いにも大きく響いた。後半からボールを持つようになったが、引いて守るFC東京のブロックを崩すことができない。それでも83分には、相手ディフェンスのクリアボールを山原怜音がダイレクトボレー。ゴールに向かって一直線に向かうがポスト直撃でゴールならず。逆に、87分に再びコーナーキックから失点し、計4失点。得点も奪うことができず、エスパルスは3試合連続完封されて3連敗となった。
セットプレーの守備の改善、得点力不足の解消と、新監督には課題が山積みだ。それをわずか2日で形にしなければいけない。なぜなら今節の相手は、苦手とする札幌だからだ。16年にJ2で対戦して以来、ここまで11戦で2勝9敗と大きく負け越している。それも、19年には2-5、0-8と大敗し、昨季も1-5で敗れている。エスパルス戦で7得点を決めているアンデルソン ロペスは武漢足球倶楽部に移籍したが、ジェイ、チャナティップなどは健在。さらにフリーキックの名手である福森晃斗にも警戒しなければいけないだろう。
ただ、昨年平岡監督がチームを率いた時も、同じような状況だった。11月1日に監督に就任し、2日後の11月3日は第26節神戸戦。それまで7試合勝利がないチームが、前半に1点リードを奪われてから一挙3得点を決めて逆転勝利をあげた。そうした修正力に期待がかかる。
その札幌は前節湘南と対戦している。試合は20分、ロングボール一発で相手の裏を突き、最後は菅大輝のクロスを青木亮太が合わせてネットを揺らす。しかし、直後から湘南の反撃に遭うと、64分にはゴール前の素早いパス交換から平岡大陽に決められ、試合はドローに終わった。それでもこの勝ち点1で、札幌はJ1残留を決めている。
札幌は目標を達成した直後の試合で、気持ちの面では隙が生まれやすい。一方、エスパルスとしては16位に後退して最初の試合。そして監督も代わった。負けられない、勝たなければいけないという気持ちは、相手より確実に上回っているだろう。それをいかに結果に反映させるか。昨年、平岡監督は「戦う集団」を合言葉に、気持ちを全面に押し出したチームに変貌させた。今回は、「犠牲心と一体感」を植え付けて、チームを変えようとしている。前節の敗戦のショックを引きずることなく再びチームが結束し、平岡監督の初陣を勝利で飾る!
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