歯車が噛み合っていない。直近の公式戦だった天皇杯2回戦岐阜戦は消耗の激しい試合になってしまった。前半からボールは握っても、最後の精度を欠いてゴールに迫ることができない。後半に入ってようやく攻撃が機能してきたものの75分に失点。82分にカルリーニョス ジュニオのPKで追いついたが試合は延長に突入。だが103分に失点し初戦敗退となった。
試合後に秋葉忠宏監督は「我々は弱い」と話した上で、ただ「選手の方から色々な言葉が聞けたり、変化が見られた」という。試合後のロッカールームで、選手たちから悔しさや、このままではいけないという心の奥底から出てきたものをぶつけ合い、この状況を変えようという必死の姿が見られていたようだ。
その中で今節を迎える。熊本は天皇杯2回戦の琉球戦が今月21日に行われるため、今週のゲームはこのエスパルスとの一戦だけになる。その前節は熊本を勢いづかせるものだった。いわきとのアウェイゲーム、16分に相手陣内でボールを奪い、黒木晃平のグラウンダーのクロスに粟飯原尚平が飛び込んで先制。さらに22分には、コーナーキックから平川怜がゴール前に高くあげたボールを大西遼太郎が頭で合わせて追加点を奪う。後半に入っても、58分にボックス内右でボールを受けた大本祐槻が中央に持ち運んでシュートを決めると、その5分後には粟飯原のラストパスを平川が右足で蹴り込んで4点目。いわきを終始圧倒し快勝している。熊本は、第17節水戸戦に3-0で勝利、第18節の山形戦は0-3の敗戦、そして前節の4-0と極端な試合が続いている。つまり、先制点を取られたときは厳しい戦いになるが、逆に先制した時の勢いは怖い。やはりエスパルスは先制点を奪うことが求められることになる。
その熊本を率いるのは、エスパルスでも監督やコーチなどを務めた大木武監督。熊本の監督として今季で4年目。熊本をJ3からJ2に引き上げ、昨季は4位でJ1参入プレーオフに進出し、決定戦でJ1の京都に敗れて昇格は逃したが、あと一歩まで迫った。メンバーの半数近くが入れ替わったが、それでも現在はエスパルスの1つ下の11位。チームを育て上げる手腕は変わっていない。
熊本とは今季鹿児島キャンプ中の1月30日に練習試合を行っている。主力組で臨んだ40分✕2本の試合、1本目は両チームとも決定機を作ることができなかったが、2本目の3分に中山克広のクロスに乾貴士が合わせて先制。そこからは相手にほとんどチャンスを作らせず、そのまま1-0で勝利した。その当時とは両チームとも大きく変わっており、その結果は参考程度でしかないだろう。それでも、そのアシストをした中山が「良い印象がある」と話しているように、熊本に対して悪いイメージはない。ましてエスパルスがJ2時代の2016年に対戦した2試合は、2-0、4-0と快勝している。そのことからもポジティブな気持ちで今節を迎えたいところだ。
ここまで内容は悪くない、でも勝てていないという試合が続いているが、求められるのは気持ちの部分だ。秋葉監督は「(監督に就任してからの初戦の)東京V戦から比べたら少し落ちている。もう一度あの時の気迫だとか、球際の切り替えだとか、勝負強さを見せてほしい」。初戦に立ち返り、アウェイの連敗を止めてここから這い上がっていく。
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