全国的に天候が崩れた9日は、鹿児島と言えど午後1時の時点で気温が10度を下回るという過酷な状況。その中で、エスパルスにとって鹿児島キャンプの集大成とも言える松本との練習試合を行った。

1本目のメンバーは試合前日、紅白戦で確認したメンバーをそのまま配置。2トップは鄭大世と、北川航也がコンビを組んだ。

序盤、エスパルスの攻撃方向に吹く強風は、得意とするクロスからの攻撃をなかなか味方してくれない。それはセットプレーも同じ。白崎凌兵の左CKは風に流され、そのままゴールラインを割ったほか、左CKを担当していた野津田岳人のキックも、どうしても相手GKの方向に飛んでしまう。ただ、相手陣内でセットプレーの回数が多いということは、それだけ攻め込むことができている証拠。相手ボールとなった瞬間から前線の選手から守備のスイッチが入り、カウンターを阻止するたけでなく、ボールを奪い返して逆にショートカウンターを狙い続けた。

ようやく風にも慣れてきた33分には、白崎に左CKから犬飼智也が頭で合わせると、ボールはバー直撃。さらに43分、野津田のFKに再び犬飼が頭で合わせるなど、いずれもゴールにはならなかったが、チャンスの数で相手を圧倒した。

2本目のスタートは、右サイドバックに大卒ルーキーの飯田貴敬が登場。開始から数分は、松本のボール回しに、チーム全体として守備が上手くはまらない場面も見られたが、時間の経過とともにボールを支配する展開に。その中で、右サイドの飯田が積極的な仕掛けで攻撃の起点になった。15分にはディフェンスに仕掛けてクロス。こぼれ球に、犬飼が右足を振り抜くも、惜しくもゴール左に外れる。さらに飯田は、20分に右サイドから中に切り込んで左足でシュートを放つなど、存在感を見せていた。

25分には、GKの六反勇治と六平光成、野津田を残してメンバーを入れ替え。京都戦では、この直後に失点を喫してしまったが、この日はその逆。右サイドハーフに入った村田和哉が、その特徴を生かしてギアを上げた。

それが結果として現れたのは、2本目の後半とほぼ同じメンバーで臨んだ3本目。6分には、ビョン ジュンボンの縦パスに村田が抜け出し、中央に切り込んで左足シュートはポスト直撃。さらに、14分。右サイド深い位置から村田の落としに、飯田が中央にクロス。

「風で軌道が変わった」（飯田）

というボールは、ラッキーな形でゴール左角に吸い込まれた。扱いに困っていた風が、ようやく味方してくれた格好だ。

このゴールに、村田も続いた。40分、右サイドから抜け出しシュート。これはGKに弾かれるも、こぼれ球を北川航也が拾いゴール前は混戦に。こぼれたボールを村田が蹴り込んで追加点を挙げた。

村田と飯田。野洲高校出身の2人は、このキャンプ中は同部屋で、
「やってやろう」
と気合いを入れて臨んだ試合。その2人が揃って結果を出した。

試合はこのまま終了。45分×3本合計2-0でエスパルスが勝利した。

松本とはこれまでリーグ戦で一度も勝てていない相手。この日は練習試合ではあるものの、しっかりと借りを返すことができた。内容でも、自分たちのサッカーができなかった昨年までとは違い、ほぼ一方的なペースで試合が進んでいた。

「チャンスは作れるようになってきているので、決定力を開幕までの3週間でさらに詰めていきたい」
と小林伸二監督。明日10日午前中に鹿児島キャンプ最後の練習を行い、開幕までの仕上げに入る。

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