鹿児島キャンプに入って最初のトレーニングマッチ、モンテディオ山形戦が45分×3本＋30分の変則マッチで行われた。「1本目と2本目で全く違うプレッシングになった」と原輝綺が振り返ったように、ボール保持率を高めようとしてくる山形に対し、ピッチ内の選手同士で修正しながら様々なトライをした。

1本目は「少し構えながら（相手に）後ろで持たせていた感覚だった」（原）と相手の出方を窺いながら、無理に前からプレスには行きすぎず。乾貴士が右サイドの矢島慎也に対して「オレが行ったタイミングで（プレスに）行って」とピッチ内でコミュニケーションを取るなど、守備のスイッチを入れるタイミングを探りながらチャンスを作っていった。

21分には左サイドからの大きなサイドチェンジを原が折り返し、ニアに走り込んだ中村亮太朗がシュートも枠外。34分には中村から北川航也を経由して最後はカルリーニョス ジュニオがループシュートを放つも枠上へ。左サイドから攻め込まれる場面も何度か作られたものの、キャプテンマークを巻いて左センターバックに入った蓮川壮大が一対一の強さを発揮し、ピンチを防いだ。

2本目に入ると、「せっかくのキャンプ1試合目だし、いろいろ試してみようってことで選手発信で決めた」（原）とプレスの掛け方をマンツーマンに変更。前への推進力が増し、相手ゴール前に攻め込む回数も増えていった。2分には原のクロスに乾、北川が飛び込むも合わせきれず。10分には乾のサイドチェンジを矢島が折り返し、最後は白崎凌兵がシュートを放つもブロックされる。22分にはカルリーニョス、乾、北川が細かくパスをつないでエリア内に侵入し最後は乾がシュートを放ったが枠の上に外れた。

25分になると、フィールドプレーヤーを一斉に交代。すると早々にビッグチャンスが訪れる。34分、右からのクロスに郡司璃来が合わせたシュートはバーを直撃。1分後にはゴール前に顔を出した宮本航汰がシュートを放つも、これもクロスバーに嫌われた。45分の川本梨誉のシュートは相手DFがブロック。

得点の気配が漂ってきた中、3本目の9分にようやく試合が動いた。住吉ジェラニレショーンのロングボールを川本が触り、こぼれ球を拾った西原源樹（ユース）がドリブル突破からネットを揺らす。13分には右サイドを抜け出した西澤健太からのグラウンダーのパスに西原が合わせ、2点差に突き放した。

23分にCKからオウンゴールで失点を喫したものの、4本目の19分には相手選手のミスを見逃さなかった郡司が追加点を奪取。4本合計3－1で試合を終えた。秋葉忠宏監督は「きついトレーニングが続き、身体もしんどい中でいろいろなことにトライしてくれた」と評価。また、2本目の途中から出場した宮本航汰は「やってきた練習の強度であったり走力のところで成果は感じている。ゲームよりも練習の方がきついと思える感覚がある」と始動からここまで積み重ねてきたトレーニングの手応えを口にした。

キャンプ中には、最終日に磐田とのトレーニングマッチが予定されている。秋葉監督は「まだまだ（新加入選手よりも）昨季からいる選手たちの方が分かってくれているので、よく動けているなと思う。ただコミュニケーションは取ってくれているし、よりお互いを分かり合えればかなり面白くなると思う」と今後の伸びしろにも期待を寄せた。

ブロックを作っている時はほぼやられる気がしなかったので、相手がGKを使って回している時にどうはめるか。きついトレーニングが続き身体もしんどい中で、いろいろなことにトライしてくれた。ハーフタイムにも選手たちからすごくいろいろなアイデアが出たし、我慢強さだとかチームに対する献身性みたいなものも見れた。修正した後の2本目では、相手を押し込みながらどうやって点を取るかというところまで持っていけたので、メンタル的にかなりタフなチームになってきたなと感じる。

コンビネーションのところで何度もチャンスを作ってくれたので、あとは最後の丁寧さ。奪った後のファストブレイクについて今年は話しているが、そこの精度がまだちょっと良くなかったので、そこを意識させながらやっていけばかなり仕上がってくるんじゃないかと思う。ここまでのキャンプでは、カウンター対応やゲーゲンプレスだとか、プレッシングのところ、攻撃でどう押し込んだり、どう追い越していくかのところをやってきた。今日は今までやってきた4つ、5つのことをやってみようというゲームだったが、明日以降またいろいろなことにチャレンジして、あとは回数を増やして精度を上げていければと思う。

今日は1本目と2本目で全く違うプレッシングだったので良い練習になったなと思うし、前からはめるのか構えるのか、上手く使い分けられれば、どちらとも僕は全然良いので、今日はよりリアルなチームとしての戦い方ができたなと感じている。

1本目は少し構えながら（相手に）後ろで持たせてたっていう感覚だったし、そこでストレスを感じる必要は全くないと思っている。実際の試合は90分あるので、練習でやってるように行ったり来たりやるのは賢くない戦い方。攻撃の時間を増やすというよりは相手コートでプレーする時間を増やせればいいと思ってるし、相手コート内で良いチャレンジができるようにするために切り替えとかゲーゲンプレスの練習があると思っている。

（新加入で一緒にプレーした中村、矢島との連携は）より気を使える選手が入ってきてくれたなと。亮太朗くんにしてもヤジくんにしてもすごく助かるし、僕も含めてみんなが距離感を良くしながら助け合いをしないとこういうサッカーはできないので、なるべくチームメイトが孤立しないように、自分が助けに入れるように頑張りたい。

（1、2本目は）ゼロで終われたのはディフェンス的には良かったので、そこは継続していきたい。同数で守るのは自分の良さでもあるし、そういう場面は公式戦の中でも絶対ある。ただリスクを冒しながらもなるべくそういう風にならないように、連動した守備の準備も必要で、その上で一対一の場面が起きた時には、個人で守れるようにやっていきたいと思う。プロに入ってから走ったり対人のトレーニングはなかなかやってこなかったし、奪った後さらに前に出ていくという部分は、エスパルスに来てから自分の良さをより伸ばせているのかなと思う。

チームとしては、あとは得点を奪うところ。こういう速いサッカーをやっている分、最後は個の質が勝負を決めると思うけど、前の選手が決めきる力をつけていくには、トレーニングで僕ら守備陣が強度の高い守備をしていくことで、実際の試合になった時に（前線の選手たちに）余裕が生まれてくると思うので、そこは練習から意識していきたい。

試合は勝つことが大事なので勝てたことは非常に良かったけど、自分のポジションのことを考えるとオウンゴールで失点してしまったのでそこは反省しないといけない。セットプレーは今まで自分がやってきたやり方とはもちろん違うけど、そこは順応していかないといけないし、セットプレーにおいてのチームみんなの特徴はまだ掴みきれてないところもある。自分の得意なプレーを引き出すためには周りの協力が必要なわけで、そこは喋ってコミュニケーションを取っていくことが必要。キャンプは話す時間が長い環境があるので、より多くのコミュニケーションを取ることを重視しながらやっている。

開幕まで限られた時間で準備をしなきゃいけないし、サッカー選手はピッチから離れる時間も長い。そこでどれだけ自分に矢印を向けられるかが今後のサッカー人生にも関わってくる。今これだけ素晴らしい環境でキャンプをやらせてもらっていることに感謝の気持ちを持たないといけないし、何不自由なくサッカーができるということはいろいろな人の協力があって成り立っていることだと思うので、そういったところは忘れることなく謙虚にやり続けることが大事。今を楽しみつつ自分に矢印を向けてやっていきたい。

得点はできたけど、上手くいったところはあまりなかった試合だった。あと2回は決められるチャンスがあったし、決めきらないとチームに貢献できないので、しっかり決めていきたい。

守備はだいぶ分かってきたし、前よりは少しずつできることも増えてきたと思う。奪い返して前に行く部分なんかは市船と共通する部分もあると感じる。ただ、プロはやっぱり慣れない環境だったり、高校とは違ったハードさがあって、毎日の練習がきつい。身体はもちろんだし、内面的にも疲れるので、そういうところも早く慣れていかなければいけないと思っている。例えば身体のケアにしても、高校までは練習前にストレッチをしたこともなかったけど、プロではみんなやるのが当たり前。まだ天然芝に慣れてないので、ボールがスリッピーなのとかにも慣れていない。止める・蹴るの技術だったり、まだまだ自分がやるべきことはたくさんある。

技術的なミスは先輩たちがたくさん指摘してくれるので、しっかり聞いて改善していかないと試合には出られないと思っている。開幕のメンバーに入ることを目指しているので、次の練習試合でも出場チャンスをもらえたらしっかり結果を残してアピールしていきたい。

トレーニングマッチ前に清水銀行望月文人代表取締役専務、伊藤隆行東京事務所長が激励にお越しくださいました。また激励品として、メロンを40個いただきました。日頃より多大なご支援いただき、ありがとうございます。