鹿児島キャンプ9日目。午前練習前のミーティングで今シーズンのキャプテン、副キャプテンが発表された。キャプテンには北川航也が就任。「プレーでも自分が引っ張っていく覚悟だったり、キャンプ中の振る舞いでもコミュニケーションを取る姿勢が見て取れる。30年以上あるエスパルスの歴史と伝統を背負うのに適任」（秋葉忠宏監督）などの理由から、スタッフ陣の話し合いで名前が挙がったという。

副キャプテンには原輝綺、山原怜音、カルリーニョス ジュニオ、沖悠哉が就任した。原と山原は「20代で年上とも年下ともフラットにコミュニケーションが取れる」、カルリーニョスは「長い年月、母国を離れてプレーしているメンタル面のタフさ、人としての器の大きさ」などを理由に選出された。沖は「新加入選手の中から一人選びたかった中で、完全移籍で覚悟を持ってきてくれたこと、ここまでのトレーニングの姿勢や周りの選手とのコミュニケーションなどを見て適任だと思った」と秋葉監督は選定理由を明かした。秋葉監督は「キャプテン、副キャプテンだから試合に出られるというわけではない」とも述べ、開幕に向けたさらなる競争の活性化を促した。

この日の午前練習は、攻撃陣と守備陣に分かれて実施した。攻撃陣は、1人がサイドから仕掛けてクロスを送り、中にいる1人に合わせる形。その後は3人で連動してシュートまで持ち込む動きを繰り返し、互いのパスの呼吸を合わせていった。一方の守備陣は、秋葉監督の指示のもと、ライン設定の基準を細かく確認。コーチ陣がボールを動かすのに合わせて声を掛け合い、上下動を繰り返した。

午後はゲーム形式の練習が中心となった。ハーフコートで10対10＋フリーマンを実施した後は、フルコートでGKも含めた11対11。午前練習で行ったサイド攻撃やラインコントロールを実戦形式で確認しながら激しい攻防を繰り広げた。ディフェンスラインの背後へのボールを原が対処し、すかさず中村亮太朗から左前線のカルリーニョスへ大きく展開してシュートまで持ち込んだ場面では、原の守備対応に対してチームメイトや秋葉監督から「ナイス、テル！」の声が響いた。

『鹿児島ふれあいスポーツランド』での練習も残すところあと1日。キャンプ最終日の磐田戦に向け、明日の練習でも万全を尽くす。

（キャプテン就任が発表され）キャプテンだからどうっていうのは自分の中で全くなくて、今年に関しては長くエスパルスを引っ張ってきた選手がいなくなってしまって、若い選手が増えて、自分たちの代が引っ張っていかないといけないし、自分にできることをやろうと思っている。チームが良い方向に進むように、みんなの力を借りながらシーズンを通してやっていければと思う。思い詰めることも背負い込みすぎることもなく、自分らしくやっていければと思うし、皆さんが思うキャプテン像とは多少違うかもしれないけど、それが自分だと思っている。自分がチームをまとめるというよりも、自分自身も経験ある選手たちからまだまだ吸収して、成長していきたい。

やっぱり去年の悔しさは一瞬たりとも忘れたことがないし、あと勝点1、あと1分、あと1ゴール、そういった際のところで昇格できなかったと思っている。またJ2を戦うことになるが、自分たちに必要なことだと思って取り組まなければいけないし、このリーグを戦い抜かなければその先はない。勝つことで地元の方々が喜んでくれる姿だったり、夢を持ってくれる子どもたちのためにも、自分たちは日々努力していかなければいけない。

キャンプはみんなといる時間が長いので、バスの中や食事会場、お風呂の中でサッカーの話をしたり、ずっとサッカーのことをみんなで考えることができて、充実した時間を過ごすことができている。同じポジションの人とも話すし、僕はDFなので、FWの選手の考え方が気になって、よく話を聞くようにしている。

去年から時々ボランチでプレーすることがあって、今日のゲーム形式の中でもボランチでプレーした。自分としてはセンターバックで勝負したい気持ちもあるが、他のポジションをやることで今後につながることもあると思って前向きに取り組むようにしている。センターバックとボランチの一番の違いは、視野の部分。もっと余裕を持ってプレーできるようになりたいし、そのためにはもっと周りを見ないといけない。ボランチでそれができるようになれば、センターバックに入った時に見える景色も変わってくると思う。

キャンプの最終日には『静岡ダービー』がある。まず練習試合だろうと公式戦だろうと負けてはいけない相手だし、自分としてもキャンプの締めくくりとしてしっかりアピールできるようにしていきたい。