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【2024鹿児島キャンプ最終日】総括レポート・監督/選手コメント

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キャンプレポート(総括編)

2月10日のトレーニングマッチ磐田戦(白波スタジアム/45分×4本)をもって、2024鹿児島キャンプの全日程が終了した。「昨年のような悔しい思いをしないために、何を変える必要があるのか。全員で考えていきたい」と話していた秋葉忠宏監督。11日間の春季キャンプでは、チームにどんな変化が見られたのだろうか。キーワードは、秋葉監督がキャンプ前に掲げていた「量」だ。


まずは、ほぼ全選手が「過去一番きついキャンプ」と口にしたように、フィジカル面の負荷の「量」。シャトルランなどの素走りだけでなく、ボールを使った練習メニューの中にも「走る」要素を取り入れたものが多かった。この効果について、山原怜音は「正直僕はメンタル的な部分の積み上げが一番あったと思っている」と振り返る。


「苦しい時にいかに自分に負けずに一歩前に行くとか、身体を寄せ切るとか、僕たちが去年最後の最後に泣いたのは、そういうサッカーの本質的な部分が大きいと思う。シーズンを通してもあと一歩のところで落とした試合が何度もあったし、それは去年だけじゃなく2年前も感じたこと。みんな口では『練習きついー』とか言いながらも、各々感じている部分があるんじゃないかと思う。ボールを扱うのが上手い選手たちばかりだから、これでもっと走れるようになったら、対戦相手にとって怖いチームになれるというのはみんなの認識の中にあるはずなので」(山原)


トレーニング量で言えば、GK陣はフィールドの選手たちが乗るバスとは別の車両を用意し、ほぼ毎日30分以上の居残り練習に取り組んでいた。新加入の沖悠哉は「選手同士なので、仲良しこよしでやっているわけじゃない。みんな自分が成長したい一心だし、それに対するチームのサポート環境もありがたいこと」と意識高く、GK陣の競争に刺激をもたらしていた。


コミュニケーションの「量」も今回のキャンプのテーマの一つだった。練習以外で挙げれば、初日のミーティングでは、円卓でレクリエーション的な要素を取り入れたり、2月3日節分には豆まき(実際に投げたのは落花生)を行うなど、チーム側からコミュニケーションを促す場面もあれば、選手間でも「お互いの人柄や思い、プレーの特徴を知ろうとする雰囲気が例年以上にあった」(西澤健太)という。


当然ながら戦術面の落とし込みにかける時間の「量」も多かった。午前練習前、午後練習前、夕食後と1日に3回ミーティングを実施した日も多く、映像を見ながら昨季からのチームの課題や、その日の練習内容の意図などを共有しあった。その際、選手側に疑問点が浮かび上がった時には、年長の乾貴士や権田修一らが率先して発言することで、都度疑問を解消し、新加入選手でもチームに溶け込みやすい空気を作り出していたという。そしてミーティングで確認した内容を実際の練習に落とし込み、反復することで、プレーの間合いや選手同士の特徴などを身体に擦り込ませていった。


キャンプ最終日の磐田戦は、メンバーを替えずに臨んだ最初の2本(計90分)は1-0、ユース生や練習生も交えながら臨んだ後半の2本は2-4という結果に終わった。4本合計3-4という結果も含め、改善点はまだまだあるものの、「このチームはチャレンジしようとする意欲が例年以上にある」と西澤が述べたように、試合前に選手間で確認しあった「リスクを冒してでも前から奪いに行き続けること」にトライした意味は大きい。


「自分たちが意図を持ってボールを動かしたり、今いる選手だからこそのボールの動かし方ができた」(西澤)、「(1、2本目は)後ろにスピードのある選手が多かったので、同数での守り方はキャンプでやってきたことを出せた」(蓮川壮大)といった収穫があった一方で、「最後苦しい時間になった時になかなかボールに行けなかったり、ラインが下がってしまった」(西澤)、「押し込む時間帯でもゴール前に迫る回数は多くなかった。そこは前の選手だけでなく後ろの関わり方も大きい」(原輝綺)、「(3、4本目のように)メンバーが入れ替わるとまだ合わない部分がある」(松崎快)などの改善点が上がった。


ただ、「それはチャレンジしたからこそ出てきた修正点だし、それこそ自分たちの狙いだったので、これから修正していけばいい」と山原が言うように、練習試合だからこそ得られた“宿題”を皆で認識し、三保に戻ってからのトレーニングで着手していくのみだ。


いよいよ2週間後に迫っているリーグ開幕。「この先もシーズンを通して、自分やチームに満足することは決してないと思う」と成長に貪欲な北川航也を新キャプテンに据え、勝負強いチームづくりを押し進めていく。


監督/選手コメント

秋葉忠宏監督

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(磐田戦は)1、2本目と3、4本目でだいぶ差が出てしまったなと。これでは正しくハイレベルな競争をする上で全然物足りない。選手たちには、トレーニングマッチだろうと何だろうとダービーで負けていいゲームは一つもないということ、しかも球際で負けたり、カウンター対応で戻りきれずに失点しているようでは、話にならないと伝えた。


1、2本目(1-0)に関しては、1点だけでは我々らしくない。やはり3点、4点と複数得点を取らないと勝点はなかなか転がってこないので、そこは開幕に向けた2週間での宿題が残ったと思う。2本目はボールが動くようにはなったが、大胆に仕掛けていくとか背後を取る、サイドにもう少し人数をかける、ボックス内に入っていく、といったところはもう少し足りなかった。ボックス内でのシュートの本数が増えなければ迫力が足りない。ただ、守備のところでは全員がハードワークして、危ない場面をほとんど作らせなかったのは良かったと思う。


今回のキャンプはかなりきついトレーニングをした中で、ケガをする選手がほとんどなく、みんなしっかり自分と向き合いながらそれを乗り越えてきた。「勝負強さ」をこの1年間のテーマとして、どういう状況、どういうゲームになろうといかに勝ち続けるか。そこを追い求めながらやっていこうと思っている。


もう昨季のような思いは誰もしたくないし、1ゴール、勝点1、あと数分。そういった部分にこだわっていく。あの悔しさを常に持ち続けながら、新しく来た選手にもこのエンブレムを背負う限りはその思いも背負ってもらわなければいけないので、もう一度厳しくやっていきたい。


西澤健太選手

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例年以上に「人」を見ながらのキャンプができたと感じている。チームとしても周りと話す機会がすごく多かったし、ピッチ内外を含めて一人ひとりがお互いを知ろうとする雰囲気がいつも以上にあった。年齢が上の選手たちがそういう空気を作ってくれていた影響もあるだろうし、若手選手たちもたくさん話しかけてきてくれた。僕がよく話したのは(高木)践や(川本)梨誉とか。梨誉なんかは期限付き移籍から戻ってきていろいろな思いを持っていることを知れたし、他のユース出身選手とも練習中によく声を掛け合ったりした。また、新加入の(蓮川)壮大、ジェラ(住吉ジェラニレショーン)、(中村)亮太朗、(松崎)快とかにも、自分がどういうプレーヤーか知ってもらうためによく話しかけたりした。


(磐田戦は1、2本目に出場して)最終ラインを高く設定してボールを奪いに行くっていうところをこのキャンプでやってきて、今日はそういうシーンを作れていたと思う。山形戦(2/4)でできなかった部分をしっかり話し合って今日はできるようにする、迷ったらチャレンジする方を選ぶ、というのを試合前から全員で意思統一していて、それを試合中に示せたのは良かった。今のチームにはチャレンジしようとする意欲が強くあるし、これが公式戦になってもできるかどうか楽しみでもあり、やらなければいけないとも思う。


昨季のように前線にチアゴ(サンタナ)がいるわけではないので、全員がゴール前のポイント、ポイントにしっかり入っていくことが大事だと思う。今日もクロスに対して自分が入っていくシーンは何回か作れたし、こぼれ球に反応してシュートを打てたシーンもあった。僕個人としては今すごく感覚が良いので、(得点を)決められる位置に入り込むところは続けていきたい。


原輝綺選手

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新加入選手も入ってきた中で、エスパルスが去年からどういうコンセプトでサッカーをやっているのか、それプラス今季チャレンジすることをみんなで確認しながらやってきた11日間のキャンプだった。


今日自分が出場した1、2本目に関して言えば、押し込む時間帯の中で、ゴールに迫る回数がそれほど多くはなかったのかなと思う。(90分で1-0という攻撃面は)前の選手だけじゃなくて、見えないところでの後ろの選手の関わり方も大きい。前の選手がよりチャレンジできるようなサポートができていたかというと、まだまだ課題は残ると思う。


去年より前掛かりになっている分、そこでミスしたらカウンターを食らったりもするし、切り替えが上手くかからないとだんだんチャレンジするのが怖くなっていってしまう。「攻撃的に行きます」だけだと痛い目を見るのは分かっているので、チームが攻撃している時に守備のことも常に考えながらバランスを取るのが自分の役目。攻撃のストロングは左サイドなので、そこを上手く生かしつつ、最後の最後で上手く顔を出せればいいかなと。今日はそういうシーンでボールが出てこなかったりもしたので、そこはこれから突き詰めながら、ただ自分は派手なことをするのではなく、前と後ろをつなぐイメージで役割を果たしていきたい。


山原怜音選手

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プロになって3回目のキャンプで、間違いなく今までで一番ハードだったし、身体的にきつかったが、この時期にこういう強度でケガなく終えられたことは相当な自信につながっていく。今ここで積み上げたものが最後の最後に実ってくると思うので、非常に充実したキャンプになった。


今シーズンは積極的にボールを奪いに行くということを全員で取り組んでいる中で、今日の磐田戦は練習試合だからこそ、多少後ろの人数が揃っていなくて怪しいかなと思う部分があったとしても、リスクを冒して前から取りに行く姿勢を維持してみようと試合前に全員で話していた。それで(1、2本目は)ゼロに抑えられたことは良かったが、GKやセンターバックの選手たちが最後のところで身体を張ってくれたところが大きい。理想としてはピンチの場面さえも作らせないことなので、そこはまだまだ改善の余地がある。ただ、それは今日チャレンジしたからこそ出てきた改善点だし、改善点を洗い出すのが今日の狙いだったので、前向きに修正していきたい。


攻撃に関しては、今日は自分がクロスを上げる回数が何本もあったが、前に高さのある選手がいない中でどうやってクロスから点を取るのか。自分はサイドの人間としてクロスを上げる場所を工夫していかないといけないし、中に入ってくる選手との擦り合わせも必要だと思う。ただ、今日一緒に出たカル(カルリーニョス ジュニオ)や(乾)貴士くん、(北川)航也くんたちとはもう2年も3年も一緒にやってきたメンバーだし、お互いの特徴はよく分かっている。相手の脅威になるよう連携をより深めていきたいし、90分を通して「左サイドの攻撃面白いな」と思ってもらえるようにやっていきたい。


松崎快選手

今日がエスパルスでの初めての実戦だったが、全然ダメだった。少しケガをしていた影響からか、感覚は悪くないが身体がまだ思うように動いてくれない。もう少しコンディションを上げていきたいが、今日はケガをせずに試合勘を掴むことを最低限の目標にしていたので、及第点だったかなと思う。


(45分×4本の試合全体を見て)1、2本目と3、4本目に大きな違いがあるとは感じていない。もちろん出る選手が入れ替わっているのでやり方に多少違いはあるが、大事なのは大枠がブレないことだと思う。その大枠がある中で、選手の自由をどう作っていくかというのが秋葉監督のサッカーだと僕は思っていて、1、2本目の選手たちは一緒に試合に出た経験がある程度多いメンバーだったのでお互いの特徴を掴めていて、3、4本目のメンバーは少し合わない部分があっただけだと思う。まだ練習試合の段階なので悲観することではないし、ここからもっとチーム全体の底上げをしていければいい。


そのためには今日の試合でできたこと、できなかったこと、公式戦が始まるまでに積み上げたいことを残り2週間で整理していくことが必要。僕個人としてはまたケガをしてしまうことがないように、焦らずまずはフィジカル的な要素を上げていきたい。


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