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【クローズアップ新加入】マテウス ブエノ「戦況を読み解き、チームのために最善を尽くす」

新加入選手をクローズアップしたロングインタビュー。第8弾はブラジルのグアラニFCから加入したマテウス ブエノ。新体制発表記者会見当日に加入が発表され、鹿児島キャンプの途中から合流すると、瞬く間にチームにフィットし、ここまでリーグ戦全試合に先発出場している。攻守に欠かせない存在感を放つ彼の思考に迫った。


5月8日公開/取材・文=平柳麻衣


静岡・清水の街が本当にサッカーを心から愛している

――サッカーを始めたきっかけは?

「正確にいつサッカーを始めたかは覚えていないです、すみません(笑)。たぶん10歳くらいだったと思います。当時はとくに憧れの選手とかもいなかったし、ルールもあまり分かってなかったので、とにかく楽しむためにサッカーしていました。プロになってすぐの頃にボランチへコンバートされるまでは、トップ下のポジションを主戦場としていました」


――ポルトガルのチームへの移籍経験から、「ブラジルとサッカー文化が異なる国ではプレーしない」と決めていたそうですが、秋葉忠宏監督からのラブコールに応える形で加入しました。日本に来て、日本や静岡・清水のサッカー文化をどう感じていますか。

「確かに今回の移籍に至るまで、もうブラジルから出るつもりはありませんでした。しかし、エスパルスが誠意を見せてくれたこと、自分を本当に必要としてくれていることが伝わってきて、移籍を決めました。来日する前にも自分でいろいろ日本に関する情報を集めていたのですが、実際に日本に来てみて、思っていた以上に日本、そして静岡・清水の街が本当にサッカーを心から愛しているんだなと改めて感じました。選手たちも常に全力で頑張っていて、その姿にもすごく驚かされました。今は幸いコンスタントに試合に絡むことができていますし、良い決断だったと感じています」


――オフの日には東京ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどにも出かけたそうですが、とてもアクティブですね。日本での生活は楽しめていますか。

「はい! すでにいろいろな場所を訪れていて、とても楽しめています。今は日本での生活もすごく満喫していますし、ここは本当に平和で良いところですね。今後は富士山にも登ってみたいですし、他の都市にも行ってみたいと思っているので、今いろいろ計画中です。行く場所によってはもちろん少し疲れることもありますけど(笑)、選手にとってメンタル面のリフレッシュはすごく大事なので、バランス良く、程よく楽しんでいます」


試合状況をできるだけ読み解こうと心掛けている

――ここまでリーグでも上位に入る走行距離を記録しています。過去に走力を身につけるトレーニングなどを積んだことはありますか。

「子どもの頃は、特別何かに打ち込んだわけではありませんでした。ただ遊びたい、楽しみたい、友達との時間を大事にしたい。そんな気持ちで素直に遊んでいただけです。この前、ある取材中に(西原)源樹からも『持久力があるね。何で足が攣らないの?』と聞かれたのですが、本当に特別なことをやっているわけではありません。強いて言えば、しっかり休養をとることと、水分をしっかり摂ること。そしてコーチ陣が注意喚起してくれることをしっかり聞いて実行すること。試合中の持久力に関しては、試合をこなしていけば自然と増していくと思います」


――試合の中で、走ることにエネルギーを使う場面はどのように判断していますか。

「試合との向き合い方については、適切なタイミングでエネルギーを使うことが大事だと思っています。試合の流れの中で、どんな判断やプレーが求められている瞬間なのかを見極めて、『ここしかない』というタイミングを逃さないように意識しています。走る緩急についても、『なぜここで走るのか』『なぜあそこで止まるのか』など、攻守にわたって常に様々なことを考えています。試合状況をできるだけ読み解こうと心掛けていて、それができた時には、できる限り最善の方法で自分を表現できるよう意識しています」


――ここまでの試合では宇野禅斗選手とボランチのコンビを組むことが多いですが、お互いによくコミュニケーションをとっているそうですね。

「はい。お互いに要求し合いつつも、やはりサポートし合う、助け合うことが大事だと思います。そういった中で試合を重ねるごとにコンビネーションは高まっていると感じますし、今はもうお互いの信頼関係ができてきていると思います。また、最近では(弓場)将輝と一緒に出る機会もありましたが、彼も非常に良い選手で、一緒に出ていると私だけでなく他の選手もみんなが安心してプレーできると思います。彼らと一緒にプレーすることで私にとっても新たな発見がありますし、禅斗や将輝に限らず、エスパルスには良い選手がたくさんいると思っています」


――加入当初はシャイな性格だと言っていましたが、試合を重ねるごとにチームに溶け込んでいるように見受けられます。チームメイトに対する印象はいかがですか。

「チームやクラブにはすごく上手く溶け込めていると思っています。エスパルスの選手たちは本当に才能に溢れていて、そんな素晴らしい仲間たちと一緒にプレーできるこの環境が、試合における私の状況理解力をグッと深めてくれていると感じています。日々の練習も、仲間たちのおかげで刺激的で、どんどん自分を高めていける最高のきっかけになっています」


怒っている時も、楽しんでいる時も、“ブエノ”そのもの

――ピッチ内では感情を結構表に出す姿が見られますが、ピッチ内でのご自身の性格はどんなタイプだと認識していますか。

「普段の生活では、私は静かで控えめな性格で、あまり多くを語るタイプではありません。でも、試合が始まると頭の中のスイッチが切り替わって、『絶対に勝ちたい』『味方やチームメイトを守りたい』という気持ちが一気に高まります。時にはやりすぎてしまうこともありますけど(苦笑)、それも含めて“ブエノ”そのものだと思っています。怒っている時も、楽しんでいる時も、そのスタイルは昔からずっと変わっていません(笑)」


――過去にはキャプテン経験もあるそうですが、チームメイトとの関係構築で大事にしていることは何ですか。

「キャプテンを何度か任せてもらった経験もありますが、私が大切にしているのは、やっぱり日々の積み重ねです。チームメイト一人ひとりの好みやフィールドでのプレースタイル、できること、できないことを理解することを、すごく大事にしています。人それぞれ考え方もスタイルも違うからこそ、相手の思いや考えをしっかり受け止めることをいつも心がけています」


――日本に来て3カ月ほどが経ちましたが、来日前と比べて自分の成長や変化を感じる部分はどんなところですか。

「最も変わったと感じるのは、やっぱり試合に対する強度や考え方ですね。日本での試合は、常に高い集中力とメンタルの強さが求められます。なぜなら、ほんのわずかな隙を見せた瞬間に、すべてを失ってしまうような重みを日々感じているからです。だからこそ、その意識を常に持って毎試合に臨むようにしています」


――選手としてこれから伸ばしていきたい部分は?

「選手はたとえ毎日ほんのわずかでも、常に進化し続けなければならないと思っています。なぜなら、その小さな積み重ねこそが、いずれ大きな成果へとつながっていくと信じているからです。自分自身がより優れた選手になるために、より良い考え方を持つ人間になるために、そして自然と努力できる人間になるために、毎日トレーニングに励んでいます。それが、個人としてもチームとしても、より良い結果を出すための唯一の道だと、私はそう信じています」


――最後にエスパルスというチーム、クラブに感じている可能性について聞かせてください。

「私たちのチームには、まだまだ成長できるだけの大きな余地があると感じています。チームの改善と進化のために、監督やコーチングスタッフは常に細部にまで目を配ってくれていて、本当に優秀で賢い方たちだと思っています。ただ、いくら素晴らしいサポートがあったとしても、私たち選手自身が『まだ成長できる』と信じなければ、それは実現できないと思っています。だからこそ、チーム全員でその意識を持って、これからのトレーニングにしっかり取り組んでいきたいです」


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マテウス ブエノの凄みについてチームメイトに話を聞いた際、梅田透吾の表現が最も的確に彼の強みを示しているように感じた。


「常に相手の矢印を折るプレーを選択できる選手」(梅田)


1対1ならば軽々と相手選手の逆を突き、2人、3人に囲まれても抜け道を探り出してボールを前進させる。彼からボールを奪うことの難しさは、身近で日々トレーニングを積んでいるチームメイトたちこそ、よく理解しているだろう。


クールな佇まいも、感情的になる瞬間も、すべてが“マテウス ブエノ”の魅力。チームのために全力を尽くす彼は、観る者を魅了し続ける。


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