11月20日(土)、ＩＡＩスタジアムにて明治安田生命Ｊ１リーグ第36節サンフレッチェ広島戦が行われ、エスパルスと静岡市立清水桜が丘高等学校のコラボレーション企画を実施しました。このコラボは3年目となりますが、今年は「高校生コラボデー」として、静岡商業高等学校、静岡サレジオ高等学校も参加して実施し、当日は、清水桜が丘高校報道部の１年生記者2名がコラボデーの密着取材を行いました。

清水桜が丘高校報道部のレポートを是非ご覧ください！

※フォトギャラリーで、当日の写真をご覧いただけます。

スタジアムに着くと、清水桜が丘高校書道部の生徒が書いた「高校生コラボデー」のウェルカムボードが目に飛び込んできた。

試合開始は15時だが、秋晴れの下、昼頃には多くのサポーターが集まり始め、賑わいを見せていた。エスパルスがＪ１残留をかけた一戦、チケットは全席完売しており、サポーターも気合十分だ。

グッズ販売ブースでは本校商業科の生徒がマイクでグッズの宣伝をしたり、お客さんに商品を説明したりと熱心にPR活動をしていた。今年は、エスパルスと桜が丘高校サッカー部のユニフォームやエンブレムがデザインされたクッション、クッションボールチェーン、タオルマフラー、ブランケットが販売された。商品開発に携わった商業科の生徒は「商品を考えるということは普段ない経験で、提案するまでの過程が大変だった。

実用性や、その商品を使った後のことまで考えるのが難しかったが、自分たちのアイデアが形になって嬉しい。多くの人に買ってもらいたい」と語った。グッズを購入した人にお話を伺うと「ブランケットを購入しました。もっと高校生とのコラボを続けてほしい」、「自分も卒業生なのでコラボが嬉しい。キーホルダーなど、身近に持てるものがいい」などの声をいただいた。

多くの人が商品を手に取り、クッションボールチェーンとタオルマフラーは早々に完売する人気ぶりだった。

飲食ブースでは商業科の生徒がメニューを考案した「買っちゃう？勝っちゃう丼!!勝ちロコモコ丼」が販売された。

3班に分かれてお弁当を考案、プレゼンや試作を通して作り上げた自信作だそうだ。

商業科の生徒は「エスパルスサポーター層の中心である30代～50代の男性をターゲットに、スタミナが付き、スタジアムという非日常を感じられるようなワクワクするお弁当を考えました。おかずの下から枝豆ご飯が出てくるサプライズ、エスパルスの勝利を祈ってカツを入れるなど工夫しました。先生方に試食してもらったところ、揚げ物が多いという意見があったので、揚げ物を減らし、ミニトマトで彩りを良くしました。沢山の人に食べてほしい」と話してくれた。

コラボ弁当を購入した人からは「ネットで見て気になり、実物を見たらとても美味しそうなので購入しました。いつもと違う感じが良い」、「高校生がエスパルスを盛り上げてくれるのが嬉しい」、「お弁当の名前がいいですね。J1残留がかかる大切な試合。コロナで応援の声は出せないが、心の中で“勝て”と応援しながら食べます」などの声をもらった。

生徒の積極的な呼びかけにより、ブースには多くの人が並び、完売御礼となる大盛況だった。私たちもスタンドで購入したお弁当を食べた。蓋を開けた瞬間、彩りよく盛られたおかずが目に飛び込んできて、見ているだけでも楽しい気分になる。

様々な味を楽しめるため、ボリューム満点でも飽きずに食べられて、とても美味しいお弁当だった。

試合が始まる前には、吹奏楽部が場外のイベントスペースで演奏を披露した。

周辺には、一目見ようと開始前からたくさんの人で溢れかえった。迫力があり息の合った演奏で、見る人を惹きつけていた。「雷神」「清桜サンバ」に続いて披露された「港かっぽれ」の演奏では、部員全員が法被に着替え、楽器を演奏する人と踊る人、観客との間で一体感が生まれていた。吹奏楽部は選手入場時にも「雷神」をピッチで生演奏。昨年度は新型コロナウイルスの影響で映像での披露だったが、SNS上では「来年は生演奏を聴きたい」という評価も多く、大舞台での演奏が実現した。満員のスタジアムの雰囲気に負けない圧巻の演奏だった。

また、ピッチ上ではサッカー部がボールパーソンや担架要員を担当。間近でプロのプレーを見ながら、ボールが来た際には機敏な動きを見せていた。

今回は「高校生コラボデー」として、初の他校との合同での実施である。メインスタンド前の坂を上った先にあるイベントスペースに向かうと、静岡商業高校とサレジオ高校のブースが並んでいた。

静岡商業高校の展示スペースでは、課題研究（福祉）を担当している生徒が出迎えてくれた。子どもたちと一緒に応援グッズを作って工作を楽しめる企画や、エスパルスがこころの病と向き合う方を対象に開催している「Orange Heart Project」などについての課題研究の展示、テニスコートで子ども対象のスポーツ教室の開催など、交流を深める企画が多い印象だった。

私たちも応援グッズを作る体験をさせてもらった。台紙に貼るパルちゃんの顔型が丁寧に切り抜かれており、簡単に手持ちフラッグを作ることができた。また、コラボタオルも販売された。静岡商業高校のチアや応援団の衣装を着たパルちゃんのイラストが描かれた可愛いデザインで、沢山の人が手に取っていて好評だった。

さらに、書道部がウェルカムボードを担当、「力戦奮闘」という力強い言葉で選手や観客を迎え、ボランティアの生徒が入場のサポートや試合後の清掃活動を行い、会場運営を支えていた。

場外イベントスペースでは清水桜が丘高校の吹奏楽部に続いて、静岡商業高校と加藤学園高校のチアリーダー部が演技を披露した。音楽に合わせたキレのあるダンスで観客を魅了、笑顔で軽やかに技を決めると大きな拍手を浴びていた。

また、ハーフタイムでもエスパルスのチアチーム、オレンジウェーブとダンスショーを行い、試合を大いに盛り上げた。

サレジオ高校のブースでは、食品ロスをなくすフードドライブの実施や牛乳パック、ペットボトルキャップ回収などのエコ活動が行われた。

回収ブースの隣には、エコ活動をPRするポスター展示やサレジオ生が調査したおすすめスタジアムグルメなどが紹介されていた。中でも生徒が力を入れていたのはコンタクトレンズの空ケース回収。

インタビューした生徒は「校内でコンタクトレンズの空ケースを集めるアイプロジェクトを行なっています。この活動を静岡市全体に広め、最終的には回収率100％を目指しています」と熱い思いを語ってくれた。

協力してくれた方にはトイレットペーパーやエコバッグをプレゼントしており、多くの人にリサイクル活動の大切さを訴えていた。

今回の「高校生コラボデー」について、エスパルス側はどのように思っているのだろうか。私たちはエスパルスで広報を担当している高木純平さんにお話を伺った。高木さんは、桜が丘高校の前身、清水商業高校の出身で、高校時代は新聞部で部長を務めており、私たちの大先輩だ。試合前のプレス対応でお忙しい中、時間を割いていただいた。

高木さんによると、新型コロナウイルスの影響は大きく、無観客だった頃はチケット収入がゼロ、感染が収まってきた現在でも1万人という制限があるため、興行的に厳しい状況が続いているそうだ。そんな中での高校生とのコラボデーについて、「期待していることはつながりの強化。地元にエスパルスがあってよかったと思ってもらえるよう、地域と連携する様々な活動を行っており、コラボデーもそのひとつ。

毎年のコラボデーでどんどんできることを増やしていって、地元の学校とのつながりを強化していきたい」と、今後の活動の展望も語ってくださった。ちなみに、今回のコラボ商品の中で一番気に入った商品はクッションだそうだ。「エスパルスと桜が丘サッカー部のユニフォームが両面にデザインされている。クッションは身近に置いておく物なので、日常生活の中から“つながり”を感じられる所がいい」と話してくださった。

年々形を変えて進化していくエスパルスとのコラボデー。来年はどのような形で行われるのか、楽しみだ。

今回、高校生コラボデーを取材して、コラボを通して高校生が地元を盛り上げようとしている姿が印象的だった。私自身、コロナ禍で約10カ月ぶりの試合観戦で、久しぶりにスタジアムに行って応援を楽しむことができた。（川口）

今回取材して、エスパルスは人々に笑顔を届け、地元を盛り上げてくれる存在ということがわかった。今回のような高校生とのコラボを通して、地元とのつながりを強化して欲しいと思った。スタンドで食べたコラボ弁当はとても美味しかった。（松永）

取材：静岡市立清水桜が丘高等学校報道部　川口・松永