9/13(金)静岡県立静岡商業高校にて、特定非営利活動法人 静岡FIDサッカー連盟 瀬戸脇 正勝理事長と、エスパルスサッカースクール ヘッドオブコーチング 今泉 幸広が『社会参加とパラフットボール』の授業を実施しました。静岡商業高校とは、『福祉』をテーマにこれまでにもヘルプマーク啓発活動やオレンジハートプロジェクトなどの連携をさせていただいております。
7つの障がい者サッカーとは
授業では最初に7つの障がい者サッカー アンプティサッカー(切断障がい)、CPサッカー(脳性麻痺)、ソーシャルフットボール(精神障がい)、知的障がい者サッカー(知的障がい)、電動車椅子サッカー(重度障がい等)、ブラインドサッカー(視覚障がい)、デフサッカー(聴覚障がい)について映像を見て学びました。そして、瀬戸脇さんから「オリンピックは『平和の祭典』といわれるが、パラリンピックは『何の祭典』だと思いますか?」と問われると、生徒たちからは、『自由の祭典』『チャレンジの祭典』『平等の祭典』『皆で楽しむ祭典』といった意見が挙がりました。
実際にブラインドとアンプティを体験してみよう!
そして≪体験会Part1≫として、ブラインドサッカーとアンプティサッカーの基礎を行いました。目隠しをして歩くことの怖さや、視覚障がいがあったら何を頼りにするか、支える側はどんな声掛けをすればよいかを実際に体験しました。アンプティサッカーでは、初めはクラッチに慣れない様子でしたが、練習して慣れてくると上手に身をこなす生徒もいました。
障がい者との関わりによる今泉コーチ自身の変化
次に、今泉コーチがJクラブの関わりについて紹介しました。エスパルスでは地域活動の一環としてパラドリーム教室を年20回、知的障がい者サッカーへのコーチ派遣を年40回以上実施していることや、各クラブのスクールなどを紹介し、「長年サッカー指導に携わってきたが、障がい者サッカーに関わり自分の知らない世界、真逆の世界を今見ている。知らないことの多さに気づかされ、また社会や物事の捉え方が変わり、生き方が以前と変わったように感じる、そしてより幸せになれた。」と自らの経験を伝えると、生徒たちはとても真剣な様子で聞き入っていました。また、障がい者サッカーを支える立場の異なる人々を紹介し、皆特別な社会貢献ではなく、当たり前のこと、仲間だから支えていることを話しました。
みんなが楽しめるしっぽとりを考えよう!
その後、誰もが知っている「しっぽとり」を題材に≪体験会Part2≫を実施。まず全員が健常者として通常通りしっぽとりを行います。高校生らしく活気や笑顔があふれる試合となりました。次に各チーム2名が聴覚障がい者役でヘッドホンと耳栓をつけます。すると、さっきまでの元気な声がなくなり皆なぜか静かにプレーしていました。楽しかったかと問うと、皆不安げな様子。ではどうしたら全員が思いっきり楽しめるかを考えました。一案として出た「足音が聞こえず背後が分かりにくいので、聴覚障がい者の後ろに1人がカバーに入る」を試すと、聴覚障がい者から「守られていて逆に気をつかう感じ」という意見が出ました。
今度は2名が切断障がい者役でクラッチを使用します。クラッチがあると両手がふさがれてしっぽが取れません。ではどうしたら皆が楽しめるでしょうか。今回は、健常者は通常のしっぽとり、切断障がい者は相手のラインを突破したら勝利とすると、見事ライン突破した生徒は「自分が活躍できた気分で嬉しい」と感想を述べていました。
やれないではなく、どうしたらやれるか
最後に、「平等」と「公平」の違いについて話しました。そして「やれない」ではなく、「やれるようにするにはどうしたらよいか」を皆で考えることがスポーツだけでなく社会においてどんな場面でもとても大切な事だと伝えました。そして瀬戸脇さんと今泉コーチは、「今回授業を行ったことで、皆さんは今までにない視点で社会を見ることができると思います。今まで見えなかったこと、気が付かなかったことを感じることができるでしょう。その時に何ができるか、今後の自分のアクションに繋げてみてください。」とメッセージをおくりました。
生徒の皆さんからは、「今日やらなかったら、これからも障がい者スポーツの難しさ・楽しさが分からなかったと思う。どうやったら障害のある人と健常者が同じように楽しめるか、瞬時に考えることが出来なかったから、今日の体験を活かして視野を広げたい!」「健常者の当たり前と障がい者の当たり前は全然違っていて、お互いにやりやすいように工夫することが大切だと感じた。」「この活動は社会貢献じゃないという言葉にハッとしました。友達が困っていたら当たり前に助けるように障がい者の方ともそう接していきたいです。」「視野や見ていた世界が広がることで、楽しいと感じたのでもっと思考して皆が楽しく過ごせる社会にしたい。」といった素晴らしい感想をいただきました。
静岡商業高校の皆さん、ありがとうございました。エスパルスは今後も障がい者サッカーの普及啓発に取り組んでまいります。