日々様々な形で支えていただいているパートナーの皆さまが、どんな想いや意図を持ってパートナーシップに取り組んで頂いているか、各社の代表に直接お話を伺わせて頂く『パートナーインタビュー企画』。
記念すべき第一弾は、長年パートナーとしてクラブを支えて頂いている株式会社アイ・テックの大畑 大輔さまにお話を伺わせて頂きました。
良い時も悪い時も知る長年のパートナーだからこそ伝えて頂ける「今のクラブに対する率直な想い」や、他スポーツにもパートナーシップを展開しているからこそ分かる「清水エスパルスの誇りとは」を熱く語って頂きました。
株式会社アイ・テックの事業内容を教えて下さい。
「メインとして扱っているのは鉄です。主力製品は建築向けの鋼材になります。特徴としましては、メーカーさんには通常、大手商社がついているんですが、私たちはメーカーと直接やり取りする機能も備えた流通商社になります。また、全国各地に営業所を持っており、メーカーから仕入れた鉄を直接鉄工所に卸しているため、中間マージンを省き、お客さんに安く卸せる仕組みを持っています。
それ以外では、ゼネコンから直接仕事を請けて、ビル建設などにも携わっています。東京駅の目の前で建設中のビルや、新国立競技場の建設に携わった6社のうちの1社も私たちになります。あとはメーカー機能もあり、ビルの床の材料や建築の柱になるパイプなども扱っています。メーカーでもあり、流通でもあり、商社でもある。つまり、完全に独立した鉄の総合商社ですね。その体系で運営しているのは、おそらく日本で唯一だと自負しています」
33歳で社長になられたそうですが、社長業で心がけていることはなんですか?
「社員が幸せになるのは当然のことで、その社員の家族や友だち、親戚といった周りの人たちに、あの会社に入りたいと思われるような会社にしたいというのが今の私の目標です。それがイコール、地域貢献につながっていくと考えています。そのためには、一度決めたことは、必ずトライすること。若い社員には特にそれを求めています
2018年よりクラブのオフィシャルトップパートナーになりましたが、その経緯を教えてください。
「実はパートナー自体は、1993年のJリーグ創設時からやっています。ゴール裏に看板を出していたので、得点や失点シーンでよくテレビに映っていたと思います。
私が社長になってから、まず、トレーニングウェアに広告を出しました。2018年に規定が変わったのを機に、ユニフォームの鎖骨に出すことになりました。地元の企業として、やらなければいけないことをやったという感覚です。もちろん、エスパルスを使ってネームバリューを高めたいという想いもありますが、昔から清水にいる企業であれば、エスパルスのユニフォームに名前を出したいというのは当然のようにあると思います。胸の枠はなかなかハードルが高いので、鎖骨に出せるとなった時には、ここは死守しないといけないなと(笑)」
大畑社長は、生まれも育ちも清水ですか?
「そうです。エスパルスができたのは、小学校3年生くらいでしたかね。当時に在籍していたシジマールとか、トニーニョはうちの近くに住んでいたんですよ。だから、小さい頃から、Jリーガーが近くにいるのが当たり前の生活でしたね」
大畑社長にとって、エスパルスの存在とはどういったものでしょうか?
「好きか嫌いかで言えば、もちろん好きです。小さい頃からずっと見ていましたし、高校を卒業したくらいに少し離れた時期もありましたけど、今は仕事をしていくうえで欠かせない存在だと思っています。たぶん、パートナーの中ではエスパルスに一番近い会社だと思うんですよ。車で5分くらいで行けてしまうので。だから、なにかやりたいとはずっと思っていましたし、エスパルスの選手にもやってよと言われたこともありました。だから、今こういう立場でクラブに関われていることを嬉しく思っています」
エスパルスというクラブに対する想いをお聞かせください。
「地域に愛されているチームだと思いますし、地元になくてはならないクラブだと思います。ただ一方で、今は不甲斐ないと感じることもあります。近年の成績もそうですけど、エスパルスというブランドを上手く活かせていない気がします。昔から知っている身としては、OBを大事にしてほしいと思いますし、地元から育った選手をもっと大事にしてほしい。今はユース上がりの選手がほとんどいませんから」
パートナーをすることのメリットはどこにあると考えていますか?
「企業をアピールできることが一番ですけど、今だと、採用活動にかなり活かされているなと思います。単純にサッカー好きですという子が来てくれたり、高校のサッカー部だった子が来てくれたり。全国的にも名前が広がっているので、採用面では大いに役立っていると感じます。社員のモラル意識にもつながっていますね。うちの社員が仮になにか問題を起こせば、鎖骨の会社と言われてしまう。良くも悪くも注目される会社になったわけですから、社員の心がけも変わってきています。周りからの注目度が社員のモラルの向上や、モチベージョンの向上を促してくれていると思います」
逆に想定外のことはありましたか?
「他クラブのファンのお客さんが買ってくれなくなったことですかね(笑)。もちろん、逆にエスパルスファンが買ってくれることもあります。プラスがあればマイナスもありますが、プラスのほうが圧倒的に大きいと思います」
ご自身のポケットマネーでも、スタジアムに看板を出されているそうですね。
「あれは遊びです(笑)。バックスタンドの前段と後段の間の通路があるんですけど、そこのセンターあたりに『大輔』という私の名前の看板を出しているんですよ。妻には恥ずかしいから辞めてくれと言われてますし、選手からも試合中に気になっちゃいますよ、とか言われています(笑)。でも、インパクトのある面白いのがひとつくらいあってもいいかなと。ありがとうと言ってくれる人もいるので、やって損はなかったのかなと思っています。それに、ちょっとしたメッカになっているんですよ。看板の前で写真を撮って、SNSに上げている人が100人くらいはいましたから(笑)」
エスパルスだけでなく、Bリーグのベルテックス静岡のパートナーもやられていますよね。
「地元の仲間がベルテックスの社長で、最初に声をかけてくれたので始めました。もっと地元にワクワクするものが欲しいよねという発想ですね。やっぱり、若い子たちに、静岡にいて良かったと思ってもらいたいんです。
サッカーもあって、バスケットもある。静岡県全体で考えれば、沼津にも、藤枝にも、磐田にもJリーグのクラブがあって、スポーツ好きには楽しい県のはずなんですよ。でも実際は、その特長が上手く活かされていないと思うんです。私も含め、スポーツ好きの仲間が集まって、協力して静岡を盛り上げたい。小さなきっかけでもいいので、いろんなことをやっていきたいと考えています」
ビーチバレーの大会を協賛しているのも、そうした想いで?
「そうですね。西村晃一選手と知り合いで、パートナーをやるから清水で大会開きたいねと話していたんです。そしたら、すぐに協会に話を持って行ってくれて、ツアーのひとつとして清水で大会が開かれるようになったんです。富士山を見ながらビーチバレーができるという触れ込みなんですが、静岡でこんな面白いことをやっているんだって、全国の人たちに知ってもらえたら嬉しいですね」
地元愛や地域貢献の想いを強く感じますが、その想いはどのようにして育まれたのでしょうか。
「やっぱり、清水エスパルスなんですよ。本当なら静岡市と合併したわけですから、静岡エスパルスなんですが、清水という名前が残っている。そこは清水に住んでいる人にとっての誇りなんです。熱烈なエスパルスファンはすごいですよ。うちの会社にもシーズンシートを買っている社員がいるんですが、その社員の子どもはまだ2歳ですけど、ユニフォームを着てスタジアムに行っています。エスパルスのサポーターって、親子2代、3代で応援しているんですね。
それなのにサポーターの数が減っているのはおかしいじゃないですか。清水の名前を持つクラブが、その誇りを持って、この街をもっと元気にしていかないといけないんです。私たちはそのクラブを支えていくことで、地域に貢献できればと思っています。J2に落ちたら知らないですけど(笑)」
これからのエスパルスに、何を期待したいですか。
「静岡県最初のプロクラブとしてのプライドを持って、やってもらいたいですね。俺たちは優勝できないと思っているようなチームではダメ。J2に行かなければいいやと考えているようではダメなんです。優勝争いをするチームにならないといけない。選手だけではなく、スタッフ、フロントが気持ちを一つにすればできなくはないと思います。
パートナーの立場から言わせてもらえば、やっぱり『エスパルスのパートナーをしているんだ』と胸を張りたいんですよ。『エスパルス、強いよね』と言われたい。僕らの営業ツールに使えるような強いチームになってほしいんです。他クラブのファンに『買わない』ではなく『敵わない』と言わせたいじゃないですか(笑)」
今後、エスパルスと一緒に取り組んでいきたいことはありますか?
「ベルテックスとコラボした『ダブル・アイ・テックデー』みたいなことはやってみたいですし、実際に今年の5月にやろうとしました。昼間にサッカーの試合を観て、そのチケットを持っていれば、夕方からのバスケットの試合を無料で観られるというイベントです。訳あって頓挫したんですが、来年もう一度、トライしようと考えています。
スタジアムから体育館への移動で、バスやタクシーを使う人もいるだろうし、出店にもお金が落ちる。今はコロナで無理ですけど、サッカー、バスケとはしごして、そのまま夜の街に飲みに行く流れも生まれるかもしれない。地域貢献、活性化という意味もあって総合的にいいと判断したので実現したかったんですけどね……。
ファンの方にも喜ばれると思うんです。地元愛の強い方は、両方のチームを応援している方もたくさんいるんですよ。1日を通してスポーツを楽しめる。静岡のスポーツデーにしたいなと。両方のチームがある街もなかなかないですから、何とか来年こそは実現したいですね」
大畑 大輔様のご紹介
1982年2月3日、静岡市清水区生まれ。
2004年に旧富士常葉大学(現常葉大学)流通経済学部卒業後、㈱アイ・テック入社。
同社清水支店生産管理課、営業統括部仕入課、営業統括部偉業開発室を経て、07年に取締役就任。
11年に常務取締役、13年に専務取締役、14年に代表取締役副社長兼営業統括部長就任。
15年より代表取締役社長に就任。
趣味はスポーツ、旅行。
株式会社アイ・テックのご紹介
東日本を中心に全国28ヵ所に点在する拠点ネットワークと巨大工場で、加工と流通をコントロールしています。
国内トップシェアを誇る建設資材H形鋼の流通量。「鉄の総合商社」として鋼材の供給から、加工、鉄骨工事までトータルサポートを展開。
陸路・海路を利用したスムーズな流通、複数の生産拠点で効率的に行われる加工、そして取扱い品種の豊富さで多様化するユーザーニーズに対応。
鉄のプロフェッショナルとして、鉄を通して社会に貢献します。
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