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【2023シーズン新体制発表記者会見】記者会見レポート 代表取締役社長、ゼネラルマネージャー会見

1月6日(金)、清水エスパルスの2023シーズン新体制発表記者会見が行われました。

メディア各社を集め、2023新ユニフォームの発表、社長・GM会見および2023クラブスローガン発表、その後、新監督・新加入コーチングスタッフ紹介、新加入選手の紹介が行われました。

会見の模様は以下の通りです。

コメント

■エスパルス 代表取締役社長 山室 晋也


皆さん明けましておめでとうございます。


昨年トップチーム並びにユースチームの降格と静岡のチームがJ1から消えるというあってはならない事が現実に起きてしまいました。静岡にとって、またエスパルスにとって正に屈辱の1年でした。降格以来ファン・サポーターの皆さまからも非常に厳しいお叱りを頂戴しました。


自ら招いた結果でもありますし、真正面から受け止めてその原因についてずっとクラブ全体で考え続けているところであり、私自身も選手全員やスタッフと面談をしています。答えは決して一つではなく、またそんな簡単に見つかるものではないと思っております。ただ唯一言えることは、従来続けてきたこのクラブの体質や体制、これが限界にきているという事です。


今年は当然のことながら1年で必ずJ1に戻る、上がることが使命であります。ただ単にそれだけが今年の目標ではありません。もちろんJ2は違った意味で非常に厳しいリーグでありますし、1年でJ1昇格することがそんな簡単なことだとは思っておりませんけども、しかし今の抜本的なクラブ体質の改善を図りませんと、また来年J1に戻っても降格争いに巻き込まれるという同じことの繰り返しになります。


この屈辱をバネにして、この困難を乗り越えて今年の苦しみの中から何かを掴んで這い上がっていかないといけないというふうに考えております。そういう意味において2度目の降格という、2度目の屈辱のJ2ショックと言うのでしょうか、これでエスパルスがようやく変わることが出来れば決して意味のない降格ではなかったと言えると思います。


数年後に2022年の降格があって、それを機にエスパルスが劇的に変わったと、エスパルスの選手・スタッフの目の色が変わったと言わせしめる必要があるかと思います。そしていずれJ1優勝を狙えるだけのクラブの力を身につけるきっかけを今年掴んでいきたいと考えています。


本日新たな体制で2023年を戦いたいと考えています。


繰り返しとなりますが、今年1年でJ1に復帰し、そのまま来年以降J1で上昇気流に乗って、タイトルを狙っていけるための1歩先を睨んだ布陣となっております。


本日はよろしくお願いします。


■エスパルス ゼネラルマネージャー 大熊 清


明けましておめでとうございます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして感謝申し上げます。


今、社長からもお話しがあった通り、昨シーズンについては、ファン・サポーター、そして皆さまにもご迷惑と非常に残念な気持ちにさせてしまったこと、本当に申し訳なく思っております。


去年申し上げましたが、強いエスパルスにしたいという思いでずっと動いてきました。今シーズンしっかりと社長がお話しいただいたところを検証したところ、見つめ直しきちっと結束をして、ただ上がるだけではなく、強くなって昇格したいと心から思っております。


試合の展開や、これからお話しさせていただくサッカーのスタイルというところもありますが、個人が自分にずっと言ってきた目を向ける、オフ・ザ・ピッチも含め小さなことにこだわっていくという中で、強いメンタルが非常に必要なスポーツだと思いますし、オン・ザ・ピッチの中での厳しさ、強いメンタルそしてオフ・ザ・ピッチでもサッカーに懸ける想い、細部にこだわるというところをしっかりやって、皆さんと一緒に戦って、強いエスパルスそして強くなってJ1に昇格したいと思います。


この3年間は練習試合やエリートリーグが開催できなかったというシーズンでしたが、ウィズコロナを念頭に置いたユースの育成や選手育成の加速とアカデミーも含めてしっかりと強いエスパルスを取り戻していきたいと思いますので、是非よろしくお願いします。

ビジョン発表

■山室社長

ビジョン2027を発表させていただきます。

昨年だけでなく、ここ数年来続いている成績不振は、一体何が原因なのか、何が不足していたのかクラブ内で徹底的に議論しました。


クラブとしてのサッカースタイルとかビジョンが確立してなかったのではないのか。ブレていたのではないのか。現場への徹底とか共有が十分だったのか。一貫性があったのか。明確なロードマップが存在したのか。また違う切り口でサッカー王国という過去の伝統、サッカー熱の非常に高い地域の人々に甘え、時代の変化から取り残されてしまったのではないか。結果的に変革を怠って井の中の蛙でぬるま湯に浸かり過ぎていたのではないか等々改めて我々の立ち位置を確認して厳しく自問自答を繰り返しました。


そして、ただ反省・俯いているだけではなくて、前を向いて未来に向かって我々が具体的に何を為すべきかという事を議論してまいりました。その中で今回エスパルスビジョン2027として、これから5年間で目指すべき姿をビジョンに描きました。2027年までの5年間でJ1強豪クラブへの仲間入りをし、そしてJ1チャンピオンを目指していく。それを実現する3本の柱として、ビジネス面において強固で安定的な「経営基盤」を構築することが不可欠ですし、ファン・サポーター・ホームタウン・地域の皆さん・パートナーの皆さまとの強固な関係構築することも求められます。そしてフットボールの再建であります。こちらは後ほど詳しく説明させていただきます。


5年後2027のJ1リーグ制覇にむけて熱狂的かつ楽しいスタジアム観戦体験を作り出して、地域・ファン・パートナーとの密着をさらに強固なものとしながら商圏の拡大を目指して参ります。そしてJ1上位の安定的で強固な経営基盤の構築を実現していきます。2027年には18,000人とスタジアムの実質的なキャパ上限です。次のステージとしては新スタジアムを期待したいところであります。


サッカーのまち「清水・静岡」のシンボリックな新スタジアムを実現したいと思います。新スタジアムに関しては現段階では何も決まってはおりませんが、サッカースタジアムという器とそれをフランチャイズにするサッカークラブの人気・強さその両方のピースが揃って相乗的に絡んで静岡サッカー王国の復活を果たすことが出来ると思います。王国復活を掛けて前へ進んでいきたいと思います。


フットボールの再建


■大熊GM

社長の話にもありましたが、監督のシーズン交代が続き、サッカーのスタイルに一貫性があるのか、中に潜むサッカーフィロソフィーの概念があったのかというところを組織・技術委員会を立ち上げながら話し合いはしておりました。そこをしっかりと作り上げ、共有・コミュニケーション・進化をしていくというところは監督が代わってもしっかりと継続していくことが本当に重要だと思います。私が来てからもその議論はしていたのですが、明確化また進化、また共有ということを進めながらしっかりとクラブ力を上げることをやっていきたいと思っています。


その中で強い育成型クラブの再生ということで掲げさせていただいております。アカデミー・新卒選手を含め、エスパルスに来た選手が成長するクラブであるという概念を掲げさせていただいております。この3年間そして4年目、若年層アカデミーでのスカウトを始めてきました。今までもやっていましたが静岡だけではない選手、矢田(龍之介)選手や小竹(知恩)選手、中3でプレミアに出た関口(航汰)選手。中学から転向を含め育ってきた西原(源樹)選手等々スカウトの体制強化というのを図ってきました。


また、メンタル的な強化から大卒という施設の環境の中の人間力をもった選手ということで西澤(健太)選手や、清水から巣立っていった大学の選手も含め山原(怜音)選手を獲得してきました。またレンタルに賛否ありますけど、千葉(寛汰)選手が活躍したり成岡(輝瑠)選手が力をつけて戻ってきたりということで、このコロナ禍でも育成型レンタルを中心に選手の強化を図ってきました。


組織的にもアカデミーで東部の方にジュニアユースを立ち上げ、将来的に育成型クラブの強化にあたる場を作るということも試みてまいりました。そこが、こういう形で降格という事になってしまったことは、まだまだ我々が実行力、自分たちに目を向ける力が足りていたのかという部分も非常に感じております。ただいいところは堅持しながら前へ進んでいくこと、そして現在、中期的・長期的に強いエスパルスを取り戻すということをやっていきたいと思っております。


2027年にはJ1リーグ優勝という形で掲げ、ロードマップに従い我々にもチャンスがあるカップ戦を甲府のようにしっかりと戦いながらタイトルを取るという事が我々の使命だと思います。この体制でカップ戦の優勝、そして強くなってJ1に昇格する、長期的にJ1の上位・優勝を狙っていくというロードマップを掲げてやっていきたいと思っています。


全くゆるぎないもの。エスパルスの基本理念『わかちあう夢と感動と誇り』です。


1.エスパルスは、スポーツを愛する人々に支えられる地域のシンボルとして、夢を創造しつづけます
2.エスパルスは、サッカーを通じて多くの人々と感動をわかちあい、地域スポーツ文化の発展に寄与します
3.エスパルスは、正々堂々と情熱をもって戦い、地域の誇りとなる最強チームを目指します


この3つに掲げられている「誇りとなる存在」、「地域への貢献」、「地域の誇りとなるクラブ」になれるよう、一人一人が意識をもってオフ・ザ・ピッチ、オン・ザ・ピッチをしっかりやっていくことが重要だと思っております。


エスパルスのフットボールフィロソフィー


競争+協調=共創 自発+自律=自立
   ~すべては勝利の為に~


という事で掲げさせていただきたいと思います。アカデミーと共にずっと話してきています。競争と協調、誰かのせいにしたり、自分に目を向けて気持ち的にもプレー的にもやれていたのかどうか問うところもあると思います。模範となる姿勢、自ら行動が出来る、自ら戦える、自ら考えられる選手をしっかりと作っていくことが重要と思っています。その中でコミュニケーションや反省材料というのはたくさんあると思いますので、そこを現場任せにせずフロントと一緒にクラブ力を上げるとともに一人一人向き合ってやっていきたいと思っています。


エスパルスのフットボールスタイル


育成・アカデミー・技術委員会等で議論しながら作ってきたものです。
[アクションフットボール」ということで、守備も含めてリアクションではなく、アクションを起こしてフットボール(サッカー)をやっていく。4種~トップまで一貫して自ら「アクションフットボール」をやってく。ピッチの中に自ら動き出す。常に相手よりも考えて先にアクションを攻守におこす。アカデミー~トップ~クラブとして共有・進化をさせていきたい。その中で3つ。


①高いインテンシティを保ち、攻守ともにトランジションで相手を陵駕する。


(アンドレス)イニエスタ選手等であってもボールを持っている時間は3分以下だといわれています。そのボールを持っていない時間に我々は何をするか?何を考えるのか?を真剣に考えていきたいと思います。ボールを失った時・ボールがない時にどういったアクションを起こしていくのか?攻守ではない、攻守との間にアクションを起こすという事をしっかりやっていく。それがディレイなのか?ボールに行くのか?攻守の間にボールがない時に何をやっていたかを真剣に考え、チャレンジしていきたいと思います。


②自分たちの"意図"でボールを動かし続け、優位性を保ちながら常にゴールを狙う。


バックパス・横パスをしているだけでなく、どのポジションを取り意識的にサイドチェンジが出来ているのか?裏をつけているのかどうか?相手が来た時に裏をつけているのか?来なければ繋いでいけるのか?個人・チームの判断と意図をもってサッカーをする事を掲げてやっていきたいです。その中の議論で出たのは繋ぐことが目的なのかというところ。カウンターが無ければ優勝できないのか?カウンターがあっても優勝できるか分かりません。ワールドカップを見てもカウンターの大切さは一目瞭然。我々は数的優位を保ちながら常に相手の嫌なところを狙っていく。それがカウンターでも、ダイレクトプレーでも意図と目的をもちながら攻撃をしていきたいです。


③自分たちの"意図"でプレスを掛け続ける攻撃的な守備でボールを奪いきる。


守備が後ろ向きだったり、ただ取るだけではない。ここに攻撃的な守備を掲げさせていただきました。取り方、取るポジション、取るスペースによって攻撃的になるというのは一目瞭然だと思います。ワールドカップでの日本戦、伊東(純也)選手がカットしてのショートカウンターっていうのもあります。そのあたりの意識も含め自分たちの意図で攻撃的な守備をやっていくという事を掲げたいと思います。


この3つを掲げながら、このスタイルを4種~トップまで一貫性を持ってサッカーをやっていけるように共有していきたいと思います。


個人でのプレーイングフィロソフィー


・ユニットで戦う
・攻守のハードワーク
・100%、全ての瞬間をプレーする
・積極的かつ知性的にプレーする


我々がビジョンに向けて、フィロソフィーに向けて各分野でどういうことをやっていくか、アクションプランを最後に掲げさせていただきます。マヨルカ(レアル・クルブ・デポルティーボ・マヨルカS.A.D.)との提携や人・選手を育成する中でフロントも含め育成の加速。若返り等刺激を与えながら組織としてアクションプランを掲げ、組織力、人間力、クラブ力を上げていきたいと思います。最初に示したロードマップに従い実行力、結果が出るようにやっていきたいと思います。

質疑応答

――抜本的なクラブの改革が必要な部分はどんな所だと思っているのか?


■山室社長
非常に多面的な対応が必要になるが、一つだけ挙げるならば過去の延長線上でやっていたら同じ結果しか出ない。今までも、変化や革新を何度もスローガンに掲げてやってきたが、本当に変わったのか?僕は外から来た人間として過去のサッカー王国としての自信や伝統に甘えてた部分があると感じられます。そこを断ち切って新しいものを作っていく勇気がないとダメだと思っています。


――考え方やメンタルを変えていくという感じですか?


そうですね。それが最上位の概念になると思っています。


――ワールドカップでカウンターの重要性というお話がございましたが、具体的にどの国のこんなカウンターがエスパルスに置き換わるんじゃないかといった。そういったイメージが今回のカタールワールドカップであったのならお聞かせいただきたいと思います。


■大熊GM
森保(一)監督の日本代表がやったサッカーは日本の進むべき指針を表してくれたと思っています。いろんなジレンマやシステム、センターフォワードのチョイスだったり、世界に勝つためにすごい決断をしたんだなと感じました。それを結果に結びつけるのは非常に大変だと思います。


その中で、我々もカウンターの大切さを残しながら主導権を握れるということで日本代表と同じ所があると思います。逆に、個の台頭といいますか。フランスの試合を見ると、ほとんど劣勢の中で個がひっくり返す。今回のワールドカップでは個の力が如実に出ていたと思います。そういう意味では、ビジョンやスタイルを掲げた上で我々もアカデミーやホームグロウンを中心に選手を育てていくことがエスパルスにとっても非常に重要なことだ思います。


――関連して、システムというお話が出てきましたが、基本フォーメーションとして監督ともお話される中で去年を踏襲する形なのか、なにか変化する可能性があるのかお聞かせいただければと思います。


■大熊GM
エスパルスは伝統的には3バックで戦っていなかったと思います。しかし、そこを基本に選手を獲得しているつもりです。ただ、監督のサッカーシステムの理想だったりでの変化はあっても、エスパルスのサッカーを継続して一貫性を持ってやっていくために、システムよりも中身に3つのスタイルがインプットされているのが一番重要だと思っています。


――降格したということでGMや監督の交代という選択肢が頭にあったと思うのですが継続という事を選びました。その理由を教えて下さい。


■山室社長
監督がやってきた事、また今までGMが取り組んでた来た事。私はそのプロセスを横で見ておりまして、昨シーズンは結果が出ませんでしたが、その考え方、物事の進め方をしっかり再構築すれば必ず結果は出ると判断して継続をお願いしました。やはり、結果を出すことが一番の責任の取り方だと思っておりますし、ある意味、一貫性といいますか、それを担保したという事です。


――最初の質問の時に、抜本的に改善していかなければならないというお話がありましたが、私には社長を始めてGMやチームなど多くのものがここ数年で変わったように見えます、山室社長は断ち切らなくてはならないものとはどういうものを見据えていて、今後への改善の道筋をどのように描いているのかお教えください。


■山室社長
選手や監督の所は毎年、非常に入れ替わりが激しいのですが、クラブのフロントであったり、クラブに長年染みついている伝統。もちろん、いい伝統もあれば、悪しき伝統もあります。そういった、伝統であったり文化や雰囲気はなかなか変わるものではないと思います。静岡という地域だからこそ、ファンの方が非常に手厚い応援をしていただけますが、それに甘えてしまう。あまり厳しい事を言われない。そんなところも影響しているのかなと思います。そういう意味では、私は、抜本的な改善は非常に簡単な事ではないと思います。そんな簡単な事であれば変わってきたと思いますし、トップが自覚をもって徹底していかなくては変われないと思いますので、今年一年で取り組んでいきたいと思います。


――先ほどの説明の中で育成型というのを強調されていましたが、チームを見ると2年前の大型補強を中心に血を入れ替えるようなチーム作りをしてきたところで、あえてまた育成型というものを打ち出した背景をお教えください。


■大熊GM
北川(航也)選手のようにアカデミーで育って海外に行って帰って来たような選手もいて、鈴木唯人のような若い年代の代表に呼ばれるような選手に育っていきました。


サッカーの世界に複雑な契約があり、最長5年であって、1年で海外移籍やステップアップなどの様々な理由で移籍していきます。我々は選手を育てるという概念で回っています。北川選手のように、早く育ってまた戻ってきてもらえる。国内で国外で経験をして育ってまた戻ってくるような育成型を作らないと将来、J1優勝や強豪であり続けるというのは簡単ではないと思います。今の15、16の選手が本当に育った時に、実力で今の選手達を超えていけるような育成型にしないと真の強いクラブになれないと思っています。本当に高いレベルでの競争をしてポストを勝ち取ってこそ、本物の育成型クラブだと思います。


――最後にもう一点、去年チームを支えた主力級の選手がリストに名前を連ねていますが、今季に向けたチーム作りの編成はこれで固まったという手応えはあるのでしょうか?


■大熊GM
まだ公式にリリースされていない選手もリストにいると思います。今リストに載っている選手と一緒にやれるように、全力を尽くしています。ただ、チームとは別に個人の夢であったりもあるので、多面的に考えながら交渉していかなくてはならないなと思います。



新体制発表の模様は、youtubeからご覧いただけます。

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